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高橋製作所「P−2Z」 応援企画、日々雑感

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2007年1月に「高橋製作所P−2Z応援企画日々雑感」特集しましたが、ごく少数の方から「残しておいて欲しい」と(軽く)言われました。ten.も、過去の物にするのはちょっとだけもったいないかなぁ〜と思ったので、当時に掲示板などでやりとりされた発言も一緒に時系列順に並べ替えてみました。
--------●の部分は掲示板での発言です。

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20070103高橋製作所P−2Z応援企画
まずは高橋製作所の赤道儀「P−2Z」の歴史についてですが、その前身であるTS式65mmP型、TS式65mmP−2型P−2S型を経て1991年に現在のP−2Z型となりました。P型の発売が1973年ということですから、Pの系列は実に34年の歴史があり、P−2となった1979年から現在のZまで基本的な構造の変更はありません。写真撮影専用のポータブル赤道儀スカイメモRやスカイパトロールと違い、元々が天体望遠鏡の架台ですから、同架鏡筒があります。65mmセミアポ屈折やFC65アポ屈折はもちろんの事、FC76やMT−100も載せていたと記憶しています(カタログ上の搭載重量は6kgです)。実際に、ten.もミザールRS−120SLと云う120mm(F6)反射望遠鏡を同架しましたが各部分の動きが変わる事もなくスムースに駆動しますので搭載重量に関してはカタログ上の数値は余裕を持たせた数字である事が理解できました。また、標準のFC−S三脚は仕上がりも綺麗で、木材も「桜材」なので堅牢で綺麗です。さらに三脚台座Lを使用するとEM−11の足回りとして使われ定評のあるFC−M三脚を使う事が出来ますので安心して使う事が出来ます。と、P−2Z赤道儀は天体望遠鏡の赤道儀架台として正当に使用するのが本来の使い方であり、カメラレンズを使用した写真用赤道儀として使用するのであればKENKO「スカイメモR」やタカハシ「スカイパトロール」に携帯性で劣るのは当然であり、その代わりに搭載重量や架台強度はかなりの余裕がある事が上記のことから判ります。


20070104高橋製作所P−2Z応援企画
この「高橋製作所P−2Z応援企画日々雑感」シリーズについて、県外の友人から感想メールが来ました。「新旧機種の違いが分からないが読んでて面白い」そうです(ほんまかいな。笑)。ですので、昨日の日々雑感の旧機種にはタカハシの公式HPにある画像をリンクしておきました。んでもって早速今日のP−2Zネタです。P−2Z赤道儀を組み上げて極軸のセッティングを行うときの話です。発売当時の「ワンタッチ3′」のキャッチコピーでP型の代名詞となった内蔵極軸望遠鏡(今は普通ですが当時は主望遠鏡のファインダーを兼用することが多かったのです)。その極軸望遠鏡を覗くと他のタカハシ赤道儀の極軸望遠鏡と違和感を生じます。それは視野にある極軸セッティングパターンの円が大きい事です。つまり極軸望遠鏡の倍率が高いのですが、タカハシEM−11の6倍・EM−10の5倍・スカイパトロール3倍やKENKOスカイメモRの4倍などと比較するとP−2Zは9倍と他機種との比較すると高倍率です。倍率が高いとセッティング精度が上がるのか?といった疑問も湧きますが、少なくともセッティング精度が低いと感じた事はありません。「ワンタッチ3′」のセッティング精度だとノータッチで200mmレンズの完全ガイドが出来ると当時のカタログに書いてあります。ちなみにten.はいつもほったらかしの完全ノータッチ撮影です。300mm以上の光学系で構図を決めた直後の撮影などでは雲台や各部のタワミが収まっていないのでガイドミスになりがちだったりします(これは他の機種も同じです)。そのほか、乾電池(バッテリー)の電圧低下やらクラッチの締め忘れでの固定撮影をしてしまったり、(いわゆるネタ作り。笑)、それ以外では非常に良い精度でガイド撮影が可能なようです。ちなみに今日のネタは極軸望遠鏡の話題でしたから、「架台の精度」については後日に書こうとおもっています。



