EVA CHANGING
Vol.31
告白?デ〜ト?
「う、う〜〜〜〜んもう着いたのかな?」
ミサトのHEAVEN'S DRIVEを味わいたくないシンジは気絶していたが、車が停車し動く気配が無くなると訓練されたかのように正確に復帰した。
「んん、着いている速いなあ〜ミサトさん一体何キロで走っているんだろう」
目をこすり、まだ揺れている感覚が残る体を起こして車から出るとアスカがしゃがんでいる姿が見えた。
「ん?アスカどうしたの、酔ったの」
ミサトの運転ならありえる事だ、シンジの声にアスカは立ちあがると振り向き・・・・
バッチ〜〜〜ン!!!!
シンジの頬に強烈なピンタをお見舞いした。
「うわっ、アスカ!何をするんだ・・・・・よ・・・」
頬がヒリヒリ痛い、訳がわからずピンタをされたシンジは怒鳴ったがアスカの表情を見て最後まで言えなかった。
「う、ううう・・・・シンジ君酷い!どうして助けてくれないの?アタシ地獄を見たのよ」
流す涙を拭くのも忘れ裏切られた気持ちでシンジを悲しく見つめる。
「そ、それは・・・・」
シンジは言い返す事ができなかった、目的のプラモが買えなかった仕返しとしてはあまりにも酷いと思ったからだ。
「どうして?・・・・」
「ご、ごめん・・・・」
謝る事しかできないシンジ、アスカの顔がまともに見れない。
その二人を見るミサトは・・・・
(私の運転って地獄なの?それにしても険悪な雰囲気になっちゃったわね〜〜〜♪)
楽しんで見ていた。
「答えてくれないの?もういい!これからはご飯もお洗濯もしてあげないんだから」
頬を膨らませてプイっと顔をそむける、涙はもう止まったようである。
「えっええ?そんなあ〜〜〜・・・・」
シンジはガクっと膝を着いた、ご飯、洗濯は以前ならできたのだが現在はアスカに頼りっぱなしなのでできない、家事レベルは1にレベルダウンしていた。ちなみにミサトの家事レベルは‐∞である。
「ごめんアスカ、それだけは勘弁して」
「ダメ!許してあげない!」
平謝り、土下座をするがアスカは耳をかさない。
「許してよ〜〜〜」
「ダメ!反省して」
「もうアスカ無しでは生きていけないんだよ〜〜何でもするから〜〜〜」
「えっ?」
無我夢中で謝るシンジはとんでもない事を口にした、アスカは思わず目を真ん丸くして驚いた。当然ミサトは・・・
(うわおっ〜〜シンちゃん愛の告白〜〜♪どうなるのかな〜〜?)
これからの展開を期待していた。
「ねえアスカ〜〜〜許して〜〜〜」
手を合わして頭を地面につけて謝る。
(・・・・アタシ無しで?・・・・これってまさか?)
