水中の小さな生きものたち


平成13年,長男が小学3年生の夏休みに体験したものです。解説は子供の目を通して感じたものを記載していますので,学術的には不適当な表現も散見されますがご了承ください。

顕微鏡は人の目に見えないような小さなものを拡大して見ることができます。そこで,夏休みの間に川原大池と小学校の池の水にすんでいる小さな生きものを顕微鏡で観察することにしました。

川原大池
休日に家族でよく遊びに行く湖です。岸の近くの水面には緑色のふわふわしたものがたくさん浮いていました。ちょっと見るとゴミのかたまりのようでした。
小学校の池
コンクリートで作ってある池です。金魚やメダカが住んでいます。池の底には緑色のもやもやしたものがたくさんありました。
かんさつの準備
池の水をスポイトでとってガラス(スライドグラス)の上に1滴のせます。そして,その上から薄いガラス(カバーグラス)をかぶせます。
顕微鏡観察
この顕微鏡は二人で見ることができます。写真は100倍と400倍でとりました。デジタルカメラを使うと便利です。動いている生き物を撮影するのはむずかしいのですが,ガラスの上の池の水がかわいてくると生き物の動きがおそくなるので,そのときがチャンスです。うまくいくまでたくさんの写真をとりました。

川原大池でみつかったもの 小学校の池でみつかったもの
下の画像をクリックすると別ウインドウで拡大表示します。

川原大池の水と小学校の池の水
左が川原大池で右が小学校の池の水です。川原大池の水は少しにごっています。
アオミドロ
川原大池の水にういているふわふわしたものはアオミドロでした。緑色で細長い糸のようになっています。
コエノクロリス
小学校の池の底がみどり色なのはコエノクロリスが多いためでした。緑色のつぶのまわりがゼラチンのようなもので囲まれています。
ツヅミモ
緑色で、まん中がくびれていて日本の楽器のツヅミのようになっています。川原大池でたくさんみつかりました。
アクチナストルム
緑色の細長い葉のようなものが真ん中で一つにつながっているようです。
イカダモ
緑色のつぶが2個や4個ならんでいて,その中にまた小さな丸いつぶが入っています。はじの方がとがっています。
ホシガタモ
緑色で6本のうでのようなものがあって、横から見ると4本,上から見ると3本あるように見えます。
パンドリナ
緑色のつぶがまとまって,かたまりになっています。まわりには薄い膜があって,そのまわりの長い毛を使って動きます。
ミドリムシ
体の前に長いひものような毛が1本はえていて,その毛を動かしながらに進んでいきます。体の中には小さな緑色のつぶがあります。
フカミゾヒゲムシ
2本の長い毛を使って,とても早く動きます。毛がはえているところは体が少しふくらんでいるのが特ちょうです。
トゲカラヒゲムシ
体の色は赤茶色で,まわりにたくさんのトゲのようなものがあります。細い1本の毛をつかって動きます。
ハネケイソウ
体のまわりがガラスのような殻で囲まれています。しまもようがあって,鳥の羽のように見えます。左の写真は生きたケイソウで,右は死んで外側のからだけが残ったものです。外側はガラスのような感じに見えました。
クチビルケイソウ
川原大池には大きなケイソウもたくさんありました。唇の形に似ています。
ケイソウ土
ケイソウは死んでも外側の殻はずっと残ります。それがたくさん集まって土のようになったものです。熱に強く,レンガなどの材料になります。
ゾウリムシ
フランスパンのような形をしていて,体のまわりに小さな毛がたくさんあります。その毛を動かして早く動きます。
コレプス
体はたるのような形で,表面にはたくさんの毛があります。とても早いスピードで動きまわります。
ツリガネムシ
まるい体の前に細かい毛のはえた口があります。その口でさかんに水を吸い込んでいました。うしろには長いひものようなものがあって,時々あっという間にちぢみます。
ヒルガタワムシ
からだ全体がのびたりちぢんだりして動きまわります。頭の先に細かい毛のはえた口があって,水を吸い込んでいました。
ツボワムシのなかま
ツボワムシの仲間にはたくさんの種類がいるようです。体のはじに長い足が出ていて,それをおりまげたり,のばしたりして動きます。足が1本のものや,少し形がちがう形で2本足のものなどがいました。
アメーバ アメーバの変化
ふしぎな生き物で,きまった形がなくていろいろな形に変化して動きまわります。動作はとてもゆっくりです。
ケンミジンコ
ケンミジンコは海や湖に住んでいて,エビやカニの仲間です。体の表面はかたい殻でできています。これは上から見たところです。
マルミジンコ
みずうみや池に住むミジンコです。体がまるく,左がわの足をのばしたりひっこめたりします。これは横から見たところです。
線虫(せんちゅう)
ミミズのように体を動かします。口の先から針のようなものを出して,他の生き物の体の中につきさして中みを吸っていました。

お父さんの顕微鏡観察アドバイス
動きの早い生きものは動きをおそくすると見やすくなります。メチルセルロースという白い粉末に水を適当に加えると,どろーっとした液になります。その液を少しスライドグラスにのせて,池の水にまぜてやると粘り気のために生きものの動きがおそくなります。粘り気の加減は加える水の量で調節してみてください。それよりもっと簡単なのは,スライドグラスの上の池の水が乾燥しかかった所を見る方法です。

自由研究で顕微鏡写真をとる場合
トップページ「臨床検査の部屋」に「デジカメで顕微鏡撮影」というコーナーがありますので,参考にしてみてください。デジカメは何回でもとり直しができますから便利です。撮影後はパソコン上で画像処理ができるというメリットもあります。ただし,あまり処理をやり過ぎるとニセモノになってしまいますから,実際に見た感じに近づけるということを目安にしてくださいね。


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