20070105高橋製作所P−2Z応援企画
別にたいしたことではないのですが、高橋製作所の製品はP−2Z赤道儀に限らず「クランプ」の利きが良いです。例えば望遠鏡鏡筒のドロチューブ固定クランプ・赤道儀の赤緯赤経粗動クランプなどです。小さな力で固定できるクランプは他社の赤道儀を触ったことがある人ならすぐに判ります。また、キチンと利くクランプなのに更にぎゅうぎゅうに締める人が希にいますが、極軸周りのバランスが取れている赤道儀なら少しの力でクランプできます。また、小型の赤道儀のクランプを締めすぎると極軸ハウジングの中にある極軸がクランプネジに押されてごく僅かですがセッティングした極軸がずれてしまうことがあるので避けるべきだと思います(これは極軸望遠鏡を覗きながらクランプを締めると判ります)。また、クランプをフリーにすると判るのですが、P−2Z赤道儀は凄く滑らかに粗動します。モータードライブのクラッチをフリーにして手動で赤経微動をしてもウォームネジを滑らかに微動させることが出来ます。モータードライブが高価で買えなかった頃、天体写真は手動追尾していました。ウォームネジの滑らかさは追尾のし易さにつながるだけに自作ポタ赤で手動追尾していたten.はこの滑らかさに凄く感動した記憶があります。あえて他社機種名はいいませんが同等クラスの赤道儀の中では突出して滑らかだと思います。粗動も微動も滑らかなのは赤道儀の軸受けに「テーパーローラーベアリング」を使用しているのとウォームネジの調整が良いことの恩恵なのですが、こういう機種を使っていると「この機械は良い仕事をしそうだ。」と思うような滑らかな動きをします。動きの雰囲気を伝えるって感覚的なことなので上手く言えないのが残念です。


20070106高橋製作所P−2Z応援企画
以前、目盛環の有用性について述べたことがありますが、自動導入機種全盛の現在では目盛環を使用して天体を導入する方法を使うことが少なくなりました。昔は口径30mm程度のファインダーでしたが、最近は口径50mmが当たり前になりましたし、見え味の良い物が多いし、等倍ファインダーなどが普及して目盛環が必要なくなったからでしょうか?いいえ、残念ながらそうではないようです。光学ファインダー+等倍ファインダーを駆使して天体を導入出来る方は相当のベテランですから目盛環を使う技量をお持ちですし頭の中に星図が入っています。また、天体導入に慣れていない方は自動導入の機種を選択しているのでしょう。つまり「P−2Z」の特徴である「手で回せる」+「目盛環」については時代に即していないと言うことになります。しかし、目盛環の導入精度についてはご存じの方は多いと思いますが、慣れると低倍率の主望遠鏡の視野に導入できますし、初めての方でもファインダーの視野の中にはキチンと入ります。P−2Zの目盛環の最小目盛は上位機種のEM−11・EM−200・NJPなどと同じで、最小目盛は赤緯2°赤経10分(2.5°)です。つまり、「キチンと導入できる」というのは通常、最小目盛の半分までは簡単に目視・認識することが出来るので赤緯1°赤経1.25°くらいの誤差で天体を導入できると言うことです。ファインダーの視野は7°くらいですし、主望遠鏡の低倍率視野は3°〜2°くらいですから、慣れると主望遠鏡の視野に導入できるという根拠でもあります。機材を選択するときに「どのような状況でもその機械が仕事をする」事を望む方であれば「手で回せる機械+目盛環」は凄く有用です。逆に言えば「自動導入機+支援装置(PC)」などは電源が落ちてしまえばknock outとなりますし、断線やPCトラブルなどの電気的なトラブルに見舞われる可能性が少ないのが昔からの一軸駆動の赤道儀だと考えています。電気的なトラブルに関しての機材選択についてはその人それぞれの考え方がありますから一概に「これがベスト」と言えません。そもそも電気的なトラブルに弱くてアナログなten.が選ぶのですから P−2Zのような昔の機械が好きなのでしょうねぇ。



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初めまして 投稿者:カムイミンダラ 投稿日: 1月 6日(土)22時33分55秒
tenさん、初めまして。

コーチさんのBBSから来ました。カムイミンダラと言います。

日々雑感の「P-2Z応援企画」の中の目盛環の事については全く同意見でしたので、思わずこちらに書き込みました。

私は日頃は殆どファインダーで導入していますが、どうしても対象の目標になる星が付近に無いときは、目盛環を使っています。簡単な所は目盛環よりもファインダーの方が早いですが、やっぱり最後は目盛環と言う場合も有ります。

自動導入が結構安価に普及してきている昨今ですが、私の知り合いでうまく自動導入のセッティングが出来ずに時間ばかり過ぎてしまう人がいます。
当人も何でうまく行かないのか分からないようですが、多分何かの基本設定の間違いなのでしょうね。
目盛環であれば電源も赤道儀のが有れば良いですし、変な初期設定も要らないですから便利なものです。ただ目標の対象の座標を知らないと出来ないのが欠点ですが。

これからもよろしくお願いします。
http://www.asahi-net.or.jp/~zj3y-tyt/


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あらまっ!(@。@;) 投稿者:ten. 投稿日: 1月 6日(土)22時50分24秒
カムイミンダラさん、ようこそっ!(おわぁ〜!ビックリしましたぁ〜!)

