MS外伝5
-ケンスケ震える山に散る-
Made by 暗黒騎士ソード
「これよ、これ。このシーンは、最高だわ」
と、部屋でハイテンションなのはアスカである。よく見ると、またガンダムのDVDが床一面に散らばっている。
どうやら、徹夜で何かを見ていたようである。
「問題は、この狂人科学者の役回りだけど……。やっぱ、あいつが適任ね。ちょっと、あいつをそう呼ぶのはいやだけど。けど、他に適任者はいないし」
そう言って、レポート用紙に何かを書くアスカ。
「うし、これでよしと。後は、リツコに見せるだけね。きっと、乗ってくるわよあの金髪マッドは。でもって私はシンジと……きゃ〜どうしよう」
どうやら、また中学生にしてはいけない妄想を抱いているようである。
ところかわって、こちらは今世紀最悪のマッドがいる部屋。
「リツコいる〜」
と、ノックもせずに部屋に入るアスカ。
「アスカ、部屋に入る時ぐらいはノックぐらいしなさい」
「ごめんごめん。それより、このレポートを見て欲しいのだけど」
「うん、何よまったく……あら、これは……」
そう言って、食い入るように見るリツコ。
「おほほほほほほほ、なかなかいいできじゃないの。で、私に何をしろと」
「もちろん、あれですよお代官様」
「そちも悪よのう明日香屋」
わけのわからない会話をする二人。
「それじゃ、準備ができたられんらく頂戴ね」
「まかせなさいアスカ。この私に不可能はないわ。おーほっほっほっ」
こうして、またもやネルフに奇声が木霊するネルフ7不思議に一つである。
ところかわってこちらは第3東京市。
「よ、よし、こんどこそ誰もいないな……」
と、辺りをきょろきょろと警戒しているのはケンスケである。
「こ、今度こそこの街を脱出する。もともと、俺はこの街が気に入らなかったんだ。わけのわからない特務機関はあるわ。気狂い金髪ババアにはひでえ目にあわされるわ」
ぶつぶつ文句を言うケンスケ。ま、気持ちはわかるが。
「さあ、自由へ向けて歩き出そう」
だが、またしても彼には不幸が降り注いだ。
『キキッー』
一台の黒塗りの車がケンスケの前に飛び出してきた。
「わああ!?こ、この展開は……」
「相田ケンスケだな?」
数人の黒服が降りるなりケンスケにそう訪ねた。
「く、くっそおおおおおお、またお前らかあああ〜!」
奇声をあげるケンスケ。
「むっ、目標が敵対行動をとった。プランを2に移行。それかかれ〜」
「うぎゃあああああああああああああ!?」
こうして、またもや黒服によってボコボコにされるケンスケであった。
ふたたびところかわってネルフ。
「リツコさん、今日はいったいなんの用なんだろう」
と、ネルフに来ているシンジ。
「さ、さあ、私は知らないよ」
とぼけるアスカ。
「それより、あれはなんだろう……(汗)」
外を指差すシンジ。
「さあ……(リツコ〜、なんで毎度毎度目立つところにセットを置くのよ)」
そこには、地底湖にあるスペースを利用して山が作られていた。
「なんなんだあれは」
「私に聞かないでよ」
「おほほほほ、来てくれたようねシンジ君にアスカ」
「リツコさん、今回は一体なんなんですか」
「おほほほほ、今回は山岳戦を想定した戦闘データの収拾よ」
「はあ……」
「で、今回はあのRX-79(G)Ez-8にのってもらうわよ」
と、外にあるMSを指差すリツコ。
「な、なんか変ったMSですね。今までと、少しデザインも違いますし」
と、シンジ。
「おほほほほほほ、このデザインの良さがわかって。このRX-79(G)Ez-8はガンダムの先行量産型なのよ。元々は、RX-79(G)という機体にジムのパーツで修理改造したものよ」
「そ、そうですか……」
「で、あたしの機体はどこにあるの」
「あら、あなたの機体はないわよ」
「ちょ、ちょっとリツコ。それじゃあ話が違うでしょう」
