「パソコン奮闘記」

 PartX 「いよいよ一人1台!」



自宅に導入

平成8年4月から、派遣社会人として学校に通うこととなった。大学時代に遊んでいたので仕方が無い。当然授業は講義スタイルではなくゼミ形式だ。授業にはレジュメを用意する必要がある。運良く古いパソコンを借用することができ、7月まではそのパソコンを利用してレジュメを作成する。

ところが、そのパソコンを返却しなれけばならなくなった。自宅には、例のワープロしかない。
そうした理由で、パソコンを買おうと決意し、8月に待望のパソコン(Pentium133MHz、メモリ 16MB、ハード容量1.2GB、 画面17インチ OS:Win95) が到着した。


●自宅での利用

自宅では、講義のレジュメを作成するために、もっぱら「Word」「Excel」のソフトを利用する。その他は、年賀状の作成程度だ。あれだけ会社にパソコンを導入したいと思っていたのならば、「Access、Power Point」などのアプリケーションソフト、インターネットや電子メールの活用法など、パソコンの利用価値を研究すべきである。その利用価値が少しでも解れば、社内での導入が進む筈である。

そうは言っても、「自分のために自分のお金で購入したのだ」という考え方も私の頭から離れない。さらに、「仕事を終えて講義を受け、自宅に戻ってレジュメを作成するという生活パターンでは、できる筈が無い」と前向きな気持ちになれなかった。せっかく自宅にパソコンがあるのに・・・。
結果的に、社内での導入が遅れることになったのかもしれない。


良き理解者

こうして半年が経過した時、私にとって願ってもないことが起こった。先輩社員が自宅にパソコンを購入したのである。彼は、パソコン、プリンターの他、スキャナーまで購入した。「会社の情報化を進めるためにパソコンを買ったのではない」と今でも言い張るが、私はそうは思っていない。「Word、Excel、Access」のアプリケーションの利用方法はもちろん、画像データの処理方法を研究したり、その後、私より早い時期にインターネットの接続環境を整え、さらに、ホームページ作成の研究まで行っていたのである。

そのような人が現れると、やっぱり血が騒ぐ。負けてはいられない。この後、私も心を引き締め、自宅で研究するのである。


●新たな課題

さて、私達がパソコンを購入した理由が会社とは無関係であるにせよ、雰囲気的にはパソコン導入について社内で盛り上り始めた。この年、翌年とパソコンが導入され、計5台まで増加している。

これらのパソコンは、若手社員を中心に利用され、Word、Excel はもちろん、Accessで簡単な経理処理や得意先名簿の管理ができるようなった。また、平成9年に遅まきながらインターネットの接続環境(ダイヤルアップ)が整い、接続料と通話料を気にしながらも、いろんな情報をダウンロードしたり、Eメールの活用法を研究している。担当者としては嬉しい限りだ。

ところが、パソコンの導入期によくある話だが、不都合な点が出てきた。一つは、パソコンの設置場所に近い席の社員が使用する頻度が高くなり、社員間のパソコン技能の格差が開きはじめたことである。二つは、ワープロ文書とパソコンで作成した文書の混在である。当然、会議資料も文字書体が異なる文書が混在している。三つは、その文書を作成した機種がワープロであれパソコンであれ、誰が作成し、どのフロッピー、どのパソコンに保存されているのか分からないという問題である。

当時、私の机の中にもワープロフロッピーが10数枚、パソコンフロッピーが5枚程度入っていた。上司から文書の訂正を言われても、該当するフロッピーを探すことが困難になったのである。


●遂に実現!

ワープロ専用機を使用しないという前提に立ち、これらの問題を解決するには、社員のパソコン技能の向上、作成する文書ソフトの統一と情報の一元管理が必要である。それには、サーバーでデータを一元管理(共有)すると同時に、パソコン1人1台体制になれば良い。

言うのは簡単だが、実現には予算をはじめ数多くの課題がある。仮に予算面でクリアーできたとしても、全社員(30数名)が慣れないパソコンを利用するのか疑問だし、中途半端にパソコンの台数が増えたら、かえって技能の格差が広がり、又、ワープロ専用機を使う社員も残るであろう。

おそらく、「パソコン1人1台体制は永遠にこないだろう」と諦めていたのだが、嬉しいことに平成10年度の役員会で1人1台体制が承認されたのである。パソコンが初めて導入された時から実に10年の道程であった。

ハードの導入が決まったこの時から、本当の意味でのパソコン奮闘記が始まるのである。


(工事中)