今月号の見開き作品(あえて詳しくは言いません)おめでとうございますm(__)m
こんなところに来ていただき光栄です。(;^^)

日々雑感「P−2Z応援企画」については私ten.の思い入れの強さから書いてしまった
稚拙な文章なのですが、こうした高精度・堅牢・基本性能の高さに加え、「小型である」
という赤道儀が無くなってしまうのではないかという危機感で書いています。
あと数日で最終章にしようと考えています。<P−2Z応援企画

私としては目盛環(星図と座標)やファインダーに頼らざるを得ない天体対象の導入が、
電気に頼らず赤道儀という機械そのものに付いている、それを利用しない手はないと
考えています。その点はカムイミンダラさんも同意見ということで心強いです。

>これからもよろしくお願いします。

こちらこそどうぞ宜しくお願い致します。m(__)m
変なHPですが、懲りずにお越しくださいませ。(笑)


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20070107高橋製作所P−2Z応援企画
今夜の日々雑感はP−2Z赤道儀応援企画の本丸です。現代の写真撮影用赤道儀に求められているものといえば、自動ガイド=オートガイダーによる2軸電動追尾・電動修正が主流です。ところがP−2Z赤道儀は赤緯が部分微動のため1軸電動追尾・手動修正にならざるを得ません。オートガイダーによる追尾を前提にすればP−2Zは選択肢から外されることになります(両軸駆動に改造し、オートガイドをしている人もいますよ)。ただし撮影光学系が200mm程度のカメラレンズによる撮影用のポータブル赤道儀として考え、超長時間でなければノータッチ撮影で充分な精度をもっています。赤道儀の精度の代表的なものとして「ウォームネジ・ウォームギヤの偏心」いわゆるピリオディックモーション(タカハシの昔のカタログには「最大よろめき精度」などの記述があります。)というウォームネジの偏心による追尾の遅れ進みがあります。タカハシの昔のカタログには公称値として掲載されていた機種があります。NJPでは±4秒角を保証し天頂付近なら(※1)焦点距離500mmの撮影光学系のノータッチ撮影が可能との記載がありますし、EM−200は追尾精度±5秒角、EM−10は±10秒との記載があります。そこでP−2Z赤道儀のピリオディックモーションですが、カタログには....

「ピリオディックモーションの主な原因はウォームギヤの精度にあります。そこでウォームギヤの歯面研磨精度を従来以上に高い精度でオーダーし、当社の上位機種NJP赤道儀に匹敵する追尾精度を実現しました。」

と記載されています。あえて言えば±5秒のEM−200ではなく±4秒のNJPです。もちろん極軸を保持するテーパーローラベアリングの間隔がNJPと同じではないし極軸ハウジングの肉厚がNJPと同じではありません。つまり追尾精度がNJPと同じということではない事はみなさんも理解していただけると思います。また、ウォームギヤ・ウォームネジは南半球で使用されること(逆回転しますから)を考慮し歯の片面だけではなく両面ともに研磨されているのです。極軸望遠鏡の精度やテーパーローラーベアリングの使用、ウォームネジ/ウォームギヤのオーダーなど、これらから判るようにP−2Z赤道儀は工作精度にこだわりをもって作られたことが良く解ります。ten.的な使い方としては極軸を慎重にセッティングし、撮影光学系のみを搭載して出来る限りバランスをキチンと取ります。これはガイド鏡やマッチプレートなどの架台に負担を与える重量を少なくしてあげようと考えたためです。つまり、ten.はガイド鏡なしのノータッチ撮影ばかりですが、成功率もなかなかいいですよ(失敗したときには嘆かない※2のです。笑)。これだけの精度を持つ機械が「赤道儀+三脚+モータードライブ=20万円ちょっと」で手に入れることが出来ます。

※1 「天頂付近に限る」のは大気による浮き上がりによって追尾誤差を生むからです。
※2 失敗しても誰にも迷惑をかけていないし、いろいろと手をかけるよりも楽だから。笑

# あぁ、なんだか二日分の量を書いてしまったなぁ....どこかで区切る訳にも行かなかったので一気に書いちまったぃ〜(笑)


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Re:P−2Z応援企画 投稿者:嬉野の草野 投稿日: 1月 8日(月)00時34分29秒
先日はお電話ありがとうございました。
日々雑感の記事も楽しく拝見させていただきました。
目盛り環の件ですが、私も同感です。
昼間の金星を導入するのによく利用しておりました。

