EVA CHANGING
Vol.30
HEAVEN'S DRIVE
「ほらシンジ君シッカリ歩いて、ミサトさん籠を持ってきてくださいね」
アスカはまだ立ち直る事ができないシンジの手を握り、ミサトには買い物篭を積んだカートを引かせ商品を買うためにレジに向かう。
(アスカ、気づいてないのかしら?)
アスカは先ほどからシンジと手を繋いでいる、普通なら顔が真っ赤になり照れるのだが今はそんな事は無い普通である。
「シンジ君、元気だして」
「・・・・うん」
(なるほどね、息子を励ます親だわ)
二人のやり取りを見て納得した、親子に見えるのだ。
支払いを済ませ満足した表情のアスカ、購入予定品を買え主婦としてこれ以上の喜びは無い。よほど嬉しいのかショックでまだ暗い表情のシンジと手を繋いでる。
「それじゃあ帰りましょう」
「ん、どこに行くの?そっちじゃないでしょう」
アスカは駐車場と逆の方向に歩き出していた、ミサトは重い荷物を抱え駐車場の方向を指差した。
「どこに行くのってミサトさん、帰るんでしょバス停はこっちですよ」
「はあ?私達は車で来たのよ」
「車って誰のですか?」
「私の車よ、アスカが朝早く急かしたでしょう一大事だって車を出してって、それで飛ばしてきたんじゃないの」
ポケットからキ〜を出しアスカに見せたとたん顔が青ざめた。
「え、ええ!?ミサトさんの車で来たんですか?それもアタシが頼んだ?そ、そんな事ないわあの死神の虜になっているミサトさんの運転で来たなんて・・・信じられない」
アスカはパニックに陥った、それもそうだ普段は絶対にミサトの車に乗らないのに今朝は自分から頼んで乗ってきたのだ、それに乗っていた記憶が無い。
「へ、へえ〜随分な言い様ね」
ミサトは半笑いしこめかみに怒りマ〜クが浮びあがっていた、多少?は無謀な運転だったがそれほど酷く言われる運転はしたつもりは無い。
「死ななかった事は奇跡に近いです、アタシとシンジ君はバスで帰りますから荷物をお願いします」
「ちょ〜〜ち、待った〜〜〜〜」
ミサトはアスカの腕を掴み、悪魔の笑みを浮かべた。
「そこまで言われるなんて私の腕を信用していないのね?私の運転は安全なのよ、さあ帰りましょう」
「い、いやです。離してください、バスで帰ります」
腕を振り払おうとするが敵わない。
「さあ帰るわよ」
「じゃ、じゃあ僕はバスで・・・」
ショックから少し立ち直ったシンジはじりじりとすり足で二人から逃げるように距離を取る。
「シンジ君助けて」
アスカは手を伸ばし助けを求めるが、シンジは何も行動を起こさなかった、さらに距離をあける。
「シンジ君どうして助けてくれないの?」
「・・・・・・」
「酷い、シンジ君」
目に涙を浮かべるアスカ、普通男なら死んでも助けるのだがシンジは違った。
(・・・プラモが300円になったんだ、これは罰なんだ)
10000円のプラモを買ってもらえなかった事を恨んでいた。
「ん〜〜〜〜ダメダメ♪一緒に帰るわよん」
「うわっ」
ミサトは一瞬の隙をついてシンジの腕を掴んだ、二人とももう逃げられない。
「さっさ乗って乗って」
二人を強引に車まで引きずれて行き乗せる、シンジは後部座席、アスカは助手席である。
「イヤだ〜〜僕は逃げるんだ〜〜〜」
「まだ死にたくないです〜〜〜」
「大丈夫よ安全運転だから」
二人の絶叫、ミサトは落ち着かせる為に優しい口調で言うが一層不安にさせる。
「さあいくわよん」
グオオオオオオン!
アクセルを踏み回転数をあげる、最高回転数までいったところでスタ〜トである。
「うう、この苦しみから開放されるには気絶しかない・・・・」
言い終わらないうちに気絶した、イヤな事は気絶して逃げる、シンジの特技が発揮されたのである。
「シンジ君ずるい、アタシも気絶しよう・・・・・・う、ううできない」
シンジと違って練習?していないアスカ、簡単に気絶できるものではない。そうしているうちにも回転数は上がっていく。
「んじゃごおおおおおおおお!!」
ギュルルルルルルル!!
クラッチを一気に離しギアを繋ぎホイルスピンをさせながら出発した。
「きゃあっ!」
急発進でアスカの全身にGがかかりシ〜トに押し潰されるが、かろうじて意識がある。意識があることは普通喜ばしいがこの時は違う。
「う、うう・・・気絶できなかった」
「気絶なんかさせないわよ〜〜楽しくないじゃない」
アスカの呟きが聞こえたのかミサトはさらにアクセルを踏みこんだ。
グオオオオオオオオンンン!!!
道路にタイヤ跡をつけながら交通法規を無視するアルピ〜ヌ・ルノ〜
「イヤアアアアアアア!!!」
叫び声が置いて行かれるくらいスピ〜ド。
「う、うううう・・・・気絶できない自分が恨めしい・・・・・」
死と隣り合わせのドライブ、この時ばかりはEVAで訓練した自分の体を恨めしく思った。
ギュルルルル!キキ〜〜〜!
「到着〜〜〜おっ新記録だわ」
ドリフトをして駐車場に滑り込む、流石ドライビングテクニックは一流のミサト白線にキチンと入っている。
「う、ううう・・・・」
時計を確認に喜ぶミサトの隣でゆっくりとドアを開け降りるアスカ、顔は青白く体はフラフラと左右に揺れている。
「アスカ〜〜どうだった?素敵なドライブだったでしょ?」
「気持ち悪い・・・・」
口を押さえその場に座りこむアスカであった。
「んわははははっ!楽しいドライブだったわね〜〜」
「全然楽しくなんかありません、死ぬかと思いました」
「あら〜失礼しちゃうわね〜生きているから良いじゃない」
「そんなに気楽に考えているといつかは事故を起こしますよ」
「大丈夫よん♪私は免許を取ってから一度も事故した事無いから」
「本当ですか?違反はありますよね、スピ〜ド違反は」
「ずえんずえん!違反した事ないわ」
「ええっ?嘘」
「嘘じゃないわよ、捕まった事ないんだもん」
(・・・・・・た、確かにあのスピ〜ドは捕まえる事は不可能ね)
「ほらその証拠に免許書はゴ〜ルドよ」
「ほ、本当・・・・」
「これで私の安全運転は証明されたわ、さあまたドライブに行くわよ」
「い、いやああああああ!!!」
ミサトさんの車に乗ってきたことがわかったアスカちゃん(へっぽこですね)帰りはそれに気づきバスで帰ろうとしますが・・・・犠牲になっちゃいました(^^;)
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
Vol.29 僕はいらない子供なんだ Vol.31 告白?デ〜ト?
EVA CHANGING Vol.30 HEAVEN'S DRIVE