私と茶杓

平成15年の夏頃、銅座町のイリスで浜脇天遊師の茶陶展が開催され、
私に会場を晴れやかにするため、茶杓を作って添えてくれないかとの相談がありました。
その頃はまだ茶事にも疎く、茶杓をどう作ればいいかも知りませんでしたが、
天遊師も私の天性を見込んでの依頼と受け止め、
早速いろいろな書物を集め、読みあせり、茶杓の何たるかを勉強しました。

私は刀剣家松林政重の直孫、茶杓は茶道では刀に当たると認識し、
茶器に恥じない茶杓を目指して、先人の有名茶杓の模倣から入り、
小曽根吉朗さんに無理にお願いして茶事を教わり、
また茶器を集め、茶杓を実際に使って、使いやすさを試しました。
そして展示会までに16本の茶杓が完成、茶器に添えて展示しました。

売り物ではないので「希望者は名簿に茶杓銘を記入しておいてください、
展示会終了時にお届けします。1本1万円」と書いておきました。
何と! 全部茶杓は売れてしまったのです。
残念なのはそのときの茶杓が1本も残っていないことです。

会場で天遊さんと


展示されたお気に入り茶杓、これが一番「予約記帳」早かった!


ほかに出展された代表作

もちろん共筒、1本1本に銘を付けました。


その後、平戸の雄光禅寺や唐寺・興福寺、春徳寺、
市内の茶道の先生方に進呈し、喜んでいただきました。福岡からも依頼が、、
今はそのパワーはありません。まさに神がかりの瞬間パワーでした。
とは言いながら茶杓には未練があります。静風と茶杓

二胡に振り回されたこの10年、身辺整理を進めながら「静風の本分」に
戻れれば、と思います。