奉仕の理想探求語録    第17号

            長崎東ロータリークラブ 雑誌委員会

 

青春の詩           (友1999−6号  守口  横尾定美)

 

去る1月、守口クラブがホストとなり「不況下におけるロータリー活動」をテーマに

IMが開催された。

その基調講演の講師として大阪クラブの宇野収氏お願いしたところ

「ロータリー活動と青春の詩」という演題をいただいた。

宇野氏といえば、我が国財界の長老である。

さぞかし、当面する経済危機の話になるものとばかり思っていた私たちは、ちょっと驚いた。

しかし考えてみると、氏は幻の詩人といわれたサムエル・ウルマンの「青春の詩」の紹介者と

して我が国ではつとに有名な方である。

IM委員長の私は不況の暗い話でなくて良かったと内心喜びながら,一方では,ロータリー活動と

ウルマンの詩どのように結びつくのか興味が沸いた。

「青春の詩」は第2次世界大戦中、マッカーサー元帥が自室に掲げていた座右の詩といわれ、

英文「リーダーズダイジェスト」1945年−12月号に掲載されてから、我が国にも流布

された。ことに宇野氏らの紹介によって、戦後財界人が好んで愛誦し、鼓吹した。日本語訳も

いくつかあって、いずれも格調の高いものであるが、宇野氏に訳文の大意を味わって見たい。

「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方をいう。(中略)

青春とは人生の深い泉の新鮮さをいう。年を重ねただけでは人は老いない。

理想を失うときはじめて老いる。

歳月は皮膚にしわを増すが、情熱を失えば心はしぼむ。(中略)

霊感が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ、悲嘆の氷に閉ざされるとき、

20歳であろうと老いる。

頭を高くあげ希望の波をとらえる限り、80歳であろうと人は青春にして已む」

宇野氏によれば、戦後日本のめざましい復興を助けた米国思想は、理論面ではW・E・デミングの

「QC運動」であり、精神面ではウルマンの「青春の詩」の2つだそうである。ことに

「青春の詩」は当時の経営者達を鼓舞し、復興の原動力となった。氏は大不況の今こそ

ロータリアンと言わず、経営者と言わず、この詩を高く掲げていきたいと強調された。

サムエル・ウルマンは決して事業の成功者ではなかったが、アラバマ州バーミンガムに移り

住んでからも、荒物屋を営みながら社会活動のリーダーとして活躍した。また市の教育委員長、

ユダヤ教エマニュエル寺院の宗教指導者としても社会奉仕に尽くした。

彼はロータリアンではなかったが彼の奉仕活動はロータリーの信条

「He Profits Most Who Serves Best」を地でいった人であると、

宇野氏は述べられた。