工作室
出来上がったハザードランプアダプタの消費電流は、動作時に約9mA(除くリレー)、SLEEP時に約5.5mAでした。
PICはSLEEP時の消費電流は0.2μA(typ.)〜5μA(Max. at Vdd=4.5V)となっていますので、殆ど0となるはずです。そうならないのは、3端子レギュレータの静止電流によるものです。
もっとも、この程度の電流で有れば、すぐにバッテリーがあがるようなことはありません。(バッテリーの容量を46Ahとすると、一週間で約2%を消費する計算です。)
しかし出来ることなら無い方が好ましいです。
ハザードランプアダプタは、動作しているのはほんの一瞬で、殆どの時間お休みです。休んでいる間も電流だけは無駄に消費しているというのは何となく気に入らないので、省エネ対策を考えてみました。
といっても、別段特殊な対策を行うのではなく、動作停止中はバッテリーからの供給を停止させます。但しこの場合でもリモコン操作時に動作しなければなりませんので電源のバックアップを行う方法としました。
方針
1.空気2重層コンデンサ(1F)を用いて、PICのVddをバックアップする。
2.動作中は、常時12V電源から供給し、動作が終了しSLEEP状態になるときに供給を遮断する。
3.ACC電源ON時には、空気2重層コンデンの充電も兼ねて給電する。
4.DIPスイッチのプルアップ抵抗の電流を低減させるため、スイッチ読み取り時のみ電流を流す様にする。
回路的には、電源部分と、DIPスイッチ部が変更になっています。
常時12V電源はトランジスタ(2SA1015)を通して7805の入力に接続されます。一方、ACC電源からはダイオードを通して接続します。
動作中は、トランジスタをONとし、ACC電源がOFFであっても常時12V電源から電力が供給されます。動作終了時にはトランジスタをOFFとし電源供給を遮断した後SLEEP状態になります。
尚、このトランジスタの切替のために、RA6のポートを使用しました。このポートはPIC16F84/84Aには有りませんが、DIPスイッチ用の入力ピンのうちの一つを出力として利用すればPIC16F84/84Aでも実現できるでしょう。
7805の出力側にはダイオードと1Fの空気2重層コンデンサを設置します。空気2重層コンデンサと直列に入った抵抗は、コンデンサが空に近いときの充電時の電流を制限するためのものです。
ダイオードは、手元にあった10D1を使用しましたので、Vddは約4.3Vになります。ショットキーダイオード等の順方向電圧の小さい物を使うと、通常時の電圧が高く取れるので最低電圧(3V)との差が大きくなり、その分バックアップ期間が長くなります。
バックアップ期間を試算してみますと、常用の電圧が4.3Vとして最低電圧3Vとの差は1.3V有ります。消費電流が標準値の0.2μAとすると約75日間、最大値5μA(at4.5v)とすると約3日のバックアップが可能な計算です。
SLEEP時の電流を実測したところ、1μA以下でした。この電流で有れば2週間以上バックアップできます。週末にしか乗らない車でも大丈夫ですね。
尚、Vddが4.3Vになったので、ACC電源とパーキングブレーキの入力部の抵抗値を変更し、加わる電圧がVdd以上にならないようにします。ツェナーダイオードを変更するのがよいのでしょうが、手持ちが無かったのでこのようにしてみました。(結局ツェナーダイオードは役に立っていません。)
DIPスイッチ部分は、RA4がオープンドレイン出力であることを利用して、DIPスイッチのコモン側をRA4に接続します。読み取るときは、RA4に“0”を出力することで回路が形成されスイッチの状態が判ります。通常は、RA4を“1”にしておけばスイッチがONであっても電流は流れません。
当たり前ですが、非動作時に常時12V電源からの供給電流はほとんど0です。(実際にはトランジスタのリーク電流等がありますので、完全には0とならず、数μA〜数十μA程度の電流が流れます。)
改造後の基板を以下に示します。
空気2重層コンデンサは基板上にスペースがなかったので、ケースの蓋の裏側に両面テープで貼り付けました。
ソフト的には、RA6を出力とするため初期設定部が変更になっています。また、電源部分のトランジスタスイッチのON/OFFと、DIPスイッチ読み取り用の出力を行うように追加しました。
ソースリスト(Ver.2.0)(LHAにて圧縮されています)