EVA CHANGING
Vol.19
Send Me An Angel
「「「「「誕生日おめでとう!」」」」」
12月4日、葛城家のリビングいつものメンバ〜によってアスカの誕生日会がおこなわれていた。
ふ〜〜
ケ〜キに立てられたろうそくを一気に吹き消した。
「みんな、ありがとう」
ニコニコ顔のアスカ、みんなからプレゼントを貰うたびにきちんと礼を言う。以前ならきちんと礼はしないだろう。
「さあ、食べるで〜」
トウジは腕まくりし、テ〜ブルに並べられた豪華な料理に目標を定める。
「鈴原〜今日はアスカが主役なのよ。少しは静かにしなさい!」
「イインチョ〜そんな事言わんといてや〜」
「ふふ、いいのよ。どんどん食べてね」
「さっすが惣流。おおきに」
そしてトウジはまるでディラックの海の如く、料理を胃袋に詰めていく。その様子にヒカリは呆れていた。
「まったく〜」
「良いじゃないヒカリ、それに鈴原君の為に作ったんでしょ」
耳元でぼそぼそ呟き、ヒカリの顔が真赤になった。
「な、何を言うのよ。ア、アスカの為に作ったのよ」
「でもこれだけの量、私食べきれないわよ」
「つ、作りすぎただけよ」
「本当〜?」
「本当よ!」
ヒカリはプイッと頬を膨らめ怒った姿が面白く、アスカはクスクス笑った。そしてここからヒカリの逆襲が始まる。
「アスカ、その料理ばっかり食べているわね」
「だって美味しいんだもん」
食べているのはピリッと辛いチキン、そんなに辛くは無くいくらでも口に入る。
「だって碇君が作ったからね」
美味しそうに食べている耳元で呟いた。その瞬間アスカの頬は赤く染まった。
「なっ!シ,シンジ君は関係ないわよ」
「だって今日の料理は碇君と半分づつ作ったのに、アスカは碇君の料理ばっかり食べているわよ」
「うっ!こ、これも食べるわよ」
すかさず別の料理に手をつけた。
「それも碇君のよ」
「うっ!じゃあこっち」
「それも」
アスカ対ヒカリ、一勝一敗である。
そして楽しい誕生日会は過ぎていった。時間も遅くなりおひらき。
「ふう〜ずいぶん散らかったな」
シンジはリビングを見まわして、これから片付ける労働にため息をついた。
「シンジ君、私も手伝うわ」
「いいよ。アスカは休んでいて」
「ううん、疲れているでしょ。それに楽しませてもらったから」
「それじゃあ、手伝ってもらうよ」
「うん」
ニッコリと微笑むアスカ、こうして協力して後片付けが始まった。
アスカが食器を洗い、シンジが拭く。二人の息はピッタリ、素早く進む。
「アスカ」
「何?」
食器を半分洗ったところでシンジが口を開いた。
「実はまだプレゼントがあるんだ。これがすんだらリビングで待っていて」
「うん」
それからアスカはプレゼントが気になるのか、さらに洗うスピ〜ドを上げた。
そして食器を洗いアスカはリビングで座って待っていた。
(プレゼントって何かしら?)
先ほど皆がいた時のシンジのプレゼントはネックレス。小遣い三ヶ月分である。
「お待たせ〜」
五分ほどしてシンジが部屋からやって来た、チェロを持って。
「それじゃあこれからアスカの為だけに演奏するよ」
一礼すると、深呼吸し演奏し始めた。
♪♪♪♪〜〜〜♪♪♪♪♪〜〜〜♪〜〜〜
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♪♪〜〜♪♪〜〜〜♪♪♪♪〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪〜〜〜
バラ〜ド調の演奏が続く、その優雅な音にアスカは聞きほれていた。
五分ほどして演奏は終了した。シンジは立ち上がると礼をする。そして頭を上げるとアスカは、惜しみない拍手を送った。
「シンジ君凄い!上手だったわ」
「ありがとう。ちょっと間違えちゃったけど・・・・・」
「ううん、凄く良かった。何ていう曲なの?」
間違えてもアスカは笑って拍手を送ってくれた。その姿にシンジは照れながら頭を掻いた。
「天使のうたって言うんだ」
「天使のうた・・・」
「うん、他にも演奏曲を選んだけどこれがアスカに似合うかなって思って決めたんだ」
「シンジ君ったら・・・・ありがとう」
頬を赤らめ上目使いでシンジに礼を言った。その姿はまるで天使のようだ。
「アスカ・・・」
「シンジ君・・・」
見詰め合ったまま無言の時間が流れた・・・・・・そして・・・・
バタンッ!