私のP−2Zは、両軸駆動のオートガイダー対応に改造し、12Vバッテリーをバランスウェイト代わりに付けられるなど、かなり手を加えてあります。
400mmクラスのオートガイドができる赤道儀としては最小、最軽量で、大変重宝しています。BORG125EDF2.8と4cmガイド鏡を載せられますので、搭載重量はかなり余裕がありますよね。
こういう使い方はスカイメモ辺りでは不可能なので、貴重な存在だと思います。
販売中止になったらさびしいですね(;_;)

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20070108高橋製作所P−2Z応援企画
さて、P−2Z応援企画日々雑感も最終章に近くなりました(って、まだ続きがあるのか?笑)。昨日までの話題を統合すると、P−2Zを使おうと考えている人達にはある程度の条件がありそうです。
1.自動導入機でなくとも良い人。
2.最小・最軽量を求めない人。
3.撮影専用赤道儀ではなく、たまに小口径の望遠鏡を搭載して観望などをしようと思っている人。
4.電気的な部分を最小限にしたい人。となります。

上記は他メーカーの小型赤道儀でも良い訳ですが、最大の特徴は

5.追尾精度と堅牢性を重要視する。

と言う赤道儀です。残念ながらP−2Z赤道儀はオートガイダーも2軸駆動も自動導入もできません(ノーマルの状態であれば)。モータードライブを付けて20万円を超える値段は、「リトルNJP」と言われた小型赤道儀の中では屈指の追尾精度堅牢性永く使えるという事を兼ね備えた値段と考えるべきあり、「星を追う」という赤道儀の純粋な目的だけを考えたとき小型のP−2Z赤道儀には今の赤道儀にはない魅力を感じざるを得ません。P−2Z赤道儀、それは既に生産終了となった「システム90S」赤道儀や「NJP赤道儀」と同じ時代に生まれた赤道儀なのです。





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もう終わるんですか? 投稿者:極楽蜻蛉@福岡 投稿日: 1月 8日(月)21時43分58秒
P−2Z応援企画楽しんで読んでます。H40、P−2、90Sの分解写真を見るたび「精度と堅牢さ」を隠し持った奥ゆかしさにため息が出ますね。機械式の時計と同じ危さがあるな〜。この三種は同じ匂いがしますね。大切にしたいものです。

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re:もう終わるんですか? 投稿者:ten. 投稿日: 1月 8日(月)22時01分23秒
極楽蜻蛉@福岡さん、はじめまして。

稚拙な文章を読んでいただきありがとうございます。「高橋製作所P−2Z応援企画」日々雑感は
そろそろ終わる準備をしています。(;^^)
P−2Z赤道儀は「今のところ」生産終了という訳ではありません。
(あたしゃ、メーカーぢゃないので本当のところは判りませんが....苦笑)


ところで、メンテをキチンと行えばずっと使えそうなのが機械ですが、
それはメーカーの部品供給や修理体制に頼るところも大きいのが機械式ですね。

機械式の時計、「時を刻む」という時計本来の目的が、何だかP−2と同じようで
共通点があるのでしょうか?実は私、気付けば腕時計も自動巻ばかり....(笑)

極楽蜻蛉@福岡さん、これからもよろしくお願いします。m(__)m


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20070112
今月に入り、高橋製作所P−2Z応援企画日々雑感を展開してきましたが、ここ数日の間はお休みしています。先日、文章の構築と推敲がうまくいかないと書きましたが、現在パッタリと前に進みません。欲しい資料は1991年あたり(以降?)のP−2Z赤道儀発売時の「もうそろそろ....」といった一文で始まる天文ガイドに掲載された「P−2Z赤道儀誕生の広告」です。P−2SからP−2Zに変わったのがその頃です。それともう一つは天文ガイドの....確か1997年1月号あたりだったと思いますが、金鍍金(メッキ)のP−2が表紙になっている....どなたか持っていないかしら(この分は確か実家にあったような?苦笑)。デジカメで撮像してメールに添付していただければ....なんて虫のいい話。来週、時間が取れたら諫早市の「コスモス・花・宇宙館」の読書室にでも見つけに行こうかしら....。



