MS外伝4

-ガンダムF91-

Made by 暗黒騎士ソード

ここは、シンジとアスカが住んでいるコンフォート17。
これよ、これよ、これよ〜
と、部屋で叫んでいるのはアスカである。
「これこそ、あたしとシンジに相応しいシナリオよ」
妙にハイテンションなアスカ。
よく見ると、DVDのケースがあちこち散らばっておりアスカ自身も目の下にクマを作っている。
「あとは、このストーリーの実現ね。けど、キャスティングをもう少しいじったほうがいいわね。とくに、この役を引き受けるには……。そうよ、あいつがいいわ」
ポンと手を叩くアスカ。
「よーし、あとはあのMSオタクのリツコにこれを見せればいいわね。きっと、リツコも賛同してくれるわ。そして私はシンジと……」
すっかり、弛みきった表情でなにやら中学生にしてはいけない妄想を抱いているようである。


でもって次の日
「リツコ、見て欲しいものがあるの」
と、リツコの部屋に入るなり数枚のレポート用紙を見せるアスカ。
「なにアスカ。いっておくけど、あなたが大学で専攻していた分野は私の専門外よ。そういった論文なら冬月副司令に……」
「違うわよ。MSに関するものよ」
「へえ……」
キュピーンと、目を光らすリツコ。
「みせてもらいましょうか」
そう言って、食い入るようにレポート用紙を見つめるリツコ。
「なるほど。面白い内容ね。特に、この役に彼を起用するにはいいわね」
「でしょう。で、実現は可能なの」
「ええ、問題ないわ。けど、どうしたのアスカ。わざわざ、こんなものを考えるなんて」
「えっ、いや、その、あの、つまりそれは……」
顔を真っ赤にしているアスカ。
「ま、いいわ。それより、また私のGへの道が一歩近付いたわ。おーっほっほっほっ
もはや、奇声の領域に近い声をあげるリツコであった。


同日 第3東京市郊外
「ふっ、今日でこの街とお別れか」
と、自転車にまたがり黄昏れている迷彩服姿の男の子がいた。
「けど、これで俺は解放される。そう、あの狂科学者のいるこの街から」
黄昏れている男の子は、ケンスケであった。
どうやら、リツコから逃れるために第3東京市を抜け出すようである。
「見送りがいないのが寂しいが。ま、男の一人立ちはこんなものさ。さあ、見果てぬアルカディアへ」
そう言って、自転車をこぐケンスケ。
しかし、彼の幸せは長続きしなかった。
『キキッー』
突然、目の前に黒塗りの車が飛び出してきた。
「わああああ!?あ、あぶないじゃ……ってこのシーンは!?」
「相田ケンスケだな」
車から、数人の男が降りてきてケンスケにそう訪ねた。
「ち、違う……お、俺は断じて相田ケンスケではない」
「どうやら本人だな」
「くっ、捕まってたまるか」
逃げ出すケンスケ。
「むっ、逃がすか」
タイヤを打ち抜く黒服。
「どわ〜!?」
地面に顔面をぶつけるケンスケ。
「あたたたた。だ、だが、この程度では……」
「むう、目標が逃亡を試みた。プランをBに変更。よし、かかれ〜」
わあああああああああ〜!?
こうして、またまた黒服にぼこぼこにされるケンスケでした。


「おほほほほほほ、ようこそ相田ケンスケ君」
と、ネルフではリツコがケンスケを出迎えた。
「な、なんのようだこのMAD SCIENTISTめ」
「あら、ご挨拶ね。こんどは、MAに乗れるのよ」
「MA〜!?あの、ガンダムシリーズでは、重装甲重装備だけど実はやられ役のMAか」
「ま、そうね。設計はいいけど、実は引き立て役のMAに乗るのよ」
「ふ、ふざけるな。MAなんかに乗ってられるか。俺は帰る」
「むっ、逃がさないわよ。彼を押さえなさい」
『了解』
数名の白衣を着た男達がケンスケを取り押さえた。
「や、やめろ、何をしやがる」
「うふふふふふ、今回はどうしてもMAに乗る前にこれを注射しないといけないのよ」
と、一本の注射を取り出すリツコ。
中の液体は、白濁しておりどうみても人体には有害に見えた。
わあああああああ、やめろおおおおおお〜。俺をはなせええええええええええ
「うふふふふふ、痛いのは一瞬だけよ」
そして、ケンスケの静脈にプスッと注射針が刺さった。
「はうっ、目の前が……」
そして、ケンスケの意識はフェードアウトした。