アスカは先ほどの言葉で混乱していた、考えがグルグル回る。シンジにしてみれば許してもらえないと生活レベルが以前のミサトレベルになる、とっさに出た言葉なので深い意味は無い。
「アスカ〜〜〜」
(ま、まさかね、ま、まだ早いしシンジ君にそんな度胸あるわけ無いわね)
シンジの性格から考えると結論はそうでる、アスカはちょっぴり残念に思い溜息をついた。
「アスカ〜〜〜」
「本当に何でもしてくれる?」
「うん!何でもするよ」
「それじゃあ、欲しい物があるの買ってくれる?」
「うん!買うよ、買わせてもらいます!」
シンジには手痛い出費になるが、普通の生活ができると思えば安いものだ。
「本当!?じゃあデパ〜トに行きましょう」
「許してくれるんだね?」
「うん、でも今度こんな事したら絶対に許してあげないからね」
「わかった、絶対にしないよ」
許してもらえたシンジは何回も頭を下げると次は絶対にしない事を誓った。アスカは涙を拭き悲しい表情は消えニッコリと微笑んだ。その二人の姿を見ていたミサトは・・・・
(アスカやるわね〜〜〜さり気なくデ〜〜〜ト!でもシンちゃんは気づかないわね)
その通りである。
「じゃあ荷物を置いたら行きましょう」
「うん、財布を持ってこないとね」
三人は分担で荷物を持ち家に向かった。
「ミサトさん、カップラ〜メンが戸棚にありますからすみませんけどお昼はそれで勘弁してくださいね」
「ん〜〜わかったわよ、それより頑張んなさいよ」
「な、何を言うんですか!」
ニヤリと口を歪めるミサト、アスカは赤くなった。
「またまた〜〜〜ちゃっかりおめかしして、指輪でも買ってもらいなさい」
「そ、そんなんじゃないです。シンジ君が待っているので行ってきます」
アスカは耳まで真っ赤にしてシンジが待っている玄関にダッシュ、ミサトは後姿を優しい姉の目で見送った。
「ふふ、青春ね」
「アスカ、どうしたの顔が赤いよ?」
「な、なななな何でもないの、行きましょう」
「そうなの、それじゃあ行こうか」
「うん」
シンジに顔の事を言われ更に赤くなったが誤魔化すと家を出た。残されたミサトは・・・
「行っちゃったわね〜〜静かになっちゃった〜〜〜」
静まり返ったリビングであぐらをかき回りを見まわした。
「ん?静かという事は誰も居ない、って事は〜〜〜」
ニヤケ顔になっていきスキップして台所に向かった。
「気がね無くビ〜ルが飲めるって事ね♪」
アスカやシンジが居れば何かと言われて思う存分飲めることができない、ここぞとばかりに冷蔵庫を開ける。
「今日は飲むわよ〜〜〜ぎゃっ!」
どげしっ!
冷蔵庫を開けた瞬間ミサトの顔に何か黒いものが当たった。黒いものは回転して天井高く舞い上がった。
「な、なんな・・・・の?・・・・・・」
ミサトは薄れ行く意識の中で空中に舞う黒いものが何かわからずに気絶した。黒いものは回転を止めるとテ〜ブルに着地した。
「クエ〜〜」
黒いものの正体はペンペンであった、手には何か紙を持っている。
ペンペンへ
ミサトさんは必ずビ〜ルを飲もうとするから
どんな手段を使っても良いから絶対に飲まさないでね
飲ませなかったらご飯、魚一匹サ〜ビスするね
アスカ
「クエクエクエクエ〜」
手紙を読みなおすと、嬉しくて笑いがこみ上げてくる。アスカもミサトの性格を良く熟知している、こうして葛城家の台所は守られているのだ。
「♪♪〜〜♪〜〜〜〜」
「アスカ、楽しそうだね」
電車、アスカは鼻歌を歌っていた欲しいものを買ってもらえるので嬉しいのだろう、それとも他の理由で嬉しいのだろうか。
「ふふ、だって欲しいものを買ってもらえるし、それに・・・ぽっ」
「それに何?」
アスカは頬が赤くなり、そっぽを向いた。シンジは鈍感なのでその意味がわからない。
「それに・・・シンジ君と一緒・・・」
「ん?聞こえないけど」
後半を呟く、シンジには当然聞こえない。
「な、何でも無いから気にしないで」
手をバタバタと振り誤魔化すアスカであった。
「ヘンなの」
鈍感なシンジ、幸せものである。
デパ〜トに着いた二人、さっそく売り場に向かう。
「なんだぁ〜欲しいものって水着だったの?」
「うん!」
二人が向かった先は水着売り場であった、フロア一面所狭しと水着が売ってある。
