MS外伝アナザー

MS映画編

Made by暗黒騎士ソード


「ふう、ZZガンダムの興業収入は前回の3倍ね」

と、ネルフ本部にあるガンダム開発研究室と看板が掲げられた自分の研究室で笑みを浮かべるリツコ。

「はい、博士!今回も大儲けです」

「そうよそうよ!前回の3倍よ3倍!つまりは、この映画はあの大佐の加護があった証拠ね」

一体どういう理屈なのだろうか。

全くもって不明である。

「して博士。次回作の構想はあるのですか博士」

「もちろんよ。けど、その前にCM映画を作りたいわね。次回作を盛り上げるためにも」

そして、何やら怪しげな計画を実行するリツコであった。



「ううっ……、どうしていつも俺はこんな目に……」

かわってこちらは、リツコによって病院送りになったケンスケ。

全身包帯でグルグル巻きにされており、まさしくエジプトから来たミイラ男そのものである。

「しかも、映画に出たのに出演料が入ってない……。ここの治療費も自腹だし……。くすん……神様……俺が何をした」

さあ、存在自体がコメディですからね君は。

「けど、入院している俺に今度こそ俺にも平穏が……」

その時、数人の黒服がドアを蹴破り侵入してきた。

「わあああああ!ま、まさか……」

「相田ケンスケだな。赤木博士の命令により、お前を連行する。連れていけ」

「や、止めろ。俺はけが人なんだぞ〜」

「我々には関係ない」

のおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜。だ、誰か助けてくれ〜〜〜〜〜

こうして、またもや連れていかれるケンスケであった。



「こ、ここはどこじゃあああああ〜〜〜〜」

椅子に縛れて、リツコの前に連れてこられるケンスケ。

「おほほほほほほほ、よく来たわねケンスケ君。ようこそ、Gの世界へ」

「とりあえず、俺を解放しろ」

「残念だけど、あなたには次回作のCM映画に出演してもらうわ」

「ふざけるな!今直ぐ、俺を解放しろ」

「さて、今回あなたが乗るのは。この、ZM−S08Gゾロに搭乗してもらうわ」

「いやだ!絶対に!」

「じゃ、そういうことでね。ああ、動きは簡単だから。適当に、そのへんを飛行してくれればいいから」

「ううっ、聞いちゃいねえ……。くそ〜、どうせ逃げても捕まるだけだ。さっさと終わらせて帰ろう」

そして、いやいやながらゾロに乗り込むケンスケ。

「それじゃ、リフトオフ!」

「へ〜い、りょうか〜い」

やる気ゼロのケンスケ。

「じゃ、適当に飛行して適当に模擬戦用のライフルで攻撃してね」

「へいへい」

適当に飛行し、適当に攻撃するケンスケ。

その時、レーダーに反応が出た。

「うん?赤木博士、本日はもう1機MSが来るのですか」

「おほほほほほ。レーダーに反応があったようね。そうよ、今回は模擬戦闘も実施してもらうわ」

「へっ?」

「相手は、LM312V04ことヴィクトリ−ガンダムよ」

「なっ!ふ、ふざけるな!ゾロとヴィクトリ−じゃ話にならんだろう!」

「大丈夫よ。ヴィクトリ−には、実戦装備がされているから」

な、なにぃいいいいいいいいいいいい!

「じゃ、そういうわけでシンジ君。とっとと、撃墜してね」

『了解しましたリツコさん』

ビームサーベルを構えるシンジのヴィクトリ−。

「ま、まて碇!俺は、負傷中の人間なんだぞ〜」

『いくぞ、ザンスカールの猫の目MS!』

気合い一線、ビームサーベルでゾロの胴体を切り裂くシンジ。

「こ、こんなバカな……お、おのれ!MAD SCIENTIST〜〜〜〜〜〜〜〜!

