正倉院洞簫と一節切と天吹


私は普通の尺八も作るが、正倉院の洞簫や一節切や天吹を作ることも結構多い。
正倉院の洞簫は太さが2,5センチ程度と細身で1尺3寸強、3節5孔、
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3節で手孔は表に5孔、裏に1孔ある。
音階は
    ロ、 ツ、 レ、 チ、 リのメリ、 リ、 イ  となる。

一節切は1尺1寸程度、血漕(樋)のあるのを良しとする。
樋がはっきり見える。   
 
歌口が根側であることが現在の尺八とは反対である。
音階は
    ロ、 ツ、 レ、 チ、 リ、 イ  となるがリとイはかなり高くなる。

天吹は29センチ程度、3節、唄口が中国の簫と同じ、内側から削っている。
 
唄口が中国の簫のように内側から削っている。


もともと尺八は百済や中国の唐から移入し、
聖徳太子が吹いた3節時代から始まって一休禅師の時代に
一節切の1節時代を経て、江戸中期にまた3節に戻る。
そして隠元禅師の来日以降、根付きの多節尺八に変わっていく。

なぜ一休さんの時代に唄口を根の方にひっくり返し、1節にしたのか?
ちょうど茶杓と同じ樋(血漕)のある部分を尺八に使っているところに
何か秘密がありそうな感じもする。
連歌や茶会に使われたために数奇、風流を重んじるようになったのだろうか?
お茶も、能、連歌も、一節切尺八も、全ては一休禅師が原点だ。
聖徳太子や一休禅師、隠元禅師を偲び、当時の尺八を作り、楽しむ、
こんな贅沢な余生の趣味はないのではないか、私は幸せ者だ。