ところかわって、こちらはネルフのケイジ。ここには、シンジとアスカが腕を組んで歩いていた。
「ねえシンジ」
「なにアスカ」
「もしさ、もし私が戦闘中に行方不明になったら助けに来てくれる」
「もちろんだよアスカ」
「うれしいシンジ。じゃ、御褒美」
そう言って、シンジにキスするアスカ。ちなみに、周りにはネルフの作業員が大勢います。(笑)
「ところでアスカ」
「なに」
「あの機体は何かなあ(汗×10)」
「さ、さあ……。(リツコのやつ、なに考えてるのよ)」
と、シンジが指差した方向を見るアスカ。そこには、2機のMSが鎮座していた。
一機は、V字アンテナでボディが青で塗装され黄色の廃熱フィンがつけられており両手両足は白をベースに塗装されていた。
そして、その隣にも白を基調とした塗装を施された機体が鎮座していた。ただ、最初の機体と違うのは頭部モニターがスコープ状であった。人間の顔に近い頭部を持つ機体とは、ややかわったデザインである。
「ねえ、あれってもしかしてまたリツコさんがつくったMSじゃあ……」
「さ、さあ……。私にはわからないわ」
ごまかすアスカ。
「あら、来たわね」
なぜか、地○連○軍の制服を着ているリツコ。
「リ、リツコさん、その恰好は!?」
「○球○邦軍女性士官の制服よ。それより、本日の実験よ。今回は、新型のバーニアを装備したMSをテスト運用するわ。これが完成すれば、いままで以上に効率のいい戦術が作れるわよ」
「は、はあ……」
どうリアクションしていいのかわからないシンジ。
「じゃあ、何か質問は」
(何を質問すればいいんだよ!)
心の中で突っ込みを入れるシンジとアスカ。
「ないわね。じゃあ、シンジ君はF91にアスカはXM-07『ビギナ・ギナ』に搭乗しなさい」
「はい。でも、この機体ってなんなんですか」
「ふふふふ、ネルフが遂行しいているF計画で完成したMSよ」
「そ、そうですか……」
それ以上の追求はしないシンジ。っていうか、本能的に追求してはいけないと悟っていた。
「搭乗したわね。では、これから飛行テストを行うわ」
「飛行テスト!?」
「そうよシンジ君。そのMSは、空を飛ぶ事ができるのよ。これで、ミサトももっと広い戦術を立てられるでしょうね」
「はあ……。で、どうやって飛ぶのですか?」
「簡単よ。操縦桿の横にある青いスイッチを押しなさい。それで、ミノフスキークラフトが作動するから。あとは、操縦桿で任意に行きたい方向に行きなさい。但し、飛行区域は制限されているからその範囲内でね」
「わかりました」
とりあえず、スイッチを押すシンジ。そうすると、本当に空を飛んだ。
「わあ、本当に飛んだ」
「こっちの機体も飛んだわシンジ」
「ふふふふ、どうやら実験は成功ね。それじゃあそろそろアスカの要求に答えますか。マヤ、例のMAを出撃させて。戦闘データを取るわ」
「わかりました」
そう言って、変なレバーを引くマヤ。
『ウィーン、ウィーン』
レバーを引くと同時に、地底湖が割れそこから無気味な物体が出てきた。
「な、なんだあれは?」
「さ、さあ……」
きょとんとしているシンジとアスカ。その時、レーダーが反応を見せた。
「えっ、パターン青。まさか、あれは使徒」
あわてて、迎撃体制を整えるアスカ。
「使徒なのアスカ」
「どうもそうみたい」
「けど、このMSって武装しているの」
「そいいや……ねえリツコ、これには武器は装備されているの」
「もちろん。各種のビーム兵器が装備されてるわ」
「オッケイ。シンジ、あんたは援護して。私が仕掛けるわ」
「わかった。けど、気をつけるんだよアスカ」
「ありがとシンジ。そんじゃ、いっくわよ〜」
ビームサーベルを抜き、標的と一気に間合いを詰めるアスカ。
「ふはははははははは、親に逆らうといい度胸だなベラよ」
「だ、だれよあんた」
「私だ。ケンスケ・ロナだ。忘れたのかね、可愛い娘よ」
「あ、相田!?」
驚くアスカ。
「しかし、すばらしいぞこの機体は。手足を使わずに操縦できる。これこそ、私が求めていた機械による人類の粛正」
「ど、どこにいるんだケンスケ」
ケンスケを探すシンジ。
「ふははははは、ここだ連邦のMSのパイロットよ」
突然、MAの上部が割れ仮面を付けた怪人があらわれた。その姿は、異様としか言い様がなかった。茶色の鉄仮面に茶色のマント。そして、極めつけは茶色の海パンである。はっきり言って、変質者20000%は超えている。リツコによって強化人間にされたケンスケである。
「ケ、ケンスケ!?」
「ケンスケではない。我が名は、ケンスケ・ロナだ。そして、人類を粛正するものだ」
「どっちにしろ、狂った事に変わりはないわ。綺麗さっぱり地獄におくってあげるわ」
再び、間合いをつめるアスカ。
「うはははははははは、愚か者め。これでも喰らえ」
そう言うと、無数の触手みたいなものがアスカのMSを絡めとった。
「な、何これ……きゃあああああああああ〜!?
そのまま、触手に握り潰されるアスカのMS。
「ア、アスカ!?ケンスケ貴様、ぜったいにゆるさん」
「ぐははははは、次はお前だ」
アスカを潰した触手が、こんどはシンジに狙いを定めてきた。
「くっ、くそお〜この触手さえなんとかできれば」
「シンジ君、F91に搭載されているバイオコンピューターを起動させるのよ」
「バイオコンピューター!?」
「そうよ。それと、君の精神をシンクロさせるのよ。そうすれば、その触手が見えるはずよ」
「わかりました。いくぞ、ケンスケ」
バイオコンピューターと、自分の精神をシンクロさせるシンジ。
「ふはははは、無駄な事を。それ、お前も娘と同じところに送ってやるわ」
「そうはいくか。はっ、見える触手の動きが」
かるがるとケンスケの攻撃をかわすシンジ。
「お、おのれ……!だが、これならどうだ」
一気に触手を伸ばすケンスケ。
「無駄だ。いくぞ、ケンスケ」
触手をかわしつつ、ケンスケの乗っているMAに接近するシンジ。接近しつつ、数本の触手を切り裂いた。
「お、おのれ〜」
触手をあやつり、シンジの背後から迫るケンスケ。
今だ!
ケンスケのMAの直前で方向転換するシンジ。
「なっ、化け物か〜。って、いま思い出したぞ。あの女、また俺をこんな事に巻き込みやがって。って、この状況は……!?」
あちこち、火花を散らしているコックピット内部。
「またこれか〜。お、おのれAD CIENTISTが〜!
あっさり爆発するMA。
「アスカ〜、どこにいるんだ〜!」
しかし、シンジにとってはそんなことはどうでもよかった。肝心のアスカがいないのだから。
「シンジ君、どうしたの」
「あっ、リツコさん。アスカ、アスカがいないんです」
「大丈夫よ。シンジ君、バイオコンピューターの機能を統べてレーダーに回しなさい。そして、感じ取るのよアスカの心を」
「わかりました…………うん、これは……。アスカ、アスカそこにいるんだね」
地底湖の一面を見るシンジ。そこには、確かにアスカが浮かんでいた。
「アスカ〜」
アスカの浮かんでいるところに飛び込むシンジ。
「アスカ、アスカ、目をさまして……」
「うっ、シンジ……!?」
「アスカ、無事だったんだね」
「シンジ……助けに来てくれたんだ」
「アスカ……もう放さないよ」
「シンジ……私も(そうよ、これがしたかったのよ)」
心の中でガッツポーズのアスカ。どうやら、彼女の企みは成功したようである。
「おーほっほっほっ、まさにこれこそF91の再現ね。これで、私のGへの夢はもう完成間近よ」
かわってこちらは、人類として間違っているマッド。
「あ、あの先輩」
「なに、どうしたのマヤ」
「あのMAにのっていたパイロットはどうなったのでしょうか」
「おほほほほ、問題ないわ。それより、次の強化人間候補者を探さないとね。さあ、次は誰がいいかしら。メガネかしら、それともロンゲかしら」
完全にイッチャッタ目をしているリツコ。どうやら、犠牲者はまだ増えそうである。