真っ二つにされつつ、叫び声をあげるケンスケ。

「おほほほほ、いいわよいいわよ。後は、編集をして次回作へのPRに使うわよ。さあ、私の求めるGはこれからよ」

マッドな笑みを浮かべるリツコであった。

どうやら、また周りの迷惑を顧みず何かを画策するリツコであった。



(おしまい)



%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがき


 おまけ もしもV作戦がこんなんだったら……



その1  だって似てるんだもん作戦名とタイトルが



サイド7。

地球連邦軍のMS開発施設のあるコロニーである。

だが、今はジオンのザクが侵入し阿鼻叫喚の場と化していた。

「テ、テム・レイ大尉!ジオンのザクが……」

「ええい、なんとしてもガンダムをホワイトベースに運ぶのだ。コロニー駐留部隊は何をしている!」

「迎撃してますが、MS相手では……」

「くっ……なんたることだ……。ともかく、いそいでガンダムを搬入するのだ」

「了解」

(にしても、アムロはどこにいるのだ。こんな時のために、私がわざとガンダムのデータを書斎に残していたのに。全く……)

おっさん、そんなことしていたのか……。

「わああああ、た、大尉!ザ、ザクがあああああああああ!」

「ええい。こうなれば、私が直接操縦してでも……」

おたおたするテム・レイと連邦士官。

「曹長殿!連邦のMSを発見しました!これより、撃破します」

「ジーン。油断するな」

「はい!」

そして、ザクマシンガンを構えるジーンのザク。

『ピピピッ!』

「うん、敵機?」

「ジーン、どうした」
「レーダーに敵機反応!MSです」

「MSだと!?だが、視界には……」

「あっ、曹長殿!あれを……」

そこには、高速で飛行しているガンダムがいた。

「……飛んでますね曹長殿」

「……ああ、飛んでいるな」

惚けた会話をする両名。

「お、おい!そこの連邦兵!アレはなんだ!なんで、MSが飛んでいる!」

と、テム・レイに訪ねるデニム曹長。

「そんなの私が知るか!ジオンの新兵器じゃないのか」

「あれは、そこに転がっているMSと頭部が似ているぞ。そっちのMSだろう」

戦闘中なのに、無意味な会話にうつつをぬかす両名。

「そ、曹長殿。あの白いやつがこっちにきます」

「ええい!とりあえず、撃ちまくれ」

ザクマシンガンを乱射するデニムとジーン。

だが、空中を飛んでいる白いMSは信じられない機動力でその攻撃を回避した。

「ば、バカな……。なんて機動力だ……」

そして、やや離れた位置に着陸する白いMS。

『あれ、そこにいるのは父さん?』

と、聞き慣れた声を耳にするテム・レイ。

「そ、その声は……アムロか?」

『そうだよ父さん。父さんこそ、そこで何をしているんだよ』

「お、お前こそ……そのMSは一体……」

『ああ、父さんのファイルを元に僕が開発したLM312V04「Vガンダム」だよ』

「ブ、Vガンダム?」

『とりあえず、下がっていてよ。いくぞ、ジオンのザク』

そう言って、ビームサーベルを構えるアムロのVガンダム。

「そ、曹長殿、どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどうしますか?」

「ええい、うろたえるな!しょせんは、連邦のMS。ゆくぞおおおおおおお!」

やけくそなのか、ヒートホークで切り掛かるデニムのザク。

だが……。

『ボキン!』

アムロは、避けもせずヒートホークの一撃を受けたが、逆にヒートホークが折れてしまった。

「う、うそぅうううううううううううううう!」

「そんな蟷螂の斧が、このVガンダムが通用するか!」

「あわわわわわわわわわわわ……」

「この〜お、ザクめ〜」

ビームサーベルで一刀両断にするアムロ。

「ば、バカな〜」

あっさりと戦死するデニム。

「ああ、曹長殿!お、おのれ連邦のMSめ〜」

無謀にも突っ込むジーン。

「甘い!」

ジャンプしてその攻撃をかわし、逆に背後を取るアムロ。

「なっ!」

「わあああああああ!」

ビームサーベルで、ジーンの乗るザクの頭部を切り飛ばすアムロ。

「ば、バカな……」

「降伏するんだ!これ以上は無意味だ」

「う……ぐっ……わ、わかった……降伏する」

あっさりと降伏し、MSからおりてくるジーン。

「父さん。終わったよ」

「え……あ……そ、そうか」

「じゃあ、このMSを連邦軍の艦に運べばいいんだね」

「あ、ああ……やってくれるのか」

こうして、連邦軍の危機は意外な形で回避された。



その2 赤い彗星 サイド7に散る?



