光線治療について

 

 当院で行っている光線治療は、赤外線治療と紫外線治療です。それぞれ簡単にご説明します。

 

赤外線治療:赤外線は熱作用があり、皮膚の深いところまで到達します。皮膚の血行促進作用や消炎鎮痛作用があり、しもやけや円形脱毛症などに効果があります。専用の照射装置で、患部に5分ほど照射します。週に2〜3回行います。

 

紫外線治療:紫外線は皮膚に良くないので、日焼け止めなどで紫外線防御をしてくださいと、あちこちでいわれます。当院でもそのようにご説明しているのですが、専用の装置(赤外線照射装置とは別の機械です)を使って計画的に紫外線を照射すれば、日焼けなどの副作用をほとんど心配せずに治療ができます。紫外線には、日焼けを起こす作用のほかに、皮膚の免疫・アレルギー反応や炎症を抑える働きがあります。以前より、これを利用して、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、尋常性乾癬などの治療に用いられていました。
 十年ほど前までは、患部に紫外線の作用を増強する薬を塗って、しばらくしてから
UVAという紫外線を照射する治療(PUVA療法といいます)が主流でした。私が研修医の頃は、大学病院の待合室に、薬を塗ってから、照射まで待っておられる方が大勢いらっしゃいました。効果はあったのですが、待ち時間がかかる上、治療した日は、患部を日光に当てないようにしなければならず、患者さんの負担が少なくありませんでした。
 その後、薬を塗らずにUVBという紫外線を照射しても一定の効果があることが分かりましたが、UVBは、日焼けや発ガンなどの有害な作用が強く、PUVA療法に代わるまでにはなりませんでした。
 ところが最近UVBの中で、有害な作用が少なく治療効果が高い特定の成分(波長)のみを照射する装置が開発され、次第に使われるようになってきました。これを、「狭い範囲の波長」という意味でナローバンドUVBといいます。ナローバンドUVBは現在、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症などの皮膚疾患に保険適応が認められています。週に1〜3回ほどの治療(照射)で、症状を見ながら照射時間を2〜3分くらいまで少しずつ延ばしていきます。薬などを使わず、すぐに治療でき、治療後もそのまま帰れますので、今後はナローバンドUVBが、紫外線治療の主流になるものと思われます。