20070116高橋製作所P−2Z応援企画
今日は諫早市のコスモス・花・宇宙館へ行ってきました。用件はP−2Zのインプレッション記事を見つけに行くこと。コスモス・花・宇宙館の3Fには読書室があって、天文図書や雑誌が置いています。P−2Zの記事を見つけに来たはずなのにページをめくる度に手が止まってしまいます。それは現在活躍されているベテランの方たちの若かりし頃の写真だったり、懐かしい工作記事だったり。いやいや寄り道をしている時間はありません、一生懸命に雑誌のページをめくります。そして見つけたのは「月刊天文ガイド1992年11月号」テストリポートの記事です。読んでみて痛快だったのは「まとめ」にあたるところの一文。ten.もほどんど同意できます。「アマチュア天体写真の進歩とともに歴史の中を歩んできたP−2Zは、Zの意味する最終型の呼称に恥じない、高精度な赤道儀と言える。デザインそのものは無骨で、目新しい機能は全くないが、その分、操作や仕組みが理解しやすいという利点もある。中味のある質実剛健な製品だ。....(中略)....また、小型ながら頑丈で精度の高い赤道儀は、....(中略)....1台購入しておいても、決して無駄にならない赤道儀と言えそうだ。」また、記事中にはP−2Z赤道儀のピリオディックモーションが実写で実測・掲載(※)されており、さらにその記事も「これは、NEW FACE TEST REPORTで取り上げてきた赤道儀の中でも最も上位にランクされることになり、P−2Zの追尾精度が上位機種のNJPに匹敵すると言うのは本当だ。場合によってはNJPよりもずっと高精度かもしれない。」と記載しています(ちょっと持ち上げているかな?微笑)。実写されたピリオディックモーションをみても1987年7月号に取り上げられた初期型「P−2+FCT76」のテスト記事中に好結果を出している実測値、±15″を上回り、平坦で滑らかな曲線を画いています。これで、発売当時「名機P−2を超えたP−2Z」見出しの広告をきちんと裏付けることになります。それにしても前々モデルP−2のテスト記事中ですら「コンパクトな割りにゼイタクで高精度な赤道儀」と記載されているのも痛快です。いやいや、記事を探しに行って本当に楽しい一日でした。コスモス・花・宇宙館の皆さん、ありがとうございました。


※ 月刊天文ガイド1992年11月号P.120掲載のP−2赤道儀のピリオディックモーション(左)と、同紙1987年7月号P.72掲載のP−2(初期型)のピリオディックモーション(右)。



月刊「天文ガイド」1992年11月号P.121掲載のP−2Z赤道儀記事抜粋。
テスト機のピリオディックモーションを実測してみると、エラーは最大±9″という値だった。だたし、この値は写真でもわかるようにウォームギヤ1周分の1ヶ所だけ、いきなり跳ねている部分があるため大きく減点されてしまったもので、これを取り除くと±5″程度にはなる。この1ヶ所の大きなエラーはむき出しの伝達ギヤにゴミが付着したか、傷がついていたためと思われるが....

20070117高橋製作所P−2Z応援企画
今日のP−2Z応援企画日々雑感は「高橋製作所に苦言を呈す」と題して書いてみたいと思います。今回、P−2Z赤道儀を別な視点から考えてみます。以前からのP型やP−2シリーズの流れを知っている人であれば問題ありませんがP−2Zが発売された1991年以降に星空に興味を持ってしまった人も多数いると思います。例えば、「大望遠鏡でしか見えないと思っていたシューメイカ・レビー彗星の木星衝突」が見えたとか「百武彗星(C/1996 B2)の長い尾」で天文に再燃したとか、「へール・ボップ彗星(C/1995 O1)は二本の尾が綺麗だった」という方、そして「2001年のしし座流星群」は素晴らしい眺めを見せてくれましたし、2003年には火星の大接近で各地の公開型天文台は長蛇の列でした。最近はデジタル一眼レフカメラによる天体写真が楽しくなってきています。その間、ここ10年の雑誌に掲載されている高橋製作所広告の身近な金額(?)の商品といえば、鏡筒なら「FS102/FS78」「FSQ106」「SKY90」(「FCT250」金額は身近ではありません。)「TOA130/150」「ε−180ED」ですし、赤道儀なら「EM−10/11Temma2」「EM200Temma2」「NJP−Temma2」「EM−11Temma2」「EM400」の現在のラインナップがメインです。P−2Zに同架されたSKY90の広告はあれど、P−2Z赤道儀の広告はありません。ワンタッチ3′の極軸望遠鏡やテーパーローラーベアリングを使用した滑らかで堅牢な架台のことも、卓越したギヤ精度のことも(※1)広告に記載された記憶がありません。雑誌記事としては月刊「天文ガイド」1992年11月号の「NEW FACE TEST REPORT-12」にしっかりとした記事として取り上げられた事はありますが、ここ10年の間に天文ファンになったり天文熱が再燃した人にとって、P−2Z赤道儀のことを知る機会はほとんど無く、単なる小型鏡筒のための一軸駆動赤道儀の「末弟に過ぎない」と見られているのではないでしょうか?セールスの世界では売りたいものを広告するのであって、「売らなければ売れない」と思うのですがいかがでしょうか?「山椒は小粒でぴりりと辛い」「羊の皮をかぶった狼」的な生粋の赤道儀を世に知らしめる機会を設けていただきたいなぁ....(って、勝手なことを書いていますが、タカハシの人、こんなところは見ていないだろうし。爆笑)