あわてて、リツコの頭を抱え込み耳打ちするアスカ。
「安心しなさい。今回は、あなたも一緒の機体に乗るのよ」
「えっ、そうなの」
「そうよ。せいぜい、シンジ君との密着時間を楽しみなさい」
「ふふん、わかっているじゃないのリツコ」
「それじゃあ、すぐに準備して」
そして、準備も終わりテストが始まった。
「り、リツコさん……なんで一人用のコックピットにアスカも乗っているんですか?」
「なによ。私と一緒じゃ不満?」
「いや、そんなことはないけど……その胸が……」
「あら〜、どういしたのかな〜シンジ〜」
わざと密着するアスカ。
「い、いや、そのだから……」
「おほほほほ、混乱しているようね。今回は、人間の意志の強さを試す事が目的よ」
「はあ!?」
意味が理解できないシンジ。
「つまり、男女が危機的状況にある場合、人間にはどういった反応がでるのかを試したいのよ」
「それってつまり……ぼ、僕達が危険な目にあうってことでは……」
「おほほほほ、そうとも言うわ」
「り、リツコさん正気ですか」
呆れるシンジ。
「さあ、シンジ君。アスカを守りたいんなら、あのMAと対決よ」
「MA?」
「そうMAよ。敵は、あの山から出てくるわ」
「て、敵!?」
山の方を見るシンジ。しばらくすると、激しい地響きがなり出した。
「な、なにこれ」
「わ、わからないけど……。アスカ、しっかり僕に捕まっているんだ」
「う、うん……。あっ、シンジ山から何か出てくる」
「あ、あれは……」
目を見張るシンジとアスカ。
「うははははは、見よアプサラスは無敵だ。これこそが、ジオンを勝利に導くのだ」
と、一人の変質者風の男がMAの上に立ちながらそう叫んだ。
「あ、あれってもしかして……」
「あ、相田よねえ。また、リツコにさらわれて改造されたのね」
「貴様か。妹を、アイナを狂わせたのは」
と、Ez-8を指差して叫ぶケンスケ。
「な、なにわけのわからない事をいっているんだよケンスケ」
「ふはははは、俺はケンスケではない。ジオン公国技術少将ギニアス・相田だ」
完全に脳みその線が切れているケンスケ。
「ギ、ギニアス?」
「そうだ。貴様か、連邦の兵士が我が妹をたぶらかしおって」
「だ、誰が妹よ誰が」
いきり立つアスカ。ま、無理もないが。
「そうか、お前も母と同じか。愛などとたわごとを抜かして。ならば、その愛と一緒に葬ってくれるわ。うはははははは!」
そう言って、アプサラスのメガ粒子砲を撃つケンスケ。
「あ、危ない!」
あわてて回避するシンジ。しかし、後ろにあった陸戦用ジムがメガ粒子砲で半壊していた。
「ちょ、ちょっとリツコ。なんであんな狂人を物騒なものに乗せたのよ」
「おほほほほ、状況をリアルにするためよ」
「り、リアルすぎるわよリツコ……」
「そ、そんなことよりあのMAをどうにかしないと」
必死になって、ケンスケの攻撃をかわすシンジ。
「アスカ、何かいい手は思い付かない」
「そ、そんな事言われても。あんな、立続けにメガ粒子砲を撃たれたんじゃあどうしようも……。まって、あのMAからぶら下がっている球体は……。シンジ、あれを狙って」
「わかったよアスカ」
回避しつつ、ビームライフルで球体を狙うシンジ。数発ビーム火線を放ち、一発が球体に命中した。とたんに、メガ粒子砲の出力が激減した。
「うおっ!?こ、これはどうしたことだ」
うろたえるケンスケ。
「やっぱり、あれはMAのメガ粒子砲のエネルギー供給装置ね。シンジ、もう一基あるからそれを狙って」
「わかった」
「おのれアイナ。ジオンの機密を漏らすとは。その罪、万死に値する。死をもって償え」
「なんであんたに裁かれるのよ」
「ケンスケ、いいかげんにしろ。でないと、僕も怒るよ」
「ふっ、連邦の兵士に説かれるいわれはない。覚悟」
「くっ、どうするアスカ」