(おしまい)


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ども、電波第4弾を書き上げた暗黒騎士ソードです。
いや〜、今回はF91を元に書いてみました。ところで、あのカロッゾ・ロナはどう思います。
私としては、もっと極悪な仮面をつけて登場して欲しかった。(笑)
ま、そういうわけではないのですが今回もケンスケにはそういった役回りをしていただきました。さ、次回の犠牲者はだれなんでしょうかねえ。


それでは、また会う日まで。


 暗黒騎士ソードさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜

 今回はアスカちゃんが計画的に仕組んだLAS、そして犠牲者はやっぱりケンスケ(笑)

 ベラ・ロナ役のアスカちゃんに女性的な機体「ビキナ・ギナ」が似合いますね、そしてわけがわからずシーブック・アノー役をやり遂げたシンジ君、カッコ良いぞ!

 鉄仮面役のケンスケ、折角超巨大MA「ラフレシア」に乗ったのに・・・原作でも負けてますから結果は負けですね(^^;)果たして大丈夫なのでしょうか?それとも次の犠牲者がリツコさんのリストに浮んでいるのでしょうか?

 とっても素敵なSSをくださった暗黒騎士ソードさんに皆さん感想を送りましょう。

 暗黒騎士ソードさんのHPはこちら!「反乱軍総司令部『イルナーダ』

 皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!


SSroom

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