二胡の材料


二胡の木の部分に用いられる材料は以下のようなものがあります。
紅木(白酸)→花梨→烏木(黒檀)→老紅木(紅酸)→紫檀ー白壇の順番で上等となります。
音色の違いは皮の厚さにも影響されるので同じ材質の二胡でも一様の音が出るとは限りません。

[白檀(びゃくだん)]
二胡にも色々な材の物がありますが白檀は現代の材料としては最高の材になります。
現地では檀香と呼ばれます。白檀は値が高騰し、白檀材二胡ともなりますと近年かなり入手が困難になっています。
ですから白檀二胡は見つける事がかなり困難です。まして龍頭二胡は稀少です。


[紫檀(したん)]
紫檀もピンからキリまで、何でもかんでも紫檀といいますので要注意です!!
気乾比重も 0.82〜1.09と幅広い。
中国で小葉檀(xiao ye tan)とも呼ばれているのが本紫檀と考えていいでしょう。
この材料は現在では入手が困難なため、価格が年々高くなっています。
紫檀の材質は密度が最も高いため、湿度に強い特徴を持っています。
深みのあるやわらかい音色です。下の写真は最高級品です。
 

[血紫檀(けっしたん)]
中国では一般に大葉檀(da ye tan)とも呼ばれているもの。
本紫檀に比べて入手しやすい材料、
葉が大きいので育ちが早い、ということでしょう。
やわらかく、響きのいい音色です。


[老紅木(ろうこうぼく)]
一般的に、中国で最高級品とされる老紅木(製)と言うのは、インドシナ産の本紫檀の事で、
古い高級家具に使われていた為、今ではそれらの内の壊れて使えなくなった古家具から、
材料を切り出して楽器等に加工して使っています。
量も限られ非常に希少価値のある材料です。
古ければ古いほど貴重で高価なため、新しい老紅木はほとんどタイから輸入されています。


[インド鶏血紫檀(けっしたん)(別名 インド産レッドサンダー)]

われわれ日本人が紅木と言う場合、インド産レッドサンダーの事をいい、主に三味線や琴の最高級品として使われてきました。
インド鶏血紫檀は、中国宮廷家具によく使われた高級な木材です。
成長が遅い為、伐採まで数十年から百年以上の時間が必要です。
それ故に非常な高価な材木として楽器・家具を問わず高級素材として重用されてきました。
ここ数年、文化財の修復が中国政府によって大大的に進められ、
その中で老紅木(本紫檀)に替る物として、 益々需要が増え、値段も高騰しつつあります。

[薔薇壇(バラ壇))]
今では、中国で老紅木に次ぐ高級材となっていますが、使われだしたのはまだ最近の事です。
原産地はアフリカ(マダガスタル)で、マダガスタル紫檀とも呼ばれています。
東南アジア産の木材が、近年益々少なくなりつつあり、政府による規制も厳しくなってきた関係で、
その替わりにアフリカ材が大量に使われ始めてきています。

バラ檀は家具業界では黒檀材として使われていますが、黒檀より多彩な木目を持ち、楽器製作にも適した木材です。
花檀で作られた二胡は他の材質のものよりも、独特の音色が出ることから、
上級者の方や違う音色を楽しみたい方の二本目の二胡として愛用されています。
  

[黒檀(こくたん)]
中国では「烏木(wu mu)」と呼ばれています。
気乾比重は 0.82〜1.09と重い。
紫檀に比べて値段も安く、日本ではもっとも人気が高い材料です。
明るく、透明感のある音色です。


[酸枝木(スワン ツー)紫檀]
今日本で一般に紫檀と呼ばれている物は、いわゆる「本紫檀」ではなく、
中国では酸枝(スワンツー)と呼ばれる東南アジア産の材料です。
色も浅く、少し黄っぽい色の木で、木の繊維は紫檀に近いのですが、
色は花梨にも近いので、間違える方も多いようです。


[紅木(こうぼく)]

それ以外に、日本や台湾、そして中国で一般の新しい中国式高級家具に、よく紅木家具という標示がしてありますが、
これは本来の紅木ではなく、花梨、あるいはその類似品が使われています。
その為、花梨材を(紅色に着色してある物)紅木と思われている方も多いようです。


[花梨(かりん)]
国内では紅木も鉄梨木も「花梨」ということが多いようです。
酸枝の次に花梨が来ますが、古筝(中国琴)や二胡また琵琶でも花梨が使われる事は少ないようです。
替わりに、月琴や阮、また三弦ではよく使われます。
気乾比重は 0.56〜0.67と軽い。
硬さや粘り気、弾力など材の性質に合わせて、それぞれ適した場所に使われるのです。


[鉄梨木(てつなしぎ)]
その下に鉄梨木、そして色木(ブナ材)となりますが、生地仕上げでなく、
二胡のように着色・塗り仕上げされてしまうと一見生地が分からず、
本紫檀のように(赤黒く)見えてしまいます。
気乾比重は 0.82〜1.02と重い。


椿二胡工房さんのサイトに判りやすくまとめています。クリックしてみてください。


[蛇皮]
蛇皮は二胡の音質を変える大事な部分、
二胡によく使われるのは熱帯雨林に生息しているニシキヘビ
現在その数は激減しワシントン条約により輸出規制の対象品になっています。
現在二胡に使用される蛇皮の殆どは東南アジアで養殖されているものです。
蛇皮が取れるまでには3年から5年程かかるそうです。

よい蛇皮の条件とは、弾力性に優れ、鱗の大きさが均一且つ密度の高いものとされ、
鱗の大きさだけでは蛇皮の良し悪しは判断できません。
蛇皮は尻尾に近いほど厚くなり、力強い音を出すことができますが、加工はより難しくなります。
下の写真の出来る限り尾の近く(左側)の肛門辺りが最上級とされています。