「ほう、これが我が軍の新型MSか……」

と、MSデッキで新型MSを眺めるホワイトベース艦長パオロ・カシアス中佐。

「で、テム・レイ大尉。あれは何かね?資料にないMSだが……」

Vガンダムを見るパオロ艦長。

「はっ!じつは、私の息子が開発したMSでして」

「ほう。御子息がか……。話では、我が軍のMSより小型でしかも飛べると」

「は、はあ……その通りで」

「ふむ……今は緊急事態だ。君は悪いが、御子息にはこの艦の守りについてもらう。ブライト中尉」

「はっ!艦長殿!」

「君が、MS部隊の指揮を執れ。と、言っても、今はあの白いMSしか稼動していないがな」

「了解しました艦長殿」

こうして、とりあえず何の問題もなくサイド7から出向するホワイトベース。

「艦長!レーダーに反応!ムサイのミサイルです!数2」

「狼狽えるな!ブライト中尉。Vガンダムを発進させろ」

「はっ!Vガンダムのアムロ君。準備はいいかね」

『はい、問題ありません。Vガンダム、アムロ……いきま〜す』

カタパルトから射出されるVガンダム。

「あれか……いけ〜!」

ビームライフルで攻撃するアムロ。

狙いは外れず、二発のミサイルは撃墜された。

「凄いな。射撃精度も、桁違いだな」

感心するパオロ艦長。

「続いてモビルスーツを確認。い、1機は早いです。通常の3倍です」

「な、なにっ!シャ、シャアだ……。赤い彗星だ……」

「赤い彗星?」

と、ブライト。

「ルウムでは、シャア一人のために五隻の戦艦が落とされた。くっ……なんたることだ……」

愕然とするパオロ。

『大丈夫です。僕が迎撃します』

「や、やれるのか?アムロ君?」

『はい。いきます!』

そう言って、バーアニ出力をあげるアムロ。

「少佐!あれが、連邦の新型です」

「な、なんだ!?あのスピードは!デタラメだぞ!」

あせるシャア。

「ど、どうします。少佐殿の機体より早いです」

「案ずるな!モビルスーツ戦闘は、機動力だけではない!」

「はっ!分かりました少佐殿」

ザクマシンガンを構える2機。

「もらった!」

ターゲットスコープに、Vガンダムを捕らえるシャア。

そして、トリガーを絞った瞬間、無数のマシンガンの弾がVガンダムに襲い掛かった。

「甘い!そんな武器で!」

あっさりと回避するアムロ。

「バカな!直撃コースのはず!」

「少佐殿。自分が足留めします。その隙に」

「うむ。頼むぞスレンダー」

「はい!」

ザクマシンガンで攻撃するスレンダー。

だが、あっさりとかわされた。

「ダメです。機動力が違い過ぎます」

「あっさりと諦めるな」

叱咤激励するシャア。

「くそっ!次こそは!」

再び、ザクマシンガンを構えるスレンダー。

だが、それが命取りだった。

「いただき!」

ビームライフルで撃ち抜かれるスレンダー。

「しょ、少佐〜!」

「ば、バカな……。一撃で」

驚愕するシャア。

「次は、シャアだ!」

「い、いかん……。ここは、一時退却だ」

慌てて逃げるシャア。

「逃がすか!」

『アムロ君。追撃はいい。至急、本艦の護衛に戻れ』

そこへ、パオロからの指示がきた。

「了解しました。これより帰投します」

帰還するアムロ。

その後、ジオン軍にはアムロのVガンダムをこう呼ぶようになった。

『連邦の飛来する白い悪魔』と。




シードネタ
後日談 



地球とプラントの戦いが終わって数年後。

プラントで復興事業に従事しているイザークの元に、地球から一通の手紙がきた。

「うん、手紙……?しかも、紙の手紙なんて誰からだ」

不思議に思うイザーク。

「とりあえず差出人を確認してみるか」

手紙を裏返すと、意外な人物からであった。

『アスラン・ザラ』

「アスラン?アスランからか」

驚くイザーク。

「まさか、あいつから手紙とは……。しかし、今らな電話でも十分なのに。ま、几帳面なあいつらしいといえばあいつらしいが」

そう言って、封を切るイザーク。


『イザーク様へ
 
 久しぶりだな。

 本当なら、直接にでもあって話がしたいがオーブの復興が思いのほか大変でな。俺も、毎日がてんてこまいだよ。そっちのほうはどうなんだ。ニュースじゃ、地球にくらべると復興は早いみたいだな。

 ところで、手紙を出した理由だが、お前、一度地球に来てみないか。前は、戦争でたまたま地球に来ただけだからな。今度は、ナチュラルもコーディネーターも関係なく一人の人間として地球に来てみないか。お節介かもしれないが、お前にも今の地球を見てほしい。それに、お前の額に傷をつけたストライクのパイロットでもあったキラも、お前に会いたいと言っている。お前とキラには色々あるけれど、決して悪いことじゃないと思うぞ。それじゃ、いい返事を待っている。

