虚無僧静風の今日の1品


N016、一節切時代に吹かれた洞簫

写真で解るように竹材はあめ色に光っており、歴史を感じさせます。
茶杓の竹材です。裏に樋、血漕ぎも通っています。

歌口は中国の洞簫形式で、尺八の唐切りではありません。
刻まれた字句は「一陣涼風 従如来 心外 不覚 生粟」とあり
中国宋時代に好まれた禅風のようです。
尺八を好んで吹きながらも、中国の楽器にも見識のあった高僧が
自分の吹き料として吹き遊んだものと推測されます。

恐らく日本国内で作られたもので、南音尺八洞簫が普及する以前の洞簫です。
福建省から長崎に南音洞簫が移入されてからは尺八は多節となり、管径は太く、
1尺8寸管が主流になりましたから、

願わくば尺八史を研究する専門家に持っていただきたい逸品です。
ただ貴重品ゆえに上部の割れ修復は専門家に任せたほうがいいと思います。
とりあえず糸で仮締めしていますが、とてもすばらしい音色です。
希望価格 5万円