「シンジ君〜!アスカ〜!たっらいま〜〜〜!!」
豪快に玄関を開ける音、そして千鳥足でリビングにやって来た。酔っぱらっている。その瞬間二人は素早く、今まで詰めていた距離を開けた。
「ミサトさん!」
「ミサトさん!」
「は〜〜い、これアスカにプレゼントよ〜〜ひっく」
アスカに手渡したのはつめおりの寿司、お土産の定番である。
「もうしっかりして下さい」
シンジはミサトに肩を貸すが、フラフラで立っていられない。ドンと腰を下ろした。
「聞いてよ〜せっかくアスカの誕生日だったのに、仕事が忙しくて忙しくてもう飲まなきゃやってられなかったのよ〜〜」
今度は泣き出す始末。二人とも唖然とした。
「だからね。プレゼント用意できなかったから、悪いと思って寿司を買ってきたの。アスカ〜ごめんね〜〜」
「いいんですよ。ミサトさん、お寿司でも嬉しいです」
テ〜ブルに置かれた寿司を手に取り、ニッコリと笑うアスカ。ミサトは号泣。
「ありがとね、アスカ〜〜お姉さんは嬉しいわ〜〜・・・・・zzzzz」
そのままテ〜ブルにうつ伏して寝てしまった。
「寝ちゃったね。ミサトさん」
「疲れているのよ。タオルケット持ってくるわ」
ミサトの乱入で騒がしかったリビングだが今は静寂を保っている。ミサトはそのまま爆睡、二人は寿司を食べていた。
「美味しいね」
「うん、ねえもう一回聴かせて」
お茶をシンジに渡すとチェロを見た、まだ片付けていない、先ほどの騒動でそのままであった。
「うんわかった。今度は間違えないよ」
シンジはお茶を流し込むと、気合を入れてチェロを手に取った。そして・・・・・
♪♪♪♪〜〜〜♪♪♪♪♪〜〜〜♪〜〜〜
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ミサトのいびきが妙にマッチし、素敵なメロディ〜が葛城家を包んだのであった。
「アスカ〜誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます」
「ごめんね〜せっかくシンちゃんと良い雰囲気だったのに邪魔しちゃって」
「そ、そんな事ないです」
「いいえ、顔に書いてあるわよ。せっかくのチャンスだったのにって」
「えっ!うそ?」
「うっそよ〜〜ん」
「ミサトさん!」
「へへ〜ごみん、ごみん。はいプレゼントよ」
「えっありがとうございます。ミサトさんから貰えるなんて期待していなかったのに」
「なんでよ?」
「だっていつもビ〜ル代に消えて・・・・ひっ!」
「ふ〜〜ん、そんな風に私を見ていたのね。お仕置きしちゃうわよ〜〜」
「ご、ごめんなさいっプレゼント嬉しいです」
「わかればヨロシイ。さあ開けてみて」
「はい・・・・・・これはなんですか?」
「何って?見てわかるでしょ。婚姻届よ」
「どうしてですか?」
「だって必要になるでしょ、シンちゃんとの・・・・ねっ」
「ミサトさん!」
「わあっ怒らない、絶対に必要になるわよ。じゃあね〜〜〜」
「もうっ・・・・・・・・・・・取っておこうかな・・・・・」
・・・・メインはシンジ君の演奏だったのに、ミサトさんの酔っぱらいになってしまった。
ちょっち軽めのLASでした。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.19 Send Me An Angel