     
                              かつての戦友 アスランより』

「アスランのやつ……。しかし、地球か……。確かに、前は戦争で地球に降りただけだからな。行ってみるか地球に。それに、かつての隊長殿のお誘いだ。断るのは失礼にあたるしな。よし、行くか地球に」

こうして、イザークの地球行は決定した。


それから数日後。

イザークは、地球に来ていた。

「さてと。入国審査も済ませたし……。あとは、ロビーにアスランが迎えに来ているはずだが」

きょろきょろと、ロビーを眺めるイザーク。

「おーい、イザーク。ここだここだ!」

ロビーの奥から、手を振りながらやってくるアスラン。

「アスラン!久しぶりだな」

「ああ。元気だったか」

「まあな。ところで、お前も大変そうだな。オーブのお姫さまと結婚したんだって」

「知っていたのか」

「そりゃそうだ。こっちでもニュースになっていたぜ」

「へぇ〜。全然知らなかった」

「気楽だなお前は……」

「ま、立ち話もなんだし。表に車を待たせている。早速行こう」

「了解しました隊長殿」

そう言って、空港を出て車に乗り込む二人。

「ところで、お前はいま何をやっているんだ?」

「俺か。俺は、オーブ行政官さ。ま、コーディネーターだから色々と技術的なことで手助けしているのさ」

「つまりは公務員か?」

「ま、そんなところかな……」

苦笑するアスラン。

「ふーん。じゃあ、一緒に地球に残ったディアッカもか」

「ああ。ディアッカは、港湾復興事業部に所属しているよ」

「なんか、ぴったりのような部署だな」

「あはははは。そうかもな」

「で、俺を何処に連れていってくれるんだ?」

「まずは、ストライクのパイロットの家と言えば分かるよな」

「いきなりそこか……。お前、昔からストレートだよな」

「けど、後回しにするよりはいいだろう」

「ま、そうだな」

そして、キラの家に到着した。

「へぇ、意外とこじんまりした家だな。ストライクのパイロットの家は」

「ああ。でも、裏の庭は広いよ。奥さんが、家庭菜園をやるのが好きだから」

「奥さんって……お前の元婚約者だろう」

「ああ。でも、俺とキラは今じゃ兄弟だから」

「確かに。そういや、お前の嫁さんはオーブの元首なんだろう」

「ついでに言うと、キラの姉らしい。もっとも、本人の談だが。それより、キラは今日はいるのかなあ。あいつ、仕事を夜遅くまでやっているからな」

「普通、事前に調べておくだろう」

「それもそうだな。ま、インターホンならせば判るだろう」

「アバウトだな」

とりあえず、インターポンをならすアスラン。

『はーい。どちらさまですか?』

と、女性の声がした。

「あっ、アスランです」

『あら。アスランですの。今、ドアを開けますわ』

そして、家のドアが開き二十歳ぐらいの女性が出てきた。

「いらっしゃいアスラン。あら、そちらの方は?」

イザークを見て、誰か尋ねる女性。

「以前、話していた戦友のイザークです。ヤマト夫人」

「他人行儀はよして下さいアスラン。昔どうり、ラクスで結構ですわ」

と、笑顔で話すラクス。

「しかし、あなたはもうキラの奥さんですから。その、昔のようには」

「大丈夫ですよ。それより、キラに会いにきたのでしょう。さあ、イザークさんもどうぞ」

そう言って、家に招き入れるラクス。

「じゃ、お邪魔します」

「し、失礼します」

アスランに続いて、キラの家に入るイザーク。

「あなた。アスランと、そのお友達ですよ」

リビングでは、コーヒー片手に書類整理をしているキラがいた。

「アスラン?どうしたんだい、いきなりやってきて?それに、そっちの人は?」

「よう。ワーカーホリック予備軍。自宅にまで、仕事を持ち込んでいるのか」

「それは、君の奥さんであるカガリに言ってくれよ。復興が遅れているからって、仕事のスピードを上げろって言うんだから」

「ま、無茶は姉弟そろってってやつか。それより、紹介したいやつがいる」

そう言って、後ろにいたイザークを引き合わせるアスラン。

「この人は?」

「お前には、デュエルのパイロットと言えば判るな。イーザクだ」

「始めまして……って言えばいいのかな。元ザフト軍MSパイロットのイザークだ」

なんとなく、ぶっきらぼうに自己紹介をするイザーク。

「そう、君が……デュエルのパイロット。始めまして。僕は、キラ・ヤマト」

「正直……」

「えっ?」

「正直。お前には、言いたい事がたくさんあった。ニコルの事とか……」

「イザーク!」

「わかっているよアスラン。もう、過ぎた事だ。それに、あれは戦争だったんだ。誰を責める事でもない」

「イザークさん」

「イザークでいい。周りの人間にはそう言わせている」

「じゃあ、僕もキラって呼んでくれるかな」

「ああ、そうする。しかし、お互いコーディネーターなのに敵対していたとはな」

「そうだね。けど、今は違う」

「それは、俺にも言える事だぜイザーク」

「全くだ。ところで、お前達はあれからずっとオーブにいるのか」

「ああ。俺は、オーブの主席行政官をやらされているよ。キラは、作業用MSのシステムエンジニアだ。もっとも、二人とも有事には軍人に復帰することにもなっているがな」
「そりゃ、大変だな」

「確かに。カガリは、人使いが荒いからね」

苦笑するキラ。

「そいつは、プラントでも同じだよ。俺なんか、復興事業部の仕事にプラント警察部隊の司令官だぜ。正直、アスランがこっちに来ないかといってくれたが。休暇を取るのに一苦労だったんだぜ」

「どこもかしこも人手不足か。それだけ、戦争の爪痕が残っている証拠だな」

「ところで。ディアッカのやつはどうしているんだ?あいつも、地球に残ったって話だが」

「ああ……」

「彼ね……」

と、バツのわるそうな二人。

「うん、どうした二人とも」

「まあ、ディアッカに関しては地球に残ったのは幸せだったのか考えさせられるな」

「僕もその意見には賛成だね。まあ、当人は不満がないと言っているけど」

「な、なんか話が見えてこないが……」

「とにかく、ディアッカの家にいくか」

「そうだね」

こうして、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしているイザークを連れてディアッカの家に行くアスラン達。

