漢方徒然草
漢方に関する雑談を毎月、定期的に収載していきます。

                       未病を治す               平成18年9月29日(金)

漢方薬の基本的な考えの一つに「未病を治す」という考え方が有ります。
つまり、病気になる前に病気を治す。例えば、心臓疾患や脳梗塞で倒れる前に、養生をしたり漢方薬を服用して倒れる事ないようにこれらの病気を予防する。
これは、現代医学で言う予防医学になります。人は病気で倒れるとそのダメージは大きく、運よく一命を取りとめたとしても大なり小なり後遺症が残ってしまいます。
また、その後の抵抗力も著しく低下してしまいます。出来る事なら半身不随のような後遺症も無く、健やかに年老いて行きたいものです。その為に漢方医学は有るのです。
その考え方を上手に利用してもらえば、健康に年を取り長生きをして、天寿を全う出来るのです。

         安不忘危 存不忘亡者 往聖之先務     平成19年4月20日(金)  

古典漢方の原文の中には、極めて味わいの深い文章が有ります。

直訳すれば、安にして危を忘れず、存にして亡を忘れざる者は、往聖の先務なり。
意訳をすれば、平安の時代に、危機の時を忘れず、存在している時に、亡ぶ時のことを忘れないことは、昔の聖人のなによりの務めです。

これは、中国古典の医学書というより、現代の危機管理の在り方を説いているような感じさえ受けます。
医学書としての見方では、やはり日頃の健康管理を大事にしなさい。そう言っているようです。
普段健康な時に病気になることを忘れないようにしておく、健康で丈夫な時でも慢心せず、一歩間違えば取り返しの付かない大病になることだってある。
そのような謙虚な気持ちを忘れず、節制して、常に養生することは、責任ある賢明な人間の第一番目の仕事なのです。