ルネサンス合唱曲とは

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ルネサンス合唱曲とは15-16世紀,ルネサンス時代に西ヨーロッパで流行した合唱曲のことです.“ルネサンス”には古代ギリシャ・ローマの文化を復興させるという意味があります.しかし,ルネサンス音楽のスタイルはこの時代にはじめて登場したものであり,古代音楽の復興ではありません.歴史上,ルネサンス時代は歌・合唱がもっとも盛んだった時代であり,現代につながる合唱はルネサンス音楽の土台のうえに成り立っています.

その意味からも,合唱をこころざす人であれば,一度はルネサンスの作品を経験するのが望ましいでしょう.

ルネサンス合唱曲の特色

教会音楽と世俗曲がある

ルネサンス合唱曲は大きく教会音楽と世俗曲にわかれます.

教会音楽はキリスト教の礼拝音楽で,カトリック教会の聖歌隊が歌うラテン語のミサ曲とモテット,イングランド国教会で歌われる英語のアンセム,ルター派の教会で会衆がドイツ語で歌うコラールなどがあります.

世俗曲は,テーブルにおかれた楽譜を見ながら親しい人が少人数で歌っていました.世俗曲のうち,とくにフランス語の歌詞がついたものをシャンソンといいます.ほかにもジャンルによって,いろいろな名前がついています.なかには西ヨーロッパ全域で流行した曲もあります.

無伴奏に向いている

ルネサンス合唱曲の楽譜はほとんどが歌のパート譜だけで,伴奏の楽譜はありません.例外として,ダウランド,キャンピアンといった作曲家の作品にはリュートなどの伴奏楽譜(現代のギターTAB譜の元祖)がついています.伴奏楽譜がない曲でも,実際には即興で伴奏をつけていたようで,絵画の歌の場面にリュートなどが登場します.

もちろん,まったく無伴奏でも歌うことができますし,このほうが美しくひびきます.それに,楽器やそれを演奏する人を必要としないので,手軽に合唱を楽しむことができます.

ポリフォニーの曲が多い

ルネサンス合唱曲,とくにカトリックの教会音楽にはポリフォニーの曲がたくさんあります.これは,各パートが対等な関係にあって,それぞれがひとつの曲としてなりたつメロディーをもっていて,これらが絡みあいハーモニーを生み出す音楽です.聞いていると似たようなメロディーが時間差をおいて,つぎつぎにあらわれます.輪唱(カノン)が発展したものだと考えるとわかりやすいかもしれません.

長調でも短調でもない

音楽に長調・短調という区別ができたのは17世紀バロック時代に入ってからです.それより前のルネサンス合唱曲は,長調でも短調でもない教会旋法でつくられていました.おまけにムジカ・フィクタといって,特定の音符だけ,楽譜にかかれていないときでもしばしば即興で,半音上げたり下げたりしていました.このため,どこか幻想的な雰囲気があり,和音のひびきが曲の途中で何度も変化して,色彩ゆたかな音楽になります.曲によっては長調や短調に近いものもあります.

有名なルネサンス合唱曲

ルネサンス時代の作曲家は数がおおく,曲の数になると見当がつきません.そのなかでとくに入門的な人気曲をいくつかあげてみます.YouTubeにたくさんでています.日本語タイトルはいろいろあるので,原語タイトルでさがすほうが確実です.
自分の好きな曲がみつかったら,同じ作曲家の曲をきいていって,数をふやしていくとよいでしょう.

Palestrina パレストリーナ(イタリア) Sicut cervus 泉を求める鹿のように
Super flumina Babilonis バビロンの川のほとりに
Lassus ラッスス(フランドル) Matona mia cara いとしのマドンナ
Ola! o che bon echo! こだま
Janequin ジャヌカン(フランス) Le chant des oyseaulx 鳥の歌
Josquin ジョスカン(フランス) Mille regrets 千々の悲しみ
Dowland ダウランド(イングランド) Come again 帰っておいで
Now o now I needs must part 今こそ別れ
Byrd バード(イングランド) Ave verum corpus アヴェ・ヴェルム・コルプス
Victoria ビクトリア(スペイン) O magnum mysterium 大いなる秘跡

ルネサンス合唱曲はすべて著作権が消滅しているので,楽譜が合法的に無料で手に入ります.動画やCDにあわせて,いっしょに歌ってみると楽しいでしょう.
Choral Public Domain Library 現代譜スコア
Petrucci Music Library 現代譜スコア・オリジナル楽譜(原譜)
Stimmbuch-Viewers オリジナル楽譜(原譜)

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