※1 日々雑感070107あたりを参照してください。


20070118高橋製作所P−2Z応援企画
今回の企画を展開するにあたり、身の回りのP−2Z赤道儀をお使いの友人らに「使ってみてどうだった?」と電話で聞いてみました。多かった順にといいたいところですが、「やっぱり追尾精度の良さですね。」「小型なのに頑丈」「滑らかに動く」の3点を皆さん一様におっしゃいます。他にも「海外に持っていけるサイズの赤道儀としては最強!」といった心強いご意見も賜りました。これらはten.の身の回りの少数の方の意見なのですが彼らもやはり同じ意見なんですねぇ。電話ではNJP−temma2の生産終了の話と日々雑感でP−2Zのことを取り上げていることを話すと「小型であれだけの精度を持った赤道儀が今はないですねぇ。」とか「もし無くなっちゃうと凄く残念」と口をそろえます(いやいや、まだ無くなってないってば。笑。 それに、電話した人たちはみんなP−2Zを持っているのに)。今回の「高橋製作所P−2Z応援企画」は160型から160P、160JP、そしてNJPと息の長かった赤道儀NJP−Temma2赤道儀生産終了(※1)に端を発し、「もしかするとP−2Zも?....」と危惧を抱いたten.が暴走した企画(苦笑)だったのです。冷静に考えてみると1991年、「もうそろそろ....。」(判る人には判る)といった広告で発表された「P−2Z」の発売から早16年、そして1979年のP−2型発売から28年も経過しています。通常なら数度モデルチェンジなり生産終了している時間が過ぎています。それでもその間、地球の自転速度が変わらないのと同様に(笑)NJPシリーズと共に息の長いセールスをしているのが高橋製作所のP−2Z赤道儀なのです。P−2シリーズの最終形を表すといわれる「Z」の文字を冠し、販売数は少なくとも、これからも高橋製作所には販売し続けて欲しい機種でもあります(もしも!もしも×10(笑)、生産を終了するときには二年位前からのアナウンスをして欲しいものです。)。今年に入ってから数度、「高橋製作所P−2Z応援企画」日々雑感と題して展開してまいりましたが、とりあえずこれで一区切りといたします。何の興味も無い皆さん方には大変申し訳なかったと思っていますがten.のP−2Z赤道儀に対する思い入れを察して、お許ししていただきたいと思います。


※1 天文ガイド2月号のスターベースの広告には「NJP−Temma2赤道儀」が掲載されているけどホントに無くなっちゃうの?それにしてもNJP赤道儀....再販してくれないかなぁ〜....。目盛環が付いているから自動導入でなくていいのよ。赤経の一軸駆動でも。そうそう、NJP赤道儀の最終形って奴(苦笑)。誰だって、「いつかはクラウン」の夢を持っていたいぢゃん。(笑)




20070127
掲示板には投稿致しましたが、こちらにはまだでした。12月、NJP−Temma2生産終了のニュースに端を発した「高橋製作所P−2Z応援企画」日々雑感でしたが、NJPの最終形
「JP−Z赤道儀」が誕生し、JPの系列はつながりました。まだ詳しいことが分かっていませんが、残念ながらクラッチ機構を省いているようで、手で回せる赤道儀ではなさそうです。「一軸駆動でもいいから」と再販して欲しいとボヤいたten.が言えない我が儘ですが、なにはともあれ好きな赤道儀の販売終了は寂しく残念ですし、JP−Z赤道儀の販売は心から嬉しく感じています。ここでふと気付いてしまったのは、JPが終わらず継続したのに暴走してP−2Z応援企画をしてしまったten.のアホさ加減です。(まあ、いいか。笑)



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タカハシP2Zの広告 投稿者:かねやん 投稿日: 1月27日(土)22時31分13秒
日々雑感の「高橋製作所P−2Z応援企画」面白く読ませていただきました。
応援企画はもう終わってしまったのですか?
さきほど9年前のスカイウォッチヤーを読んでいてその"P2Z"の全面広告を見つけました。
スキャンして画像を貼り付けますのでご覧ください。
「見えないところでの改良」、「頑固一徹」という言葉の端々にタカハシのこだわりと自信が伺えてなんともいい感じですね。

