金森昇先生の霊前にて


平成16年12月、故鈴木多聞師の高弟で、西海町で歯科を営んでいた金森 昇先生が他界された、との
知らせが奥様より27日にあった。
なんだか無性にそんな気がしておととい、佐世保の共済病院を訪ね、金森先生を見舞ったばかりだった。
部屋には先生が一人、なんだか苦しそうな感じでおられたのでお話しもせずに
心の中で「先生、頑張って」と念じて帰ったのだが、どうもその直後に 様態が悪化し、翌日は危篤になられたとのこと。
私が意識のあるうちに逢えた最後の訪問者になったようだ。

28日夜が通夜、そして明後日29日昼が葬儀、
どうしても主人のために追悼の尺八を吹いてください、との奥様のご依頼、
それが私が先生と残された家族にしてやれる唯一の報恩の手段である。
心を込めて「手向けの曲」を献じたい。
28日、お通夜に参列し、「手向け」を献じさせていただいた。
私達吹禅家はこの日のために尺八修行をしてきたような気もする。
霊前で献奏の機会をいただけたことは、私にとってもっとも光栄なことでした。


気丈夫にされている奥様、それだけに返って悲しみが深まる。 もう明日からは一人ぼっち、
西海町の片隅でいかばかりか、さびしいことだろう。

尺八が好きでたまらなった金森昇先生、
その先生のご葬儀に際し、ご仏前で先生の一番好きだった「薩慈」を献笛させていただいた。
本当にこの日にために鈴木多聞先生の下で共に修行を重ねてき、
そして兄弟子である金森先生のご仏前で成果を披露することができた。

初七日の法事では「鶴の巣籠り」を演奏させていただいた。

金森先生、本当にお世話になりました。
心からご冥福をお祈りします。
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