そして、ディアッカの家。

「さてと、ディアッカは帰っているのかな」

「そろそろ判るんじゃないアスラン」
「?」
さっぱり、会話の中身が理解できないイザーク。

「おーい、ディアッカ。いる……」

『うぎゃあああああああああ〜』

その時、家の中から悲鳴が聞こえてきた。

「い、今のはディアッカの声じゃ……」

驚くイザーク。

「だね」

「どうやら、朝帰りをしたなあいつ……」

何ごともないように、事態を受け止める二人。

「とりあえず、入るとするか」

「そうだね。ミリアリア、お邪魔するよ」

そう言って、玄関をあけるキラ。

そこには、コブラツイスかけられているディアッカと憤怒の形相になっているミリアリアがいた。

「全く!遅く帰ってくるなら、電話ぐらいしなさい。それに、ここ最近はいつもいつも酔っぱらって帰ってきて!少しは考えなさい!」

「わ、悪かったミリアリアさん。だ、だからコブラツイストは勘弁してください。本気で入ってます」

「あの〜、ミリアリア」

おそるおそる声をかけるキラ。

「あら、キラにアスランじゃないの。いらっしゃい」

平然と話すミリアリア。

ちなみに、ディアッカにはコブラツイストをかけたままである。

「ディアッカ、また朝帰りか。奥さんに心配をかけるなよ」

「そ、それより……お、俺を助けてくれ……。このままじゃ、本当に死ぬ……」

アスランに助けを求めるディアッカ。

「お、おい、ディアッカ……こ、これは一体……」

ボー然とするイザーク。

「うっ、い、イザークが見える。も、もしかして、これは走馬灯なのか……」

いよいよ、落ちかけるディアッカ。

「俺だ。目の前にいるぞ」

「ははっ……いよいよ、俺もダメか。だが、惚れた女によって殺されるなら」

「こら、死ぬな!」

ベシッと、頭を叩かれるディアッカ。

「ほら、お客さんよ。いらっしゃい。ところで、どちら様で」

「あ、自分は元ザフト軍MSパイロットのイザークと言います」

「ザフトの?ああ、ディアッカやアスランさんが話していた同僚ね」

「え、ええ。ところで、一体こいつは何をしたんですか?」

「朝帰りよ。しかも、酔っぱらって帰ってきて。最近飲みすぎなのよ。いくらコーディネーターでも、度を超せば体が壊れるのに」

「ごもっともで……」

弁護する気力すら無くなるイザーク。

「まあ、とにかくみんなあがってよ」

「それじゃ、お邪魔すつよミリアリア」

ガヤガヤと、ミリアリアの家に入っていく一同。

ちなみに、イザークがソファーに座るまで廊下で気絶していたディアッカのことは全員が完全にわすれていた。

「いつつつつつ……。もうちょっとで、本当に死ぬところだった。ニコルとミゲル先輩が見えたよ」

首を回しつつ、愚痴をこぼすディアッカ。

「ディアッカが悪い。夜遅くに帰ってくるのがいけない」

「け、けどよ……。俺だって、付き合いってものが」

「いくらコーディネーターだって、飲み過ぎれば毒でしょう。全く、酒を覚えてからいつもこうなんだから」

そこへ、料理を運んできたミリアリアがやってきた。

「あっ、どうも」

丁寧に礼を述べるイザーク。

「ゆっくりしていってね。せっかくの戦友に会ったのだから」

「ええ。でも、いいのですか。その、俺は……」

「気にしないの。だって、それを言っちゃお互い仇同士でしょう」

「はあ、まあ……」