「良かった〜〜水着で、もっと高いものかと思ったよ」
シンジは胸を撫で下ろした、もっと高いものをねだられると思ったが取り越し苦労に終わった。
「ふふ、シンジ君のお小遣いじゃこれくらいが罰に丁度いいでしょ」
「も、もう言わないでよ」
微笑むアスカに苦笑いのシンジ、さっそく水着を選ぶ。
「さあてどれにしようかな〜〜〜」
カラフルな水着、色々なデザインの水着がある。アスカは一着一着体に当てながら選んでいく。
「シンジ君は買わないの?」
「僕は持っているからいいよ、アスカだって持っているのにどうして買うの?」
「女の子は水着にも気を使うのよ。男の子みたいに一つだけってわけにはいけないの」
「ふ〜〜ん、そうなんだ」
男のシンジからすれば考えられないことである、水着は一つあれば良い、買うのは体が大きくなりサイズが合わなくなった時だけである。
「これはどうかしら?」
体に当ててシンジの方を振り向いた、ワンピ〜スタイプの白、無地である。
「良いんじゃないかな」
シンジはアスカが選んだ水着にちょっと驚いた、以前の性格なら大胆なビキニタイプに派手な赤色が現在はおとなしいワンピ〜スタイプに清楚な白だったからだ。
「良いじゃないの?」
「えっ?何が?」
「シンジ君良いんじゃないかなって言ったでしょ、それじゃあ肯定も否定もしていないからわからないよ」
「そ、そうだね。これはアスカに似合うよ」
「本当?」
「うん本当だよ、この水着を着たアスカを見てみたいなあ」
「嬉しい!じゃあこれを買うね」
アスカは大喜びで体に水着を当て鏡を見て喜んだ。シンジは水着の値札を盗みつつホッと溜息をついた。
(良かった〜〜〜そんなに高くなくて)
二人はレジに向かった。
「シンジ君、水着ありがとう大事にするね」
「喜んで貰えて嬉しいよ、これからどうするの?」
時刻はまだお昼前、これからの予定は無い。
「ふふ、水着があるから当然する事は一つ」
「何をするの?」
真顔で聞き返すシンジ、アスカは汗をかき半笑いになった。
「シ、シンジ君本気で言っているの?」
「うん」
「・・・水着があるといったらプ〜ルでしょ、ネルフのプ〜ルに行きましょう」
「そうか!プ〜ルだね、気がつかなかったよ」
ポンと手を叩き納得した。そんなシンジに呆れるアスカ。
(シンジ君ってプ〜ル以外に何を考えていたのかしら)
「じゃあ一度家に帰って用意をして行こう」
「うん」
二人は微笑み合うと急いで家に帰っていった。
「ハロ〜〜!愛の美少女キュ〜ピット天使ミサトよん」
「ミサトさん、何を寝ぼけた事を言っているんですか昨日のビ〜ルがまだ残っていますね」
「おめめパッチリよ、私のドライブでシンちゃんとデ〜トができたじゃない」
「ち、違いますよ。あれはデ〜トじゃありません!お買物です」
「チッチッチ違うわよ、世間ではあれをデ〜トを言うのよ、この幸せもの!」
「違います〜〜〜!」
「恥ずかしがらなくても良いのよ、じゃんじゃんデ〜トしなさい」
「だから違うの〜〜〜!」
「にしても水着、アスカにしては地味ねえ」
「あれで良いんです、だって恥ずかしいんだもん」
「甘いわねえ〜そんな事じゃあシンちゃんのハ〜トはゲットできないわよ。私の水着を貸してあげるからこれでゲットしなさい」
「こ、これって水着じゃなくて・・・ヒモじゃあ・・・」
「これを見せたらシンちゃんメロメロよ〜〜」
「要りません!こんなの無くたって・・・」
「おおっ!自信あるのね〜〜」
「あっ、今のは聞かなかった事に」
「良いの良いの、口は硬いからシンちゃんには言わないわよ。でも喉の滑りが悪くなるとでちゃうかも」
「・・・・わかりました、ビ〜ルですね」
「あら〜悪いわね、催促しちゃったみたいで〜〜」
「・・・・・・」
シンジ君、愛の告白か〜〜?残念だけど違いましたね。アスカちゃんちょっぴり残念(^^;)
アスカちゃん、さりげなくデ〜トに誘い、おねだりして水着を買ってもらいました。シンジ君散財だけど生活できないよりマシですね。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
Vol.30 HEAVEN'S DRIVE Vol.32 そばに居るだけで
EVA CHANGING Vol.31 告白?デ〜ト?