かく言う私も、つい先日、高くて手が出なかったあこがれのタカハシの鏡筒がヤフオクに出ていたため、気がつくといつの間にか入札のボタンをクリックして落札してしまいました。(;^^)
結局嫁に頭を下げて半分は家庭内ローンとなりました。(トホホ)
でもタカハシの製品はつくりが違いますね、高い買い物でしたが後悔はしていません。


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re:タカハシP2Zの広告 投稿者:ten. 投稿日: 1月27日(土)23時24分8秒
ten.でしっ♪(^^)

さすが!かねやんさん!ten.が欲しかったのはこの広告なのです!
それにしてもかねやんさんのお宅にある蔵書は凄いです。

ちなみに、この広告を見せたい人達がいるとすれば....
1.小型赤道儀の購入を検討している人
2.自動導入機でなくともよい人
3.タカハシ主義(タカハシイズム)を忘れかけているタカハシの人

です。(笑)
ちなみにNJP−temma2の生産終了後、1月19日には「JP−Z」が
発表されましたので、タカハシ主義(タカハシイズム)は健在かと考えます。
そのあとには「春Q」が控えていますのでそれも楽しみですね。
(多分、FSQ106の後継機種だろうと思いますが....)

今度、P−2Z赤道儀の広告があるなら「二つのZ、PとJの最終形」
みたいな感じでJP−ZとP−2Zの大小ふたつの赤道儀を並べて広告して欲しいなぁ...
(なんて、誰でも考えそうなコピー。才能無いな。<俺)

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re2:タカハシP2Zの広告 投稿者:かねやん 投稿日: 1月28日(日)20時03分19秒
P2Zの広告が載ったスカイウォッチャー1998年4月号、
今度の春のスタパーのときでよければ「P−2Z応援企画記念」として
差し上げますよ、例の紙筒と一緒に!
http://www.geocities.jp/himiriruka/



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re3:タカハシP2Zの広告 投稿者:かねやん 投稿日: 1月28日(日)20時10分2秒
あ、その時に新顔のタカハシの鏡筒(μ210)もお持ちします。
到着時に光軸がずれていたので、自分で調整して合わせて見ましたが
ここのところシーイングが悪く、完璧に合っているか少し自信が無いので
白木峰で皆さんにチェックしていただければ助かります。
http://www.geocities.jp/himiriruka/



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re4:タカハシP2Zの広告 投稿者:ten. 投稿日: 1月28日(日)21時41分43秒
かねやんさん、どうも。
P−2Zの広告については、掲示板に貼り付けていただいた画像で十分ですよ。
こちらでも印刷してみましたが綺麗にプリントできました。(^▽^)

クリックして入手した鏡筒は「μ210」なのですね。そりゃ、魅力十分です。
μ210は、ラックピニオン接眼ユニットが別売りであるのですが、かねやんさんのは
どうなっていますか?(;^^)
(入手困難部品になりそうなので。。。。)


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re5:タカハシP2Zの広告 投稿者:かねやん 投稿日: 1月28日(日)23時38分31秒
ラックピニオン接眼ユニットは付属していませんでしたが、LE30アイピースと自作フード(結構丈夫でいいものです)をおまけでつけてくれました。

相手の方も偶然同じ福岡市内の方だったので、直接お会いしてのやり取りができて良かったです。
タカハシのFSー78とEM−200で星野写真撮影をしていらっしゃるそうで、スタパーのことを宣伝しておきました。(^^)
機会があれば行ってみたいそうですよ。
http://www.geocities.jp/himiriruka/





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いいですよね「タカハシ主義」 投稿者:オクのパパ 投稿日: 1月29日(月)21時50分24秒
こんばんは。P2zを愛用されているということで「お気に入り」に登録していつも楽しませて頂いております。さてここ数日間"ten."さんと"かねやん"さんがP2zの広告について語られているのをみて、思わず投稿させていただきました。さて私も2年程前に子供の頃からの天文好きが復活してP2zを購入しました。最近はお洒落な高性能・電子制御の優秀な赤道儀が氾濫してますがどうも興味が持てず、子供の頃憧れだったP型の後継であるP2Zにしか目が向きませんでした。20年近く前に中古のD型を使っていたこともあり、そのせいもあるのでしょう、正に広告の「タカハシ主義(高橋主義として欲しいのは私だけ?」に憧れていたのかもしれません。私も広告をプリントして保存しておきたいと思います。失礼しました。