「しっかし、お前は本当に強いな。これでナチュラルなんだから……」

「本当にナチュラルなのか?」

不思議に思うイザーク。

「ああ、そういやイザークは知らないんだよな。キラから聞いたんだが、あいつはヘリオポリスの総合格闘大会じゃ連続優勝を決めているんだ」

「けど、それはナチュラル同士の大会じゃあ……」

「それが、コーディネーターも参加していたよ。それに、あのキラさえ勝てなかったんだから」

「う、嘘だろう……」

「事実だ。しかし、それだけ運動神経があれば、お前が代わりにストライクに乗っていればいいんじゃなかったのか?」

「だったら、あんたはまっ先に私が始末していたでしょうね」

「うっ……そ、それは……」

ミリアリアに睨み付けられ、畏縮するディアッカ。

「ディアッカ……クルーゼ隊長が見たら情けなく思うぞ……」

「だ、だがよ……あいつを怒らせたら本気で手がつけられないぜ」

「お前、結婚して幸せか……」

「ま、まあ、それなりに……」

「そうか……まあ、頑張ってくれ」

どう反応していいか分からないイザーク。

「ま、明日は俺はオフだ。キラとアスランは、仕事があるから。まあ、のんびり観光と洒落込もうじゃないか。ついでに、俺達が密入国したポイントとかもいってみようぜ」

「そいつはいいな」

「おいおい、そいつはカガリの前では内緒にしてくれよ。バレたら、俺たちは処刑させるぜ。なんせ、女王様だからな」

「確かにな。でも、お前のかみさんはもうしっているぜ。この前、俺が話したら笑っていたぜ。ついでに、お茶でもしにくればいいのにと。それに、だいぶ以前から知っていたみたいだぞ」

「そ、そうなのか……」

あせるアスラン。

「まあ、戦争だし。仕方ないだろうって言っていたよ」

「そ、そうか……。それは何よりだ……」

安堵するアスラン。

「なあ、お前もアスランもなんか結婚してからかわってないか」

「ま、結婚すればいろいろあるのさ。それによ、いいもんだぜ家族があるってことは」

遠い目をするディアッカ。

「やっぱ、かわったなお前」

「ま、守るモンができたからな」

「なんか、うらやましいな。俺も嫁さんを探すかな」

「そいつはいいな。その時は、俺も呼んでくれ」

「イザークも、身を固めるか。そいつはいいな」

同意するアスラン。

「ま、その時は呼んでやるぜ隊長殿」

「ああ、待っているぜ」

そう言って、グラスを交わす三人。

そして、夜はふけていった。


(おわり)


 暗黒騎士ソードさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
 
 興行収入で懐が温かいリツコさん。次なるお金儲けの為に、またケンスケが犠牲に(笑)

 ケンスケが乗る機体は「ゾロ」なので次回作はVガンダムですね。そしてシンジ君の乗るVガンダムに撃墜されるケンスケ、リツコさんがいるかぎり彼に安息の日々は来ないでしょうね。

 リツコさん、カテジナさん役は誰?と感想を送りましょうね。
 
 とっても素敵なSSをくださった
暗黒騎士ソードさんに皆さん感想を送りましょう。

 暗黒騎士ソードさんのHPはこちら!「反乱軍総司令部『イルナーダ』

 皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!


投稿:MS外伝アナザー MS映画編