EVA CHANGING
Vol.27
主婦アスカ
グオオオオオオン!!!
爆音を上げて走る、アルピ〜ヌ・ルノ〜制限速度は・・・・守っていない。
「そこを右にお願いします」
「OK〜」
アスカの適切な指示にミサトはスピ〜ドを落さずに直角に曲がる。
ごんっ!
後部座席で何かがぶつかる音がした。気づいたアスカは振りかえって見た。
「シンジ君、眠るのも良いけど掴まってないと危ないわよ」
気絶しているシンジは頭をサイドにぶつけてタンコブができていた、これで気絶時間は一層延びる。
「時間は・・・」
ダッシュボ〜ドに付けられている時計を見ると同時に驚いた。
「大変!時間が無いわ、ミサトさんもっとスピ〜ド上げて!」
「上げてってこれが限界よ」
スピ〜ドメ〜タの針はすでに振り切っておりアクセルもベタ踏みである。
「もう、役に立たないんですね」
カチン!
アスカの言葉にミサトは頭にきた、カ〜ドライバ〜のプライドを傷つけられたのである。
「ふふふ、そこまで言うんならやってやろうじゃないのよ、舌噛んでもしらないわよ」
ステアリング右下に三つ並んでいるスイッチを全て入れた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
爆音を上げていたエンジンの音が変わる。
「ミ、ミサトさん!何を?」
「ふふふふこれはね〜」
ミサトの眼がすわっている。
「こ、これは?」
「ジェットエンジンよ、音速に挑戦する為にチュ〜ンしたけどまさかこんな時に使うなんてね、ふふふ。泣いたって止めてあげないわよ」
ミサトのニヤリと口元を歪めて前方を不気味に見つめている表情にアスカは思わず引いた。だが・・・
「これで間に合います!さあ音速に挑戦してください!」
「え?ええ」
アスカの言葉に拍子抜けした。
「じゃあ行きますか、GO!〜〜〜〜」
ゴオオオオオオオオオオオオ!!
タイヤ跡を残して目的に進む。
「そこを左に」
「OK〜」
曲がったところは車が何台も並んでいた。
「ん?ここは」
ミサトは首を傾げた、どうしてここに来たのだろうと。
「あっあそこが空いています、あそこに止めてください」
「え、ええ」
言われるがままに車を移動させ駐車した。
「シンジ君、起きて起きて」
「・・・・・」
後部座席にまだ寝ている(気絶している)シンジを起こそうと揺さぶるが起きない。
「シンジ君!起きないとご飯抜きにしますよ」
ガバッ!
起きた。
「えっご飯抜き?それだけは勘弁して〜〜」
食べ盛りのシンジにとってはご飯抜きは辛い。
「良かった起きて、さあ行きましょう」
「「えっ?」」
シンジとミサト、仲良くユニゾン。車から出ると同じ方向を見た。
「ミサトさん、ここって」
「ええ、そうねここは」
その方角に立っている建物は、第三新東京市最大のディスカウントショップであった。
「二人とも早く〜〜〜売りきれちゃうでしょ」
先に進んでいたアスカは二人の行動の遅さに、怒りながら手招きする。
「これが一大事だったの・・・・」
「アスカにとっては一大事ですね・・・・」
「早く〜〜〜〜〜〜!」
アスカが手招きしている。
「・・・・行きましょうか」
「ええ」
二人はため息をついてアスカの元に駆け寄った。
「良かった〜〜まだ沢山あるわ」
開店してから三分後に到着した三人は店内を見まわした、流石に第三新東京市最大、売り場面積は大きく色々と揃っている。
「まずは・・・・」
アスカはカゴを取りカ〜トに乗せ、広告を取り出すと目当ての商品を確認した。
「二人とも手伝ってね」
「う、うん」
「え、ええ」
二人はアスカの後を付いて行くと商品を手に取る。
「サラダ油〜?別にここで買わなくても良いんじゃないの?」
