今回は税法改正についてお話しする予定でしたが、その前に消費税の大きな改正点である、簡易課税制度についてお話します。
前回、消費税の基本的な仕組みを紹介しましたが、つまり消費税の納付額の計算は以下の通りです。
(自分が預かった消費税)−(自分が支払った消費税)=納めるべき消費税
となります、これが原則的な消費税の納付額についての計算方法です。
しかし、上記のような計算方法だと、支払った消費税を一つ一つ計算し集計しなければなりません。中には、支払った経費のうち
消費税が含まれないものもあります(例えば収入印紙や地代など)、このようなものを選定していくのは、非常に難しく専門的な
知識が必要となります。
この為に支払った消費税は無視して、売上げにかかる消費税(つまり預かった消費税)のみで納付税額を計算する方法が
認められています。この方法を簡易課税といいます。
ただし、この方法をとる為には条件があります
<簡易課税の適用条件>
法人では前々事業年度の税抜き売上げが2億円以下であること
(個人では前々年) (税込み売上げ×100/105)
また、計算方法は以下の通りです。
税抜き売上げ金額×5%−(税抜き売上げ金額×5%×みなし仕入れ率)
「みなし仕入れ率」とは・・・業種別に、支払った消費税はおおよそこれくらいだろうということで定められている率
以下、業種分類及びそれぞれの「みなし仕入れ率」です。
(事業区分) (みなし仕入れ率) (該当する業種)
第一種事業・・・ 90% 卸売業
第二種事業・・・ 80% 小売業
第三種事業・・・ 70% 農業、林業、漁業、建設業、製造業(製造小売業を含む)等
第四種事業・・・ 60% その他(第一種〜第三種及び第五種以外)
第五種事業・・・ 50% 不動産業、サービス業等
<卸売業の場合>
@売上げ金額が税込で 10,500円 だとします
Aするとこれの税抜き金額は 10,500円×100/105=10,000円 となり
B売上げ 10,000円に対し、預かった消費税は500円と分かります。
Cこの500円のうち支払った消費税を90%であるとみなす
Dすると納める消費税は、500円-(500円×90%)=50円となります。
まとめると、売上げ(税込) 10,500円 − 売上げ(税抜き) 10000円 = 預かった消費税 500円
預かった消費税 500円 × みなし仕入れ率 90% = 支払った消費税 450円
預かった消費税 500円 − 支払った消費税 450円 = 納付すべき消費税 50円 となります
こうすると、いちいち支払った消費税を計算する必要がありません。
ただし、これには更に条件がつきます。
この方法を適用したいとする事業年度(個人の場合は年)の前事業年度末(個人は前年末)に税務署長に届出書を
提出しなければなりません。又、一度届け出をすると2事業年度(個人は2年間)はやめる事ができません。
以上が簡易課税制度の概要です。
これで前回とあわせて、消費税の納付税額の計算を2パターンお話しました(原則による方法と簡易による方法)。
しかし税法改正によってその適用要件が変わってしまいます、次回はそのことについてお話します。
簡易課税制度ってなに?