一寸法師
一
指に足りない 一寸法師
小さな体に 大きな望み
お椀の船に 箸の櫂
京へ はるばる のぼり行く
二
京は 三条の 大臣殿に
抱えられたる 一寸法師
法師 法師と お気に入り
姫のお供で 清水へ
三
さても帰りの 清水坂に
鬼が一匹 現れ出でて
食って掛かれば その口へ
法師たちまち 踊りこむ
四
針の太刀をば 逆手に持って
チクリチクリと 腹中突けば
鬼は法師を 吐き出して
一生懸命 逃げていく
五
鬼が忘れた うちでの小槌
打てば不思議や 一寸法師
一打ちごとに 背が伸びて
今は立派な 御殿様