「ミサトさん値札を見てください、5割引ですよ5割引!分ります?半額ですよ」
「わ、分るわよそれくらい」
「いいえ分っていません!次に行きますよ」
次の売り場に向かった。
「ほら見てシンジ君!洗剤が8割引きなの安いでしょ」
「う、うん安いね」
「でもお一人様一つ限りだから残念なのよね〜」
「そ、そうなの」
「本当ならペンペンも連れてきてもう一つ買えたらと思うんだけど、ペンペン一人じゃないて一匹だからダメでしょ」
「う、うん」
アスカの力説に汗をかき笑いながら答えるシンジ、ちょっと引いている。
「だから三つね、ミサトさん持ってくださいね」
「え〜〜?私が〜?」
「はい、こんな時くらい働いてもらわないとビ〜ル抜きですよ」
『ビ〜ル抜き』その言葉を出されると従わなくてはならない、ガックリ肩を落すと一つ1Kgの洗剤をカ〜トに乗せた。
「とほほ・・・・でもビ〜ル抜きはイヤ」
「次は・・・・・」
買う商品は決まっている、迷う事無く売り場を目指すアスカ、見失なわないように駆け足でついて行く二人。
「凄〜〜〜い」
驚きの声を上げた。
「な、何なのよ〜〜?」
「ミサトさん大丈夫ですか」
二人はすでに息が切れている。
「ほら冷凍食品が9割引き〜〜〜」
「「・・・・・」」
プライスカ〜ドを二人に見せニコニコするアスカ、二人はもはや声もでない。
「これは買っておいて損は無いわ」
そして手当たり次第にカゴに冷凍食品を入れて行く。
「アスカ、そんなに何でもかんでも買って大丈夫なの?」
元主夫のシンジはアスカの高速の動きでカゴに入れるのを見ていて心配になった。
「大丈夫よ、ちゃんと選んで入れているから、ほらシンジ君の好きなピラプ」
「あっ本当だ」
「ア、アスカ私の枝豆は?」
「はいこれですね」
ビ〜ルのおつまみになる枝豆、これがあるのと無いのでは美味しさが半減してしまう。
「サンキュ〜〜」
二人は安心すると選び終わるのを待っていた。
「あっ!アタシな好きなハンバ〜グ」
好物のハンバ〜グを見つけた、手を伸ばし取ろうとするが・・・・
「あっ!」
横から伸びてきた他の手に取られた、ムッとすると隣を見るとそこに居たのは・・・・
「アスカの一大事って特売の事だったのね、使徒が襲来したと思ったじゃないの」
「ごめんなさい、でも特売は使徒襲来より一大事だったんです」
「そ、そうなの」
「はい、そうです。使徒は向こうから来てくれますが特売りは向こうから来てくれません」
「そ、そりゃそうだけど」
「使徒は逃げても追いかけられますけど、特売は逃げたらもうそこで終わりなんです」
「そ、そうね」
「だからアタシには一大事だったんです、でもお目当ての商品があって良かった〜〜」
「はあ〜〜アスカって完全に主婦しちゃっているわね」
「な、何を言うんですか!しゅ、主婦なんかしていませんよ。主婦って言ったら旦那様が居るじゃないですか、そうなるとアタシの旦那様はシンジ君?きゃ〜〜〜何を言わせるんですかミサトさん!」
「わ、私は何も言ってないわよ・・・」
「シンジ君が旦那様ならミサトさんは何になるのかしら?お姑?小姑?でもお行儀悪いから子供かしら、そうしたら手がかかるわね」
「アスカ・・・・」
「素敵な旦那様に可愛い子供、きゃ〜〜〜〜アタシってアタシってば〜〜!!」
「近頃妄想がひどくなってきたわね」
「きゃ〜〜〜イヤンイヤン!」
「ふう〜〜手がかかるわ〜〜」
特売、アスカにとっては一大事でした。さあ主婦のパワー全開、買い捲れアスカちゃん(笑)
でもシンジ君とミサトさんにとっては疲れる買い物です(^^;)
さあ最後でアスカちゃんの隣にいたのは?
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.27 主婦アスカ