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re:いいですよね「タカハシ主義」 投稿者:ten. 投稿日: 1月29日(月)23時20分57秒
オクのパパさん、初めまして。(^^)
「お気に入り」に入れてまで見ていただいているとは大変恐縮です。(;^^)
「P−2Z応援企画」、そんな大した事を書いている訳ではないし、
全部が本当のことではないかもしれませんよ。なにせ、書いている人が「てきとー」だしw

D型赤道儀、いいですねぇ。ten.は所持したことはありませんが、
P型、50型、D型、I型など、黒い高橋は今でも欲しいですねぇ。(単にノスタルジーかな?)
もしかすると、あたしゃ電子制御の製品が苦手なので欲しくなるのでしょうか?(笑


>「タカハシ主義(高橋主義として欲しいのは私だけ?」

いえいえ、同感です。でも広告をしたのは「タカハシ」ですから。(笑)
ただ、気持ち的にどうしても「高橋製作所」と「タカハシ」と分けてしまうのは
何故なんでしょうね。(汗

オクのパパさん、またお越しくださいね。(^^)んじゃまたでわでわ♪

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    ここからは、実際に使っている状態をご覧下さい。

      (画像は2008年11月13日撮影です。)


1.全体像です。現在は純正のFC−S三脚ではなくFC−M伸縮脚を使用しています(一時期、MT−S直脚を使用していました)。三脚台座は、アダプタを介して「90S用」を使用しています。現在、FC−M伸縮脚を使用する方法としては、スターベースで取り扱っています「P−2用三脚架台L」(\9,240円)を入手すると快適に使うことが出来ます。一方、純正のFC−S伸縮脚は非常にコンパクトになりますし丈夫です。荷物を少しでも小さくまとめたいときに使用します。

     

   赤緯軸の上端には「TOMITAオリジナル・アリミゾマウントSP」を取り付けています。


     

   FC−M伸縮脚(左)と、90S用三脚台座にP−2アダプタ(右)


2.日々雑感2007.01.04で話題にした極軸望遠鏡の視野です。スケールは1985年−2015年のもので、そろそろ次のスケールが必要になりそうです。現在発売されているP−2Z赤道儀のスケールパターンは「2030年まで対応」しています。ちなみに広角レンズ撮影で使用しているH40型赤道儀の極軸望遠鏡スケールは1975年-1990年用となっており、歳差によって使いづらい状況になりつつありますが、広角用と割り切れば全く問題ありません。

     

  極軸望遠鏡のスケール(左)と、接眼部分(右)です。極軸望遠鏡のアイレリーフが短いのが玉に瑕。
  スケールの水平を出すためのリングレベルが見えています。


3.いくら極軸望遠鏡の倍率が高くても、セッティングの操作が快適でなければ精度良いセッティングはできません。その操作性で重要になるのが水平・垂直方向に微動させるネジです。P−2Z赤道儀では工具レスでのセッティングが出来るように高度調整のネジにはベロが付いています。

             


4.少々の力でも効くクランプです。力を込めやすい形状に加えて、赤経側と赤緯側の形状が違うので暗闇でも判りやすいことに気付きました(気付いたのは最近の話)。

     


5.目盛環です。バーニヤ(複尺)は付いていませんが、必要充分な導入精度です。これは日々雑感070106にて「最小目盛の半分くらいなら簡単に目視・認識することができ、赤緯1°赤経1.25°くらいの誤差で天体を導入できる」という件がありましたが、実際に使ってみても導入精度は充分です。目盛環の目盛りは彫刻されておりますので目盛りが擦れても消えません(プリントだと消えるのよね....。良い仕事してまっせーっ!)。 最近は自動導入の赤道儀が増えて、目盛環すら無い機種が増えましたが、コストが上がるにしても、こういったアナログな部分は大事にしていただきたいと思っています。

     



6.日周運動を追尾する赤経微動のウォームギヤ・ウォームネジ部分です(見えませんけど....苦笑)。ten.が使っているP−2Z赤道儀の赤経駆動は「HD−4」を使用しています。1997年に発売されたHD−5も現在は生産終了しています。次のモータードライブはTG−HDモーターとして発売しています。こちらは恒星時以外にも減速駆動が出来ます。

                   


6.一方、赤緯微動はスプリングスクリューによる部分微動です。スクリューの根本部分にはスクリューの中心部分を示す段差がありますが、この画像からは分かりにくいんですよねぇ。

     






−−−−−−と、言う訳で、日々雑感と掲示板とP−2Z赤道儀画像を同一ページにまとめてみました。こういった方法が良いのかは疑問ですが、当時に掲示板で発言していただいた方も応援企画と言うことでご理解いただければ幸いです。−−−−−−

店主:ten.




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