EVA CHANGING

Vol.16

仲直り

 タッタッタッタ!

「はあはあはあ・・・・」

 シンジは全速力で走っていた。アスカにビンタをされ気絶しペンペンに起こされるまで、ずっと気絶していたのである。授業開始まで後五分このまま走ればギリギリ間に合う。

(それにしてもどうして叩かれたんだろう?)

 さする頬にはまだ赤く手形がハッキリ残り、ヒリヒリ痛い。

「はあはあ・・・・」

 全速力で走る。そして曲がり角を曲がった時。

 ゴッチーーーーーン!!!

うわっ

きゃ!

 衝突、シンジは尻餅をついた。

「いたたた!」

 朦朧とする意識の中目に飛び込んだものは。

(しっ白!)

「ご、ごめん。大丈・・・綾波」

 ぶつかった相手はレイ、地面に仰向けに倒れていた。

「・・・・・」

 返事は無い、気絶しているようだ。シンジは揺さぶって声をかけるが一向に起きる気配はない。

「綾波、綾波」

「・・・・・」

 ペチペチ

 頬を叩いてみるが効果は無い。

「どうしよう」

 困り果てる、この時点で授業は始まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分前の学校では。

「アスカ、おはよう」

おはよう

 いつも通りに挨拶を交わすヒカリ、だがいつもと違う事に気がついた。

「あれ、碇君はどうしたの?」

しらないっ!

 問いかけに少しムッとして席に座る。いつもの違う態度に何かあったと推測した。

(喧嘩でもしたのかしら?)

 席に座ったアスカは少し怒りのオ〜ラを漂わせ、人を近づけさせない雰囲気。クラスメ〜トはそっとしといた方がよいだろうと近寄らない。だがそんな雰囲気に気づかない者もいる。

「なんや惣流、今日は夫婦そろって登校やないんか?」

 トウジは毎度の如くからかう。が・・・

 キッ!

 アスカは殺気が篭った瞳で睨んだ。その姿におもわずあとずさる。

「おっおおう!なんや、やんのか?」

ふんっ!

 プンと顔をそむけると外に瞳を移す。

「どうしたんや?アイタタタッ」

 ボケボケとしたトウジに怒ったヒカリは耳を掴んで、廊下に引っ張りだした。

「鈴原〜、よけいな事を言わないの!今日当番でしょ早く花の水を替えてきて!」

「そない強う引っ張らんといてや〜。耳が伸びてしまう」

「いいから。水を替えてきなさい!」

「は、はいっ!」

 迫力に押されてダッシュで水を替えに行くトウジであった。その頃ケンスケは・・・

(怒って頬づえをつく顔もなかなか、くくくく)

 盗み撮りをしていた。

 

 

(・・・・どうして男の子って・・・・)

 カア〜〜〜

 今朝の事を思い出し、顔が真っ赤になる。

「アスカ、風邪なの?顔が赤いわよ」

 委員長として友人として心配して、先ほどから見ていたヒカリが問い掛ける。

な、何でもないわよ

「そう」

 席に戻るヒカリだったが・・・

(碇君の事ね)

 大当たり。

 そしてクラスはたあいもないお喋りで時間が潰れる。そしてチャイムが鳴った。

 ソワソワソワ

 アスカは廊下が気になっていた。シンジはまだ来ていない。遅刻である。

シンジ君どうしたんだろう?・・・・まだ気絶しているとか・・・・そ、そんな事はないは弱く叩いたんだから

 赤く手形が残るのが弱くである。では強いのは?

 考えていると老教師が入ってきた。ヒカリは号令をかけ授業が始まる。

「おや?碇君はお休みですか。綾波君もいませんねえ」

 アスカは今気づいた。レイもいない。

レイさんはどうしたんだろう。ネルフかな?シンジ君、早く来て!

 時間を見、廊下を見るがくる気配はない。

 ソワソワ、ソワソワ

 三分経過、まだ来ない。アスカは良からぬ事を想像し始めた。

こんなに遅いなんて・・・ま、まさか!ミサトさんに強要されて家の掃除をさせられているとか・・・あっありえるわ。今日はミサトさんの当番。ズボラなミサトさんはシンジ君に・・・・

 額から汗が滲み出る。

はっ!起きたとしても、私が怒っちゃったから学校に来なくて・・・・逃げた。私のせい?

 手が震える。

そ、そんな事は無いわ。ミサトさんならともかく、私で逃げるなんて

 ハンカチを取り出し汗を拭いた。

そしたら来るはずよね。走ってももう着いていいし、ま、まさか!事故?・・・・

 ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜

 その時、学校の前を救急車がサイレンをあげて走り去った。

 サ〜

 血の気が引いた。顔面蒼白。

つ、通学路の方に・・・・

 ガチャ!

 立ち上がり、鞄を持って素早く教室を出る。

せ、先生!早退します

 ダダダダダダ!

 疾風の如く走り去った。

 ダダダダダダ!

はあはあはあ

 全速力で走る。走る。

シンジ君・・・・

 ダダダダダダ!

 

 そして曲がり角を曲がった時・・・

「綾波〜気づいてよ〜」

 シンジが困り果てていた。

シ、シンジ君!無事だったの?

「ア、アスカどうしたの」

よかった〜〜

「?」

 アスカは張り詰めていた緊張が一気に抜け、その場に座りこんだ。

事故じゃなかったのね

「事故?綾波とぶつかった事?」

 レイはまだ目を覚まさない。

け、今朝はごめんなさい

「へ?」

 わけがわからずポカンとするシンジ。

そのう叩いた事・・・

「あっ気にしていないから、それより綾波が気絶して目を覚まさないんだ」

えっ?レイさんが

 アスカはシンジが気にしてないと言った事でホッとして、レイを見た。

レイさん!レイさん!

 ペチペチ

 頬を叩いてみる。そしてまぶたを開いて瞳孔を見てみる。

「どう?」

レイさん・・・・

「どうなの?」

レイさん・・・・寝てる

「寝てる〜〜?」

 シンジはレイの顔を良く見た。かすかだが寝息をたてている。

「ぶつかっただけなのにどうして寝れるんだよ〜」

ふ、ふふふ。レイさん可笑しいわね

「そうだね」

 二人は顔を見合わせて笑った。

このままじゃどうしようもないから、レイさんのアパ〜トに帰りましょう

「そうだね」

 シンジはレイをおぶり、アスカは二人の鞄を持ってアパ〜トに向かった。

 三人とも学校はサボリである。


「綾波ってどこでも寝れるんだね」

「意外な特技ね。シンジ君は何か特技を持っている?」

「僕〜?特技って、料理くらいかな。アスカは?」

「私もお料理かな」

「そうだね。昨日のハンバ〜グ、美味しかった〜」

「シンジ君には敵わないわよ」

「そんなことないよ」

「ありがと」

「二人とも料理が特技なの。葛城家三人が同じなんて最高ね」

「へ?」

「何がですか?」

「決っているじゃない。私も特技は料理よ」

「・・・・」

「・・・・」

「じゃあ今日の夕食はミサト特製のカレ〜よん」

「え、遠慮します」

「ミ、ミサトさんの当番は一年後でしょう。今日は私ですから」

「え〜つまんないわね〜。じゃあ私は仕事があるから」

「ふう〜助かったよ。ミサトさんの特技ってビ〜ルを飲む事じゃ」

「そうですね」

 ほのぼのLASかな。レイのおかげで仲直りができました(ただ気絶?眠っていただけですけどね)

 こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


Vol.15 目覚めの良い朝 Vol.17 風邪

EVA CHANGING Vol.16 仲直り