「こうなったた実力行使ね。死んで頂戴、相田」
「それしかないか」
苦渋の表情を浮かべるシンジ。
「けど、一撃でやらないとこっちが反撃を受けるよ。あのMAのどこを狙えば」
「シンジ、危険だけど一つ方法があるわ」
「なにアスカ」
「あのメガ粒子砲の発射口よ。あそこに攻撃をしかければ、直接ジェネレーターにダメージを与えられるわ」
「よし。でも、危険だね」
「いいよ、シンジと一緒なら」
そう言って、シンジに寄り添うアスカ。
「ふはははは、何をいちゃついている。そうか、地獄にいく覚悟ができたか。では、兄からのせめてもの情けだ。一撃で葬ってくれる」
「だ、誰が兄よ。この変質者。シンジ、とっとと始末して」
「そうだね。あんなの生かしておくと、社会の害毒だから」
酷い事を言う二人。
「おのれ、私を愚弄するか。ならば、このアプサラスで貴様らを裁いてくれる」
だが、とたんにアプサラスのエネルギーが落ちてきた。
「こ、これはどうした事だ」
うろたえるケンスケ。
「あれ、MAの様子がおかしいな」
「どうやら、ジェネレーターを破壊されてエネルギー供給が上手くいってないのね」
「よし、いまがチャンスだ」
次の瞬間、Ez-8がジャンプしてアプサラスに肉迫した。
「うおおおおおお、ま、まさかこの展開はあのOVAでのあのシーンでは……」
「相田、悪いけどとっとと死んで頂戴」
「ケンスケ覚悟」
ビームサーベルを、コックピットのある部分に突き刺すシンジ。
「の、のお〜、やっぱこうなるのか。お、おのれ〜MAD SCIENTISTが〜!」
瞬間、派手な爆発をするアプサラス。そして、爆煙が引いたあとそこにはややすす汚れたRX-79(G)Ez-8が立っていた。
「シンジ、ゴメンネ。私のために、手を汚させて」
「気にしないでよ。僕はアスカを守れればそれでいいんだから」
「シンジ……ありがとう」
そう言って、シンジにキスするアスカであった。
「おーほっほっほっ、原作とは少し違うけどまあいい展開よ。特に、アプサラスが爆発するのはいいことよ」
と、かわってこちらでは一人のマッドが奇声を上げていた。
「それに、今回はいいデータもとれたわ。どうやら、私の目指すGへの道ももうすぐ頂点を極めそうね。さあ、次なるGを開発するわよ。おほほほほほほほほほ!」
もはや、人間の領域を超えた奇声をあげるリツコであった。
(おしまい)
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あとがき
ども、暗黒騎士ソードです。
今回は、起動戦士ガンダム外伝─MS08小隊─を元に書いてみました。
まあ、原作とはだいぶ違いますが。にしてもケンスケをギニアスにしてみたら、以外とはまり役でしたね。
しかし、爆発に巻き込まれたケンスケは……。ま、どうでもいいけどね。(笑)
では、また会う日まで。
暗黒騎士ソードさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
ガンダムの名シーンを再現して喜びを知ったアスカちゃん、今回も企みましたね。そして敵役はおなじみケンスケ(笑)
LASには最適な設定をMS08小隊に見つけ早速実行、そして成功(^^)アスカちゃん笑いが止まらないですね。
シンジ君、危険な事もアスカちゃんの為ならば、くう〜〜かっこいい〜〜
そしてリツコさん、今回もMAD400%でしたね。
とっても素敵なSSをくださった暗黒騎士ソードさんに皆さん感想を送りましょう。
暗黒騎士ソードさんのHPはこちら!「反乱軍総司令部『イルナーダ』」
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
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