小腸における吸収

中学生の学習参考用に作成しています


小腸は胃につながる管状器官で,消化・吸収の大部分はここで行われる。小腸は十二指腸・空腸・回腸に区分される。小腸の内面には輪状に走るヒダが多数存在し,輪状ヒダと呼ばれる。その長さは腸壁全周の1/2〜2/3,高さは3〜8mm,基底部の幅は2〜3mmである。これは粘膜下組織が粘膜を内腔に向かって押し上げたもので,この表面には無数の腸絨毛が存在する。小腸はこのように,肉眼的には輪状ヒダ,光顕的には腸絨毛,電顕的には微絨毛(小皮縁)によって3重に内表面積を拡大し,腸内で液状になった食物との接触面積をひろげて消化・吸収を効果的に行っている。

輪状ヒダ(矢印) 写真全体の幅は1cm 輪状ヒダと腸絨毛(矢印)


腸絨毛の毛細血管(矢印) 腸絨毛の中心乳糜管(矢印)

腸絨毛(柔毛)
腸絨毛の固有層内部は毛細血管網が発達し,上皮細胞により吸収されたブドウ糖(糖質)とアミノ酸(蛋白質)はこの血管網に吸収される。また,絨毛の中心部には中心乳糜管(ちゅうしんにゅうびかん)と呼ばれる1本の細いリンパ管が縦走しており,脂肪はここに吸収される。

脂肪は水に不溶のため,他の栄養素に比べ吸収の過程が複雑である。すなわち,胆汁酸塩の作用でエマルジョン化されたあと,膵リパーゼにより中性脂肪は脂肪酸とジグリセリド,モノグリセリドに分解され,小腸上皮細胞の表面から吸収される。その後,再び中性脂肪に合成され,タンパク質と結合しカイロミクロンとなって中心乳糜管から運ばれる。(実際には体内における脂質の分解,運搬はかなり複雑です)中心乳糜管は,しだいに集まって太いリンパ管になり,このリンパ管は最後に左鎖骨下静脈につながり血管にそそぐ。


乳糜乳糜(にゅうび)
血液中の赤血球や白血球を除いた液体成分を血漿といいます。写真の試験管で,左のものは食後に脂肪を多く含んだ血液から分離した血漿ですが,濁って見えます。これはカイロミクロンがふえたからで,このように目に見えるくらいに濁っているということは,食物に含まれる脂肪(中性脂肪)がもともと大きな分子であったと想像できます。右の試験管の血漿は脂肪を多く含まない時の色です。



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