EVA CHANGING
Vol.33
Who am I ?
「ゲップ〜〜〜〜〜〜ごちそうさま♪」
「ミサトさんはしたないですよ」
葛城家の夜、アスカ特製のご飯をお腹いっぱい食べたミサトは大きくなったお腹をさすり、爪楊枝で歯をシ〜シ〜して満足だ。
「そうですよ、仮にも嫁入り前なのにそれじゃあいつまで経ってもお嫁に行けないですよ」
「くっ・・・言ってくれるじゃないの、お嫁に行けなかったらシンちゃんに貰ってもらおうかしら?」
「うわっ、ちょっとミサトさん!」
胸に短刀をグサリと刺される衝撃を受けるが、負けじとシンジに抱きつき豊満な胸を顔に押し付ける。
「ミサトさん、やめてくださいシンジ君が嫌がっているでしょう!」
シンジは本当に嫌がっているのだろうか?ミサトには頬が真っ赤になり鼻を伸ばしているように見えるが、アスカには顔が青ざめて口から泡を吹いているように見えるのだろう。
「そうかしら〜?喜んでいるようだけど、ねえシンちゃん!」
「そ、そんなわけないですよ〜早く離してください〜〜」
14歳の健全な中学生は否定をしているが内心はそうではないだろう。目の前の少女を気にしてこの場は嫌がっているのだろう。
「しょうがないわね〜〜〜離してあげるわよん♪」
「ケホケホッ、あ〜〜〜苦しかった」
解放されたシンジ、激しく呼吸すると全身に酸素を巡らせる。
「またやりたくなったら言ってね〜〜」
「駄目です!大体(ピ〜〜)歳のミサトさんに興味があるわけ無いじゃないですか、ねえシンジ君」
「え?ええ?そ、そうかな?」
ウインクして色気をシンジに向けるがアスカによって遮られた。
「酷いアスカ〜〜〜私は華の十七歳よ、セ〜ラ〜服だって似合うのに〜〜」
「月のセ〜ラ〜服はとっくに似合いませんよ」
「過去の栄華じゃないわよ、今だって似合うんですからね〜」
「はいはい、わかりました」
ミサトの力説にアスカは面倒くさくなったのかサラッと流した。
「ひ、酷い〜〜」
涙を流すミサト、心の中では『セ〜ラ〜服は絶対に似合う!』と思っていた。
「クエ〜クエ〜」
そこへアスカの元へペンペンが自分用のタオルを持ってやって来た。
「あらペンペン、お風呂入るの?」
「クエクエ」
頷くペンペン、そしてアスカの手を掴み片手を風呂場に向ける。
「また一緒に入るの?良いわよ」
「クエクワ」
「着替えを取ってくるから先に行っててね」
「クエ」
ペンペンは体を揺らしながら風呂場に向かい、アスカは長い髪の毛を後ろで束ね上げながら部屋に向かった。
「ペンペン、最近アスカと良く入るわね」
「そ、そうですね」
アスカの髪を束ね上げる仕草にドキドキしており一瞬ミサトの言葉がわからなかった。
「以前なら一緒に入るのを嫌がったのに、変われば変わるものよねえ」
「そ、そうですね」
「ん?シンちゃん」
「な、何ですか?」
缶にわずかに残っていたビ〜ルを飲み干すと真剣な顔でシンジを見た。
「シンちゃんもアスカと一緒にお風呂に入りたいんでしょう」
「な、ななななななななななんてことを言うんですか!」
真剣な顔から発せられた言葉はあまりにもくだらないものだったが、それでもシンジに十分すぎる言葉だ。
「良いの良いの〜〜〜言わなくてもわかっているわよん♪、言えばいいじゃないの『アスカ、僕は君と一緒に入りたいんだ』ってね」
声マネをしてリアルに演じる。
「い、いいいいい言えるわけないでしょう。言ったら殺されちゃいますよ」
「そうかしら〜〜?あのこ随分優しくなったし、シンちゃんに気があるからもしかして・・・『アタシと・・?嬉しいシンジ君』ってな感じになったりして〜〜〜」
「そんなわけないでしょう」
顔を真っ赤にして答えるが、14歳の健全な中学生の妄想は激しい。
「シンジ君と一緒に入れて嬉しい・・・ぽっ」
「僕もだよアスカ」
「シンジ君・・・」
「アスカ・・・」
「・・・ンちゃん、シンちゃん」
「へっ何ですか?」
珍しくトリップしておりミサトの声が聞こえなかった。
「鼻血でてるわよ」
「え?ウソッ」
慌てて手を鼻に当てて見ると指には血がついていた、ビックリしてティッシュを数枚取り鼻に詰める。
「あわわっ血が〜〜〜」
「うんうん、シンちゃんも健全な男の子ね」
ミサトは我が子の正常な反応に何故か涙を流し喜んだ。
「もう、部屋に戻ります」
貧血になったのだろう、体をふらつかせながら立ちあがるがなかなか立てない。
「ちょっち待って」
「えっ何ですか?」
シンジの手を掴むと強引に座らせ、自分の耳に手を当てた。
「ほら聞こえるでしょう」
「何がですか?」
「耳を澄ませてごらんなさい」
「?」
シンジはわけがわからず言われた通りに耳に神経を集中した。
「クエクエクエ〜」
「ふふ、気持ち良いわね」
「こ、これは?ミサトさん」
「ふふ、そうよ入浴中のアスカとペンペンの声よ」
「まさに命の洗濯ね、疲れが取れるわ」
「クエクエ」
「あっペンペン、くすぐったい」
「クエクエ」
「あっこらどこ触っているのよ」
「クエクエ」
「もうエッチね」
「クエクエ」
「あんっ!」
「ミミミミミミミミミミミミミサトさん!」
風呂場の生音声に興奮し言葉にならないシンジ、鼻息が荒い。
「そうよ、禁断の愛ってとこかしら」
それは違うだろう、飼い主とペットの他愛無いジャレ合いだろう。
「くう〜〜ペンペンめ〜〜」
コブシを握り締め羨ましがるシンジ、ペンペンも一応オス(男)なので怒りもこみ上げてくる。
「動物だったら何でもアリなのね〜これがシンちゃんだったら半殺しじゃ済まないでしょうね」
ミサトの言う通りだろう、もしシンジだったら魂まで殺されるであろう。
「ペンペン、あがってきたらお仕置きだ」
先ほどよりも力強くコブシを握り締めバックに炎を立ち上らせる。
「ふふ、シンちゃんペンペンと入れ替わりたいって思ったでしょう」
ニヤリと不気味に微笑むミサト、男なら誰でも思う事だろう。
「えっ?」
「言わなくてもいいわよん、良いわよね〜意識が入れ替わったら」
ウンウンと頷くとポケットから瓶を取り出した。
「シンちゃん、これ何に見える」
「これって瓶じゃないですか」
テ〜ブルに置かれた瓶、誰でもそう答えるだろう。
「ふふ、これはね意識入れ替え薬『イレカエ〜〜君』よ」
立ちあがり瓶を高々と天に上げ、片足をテ〜ブルに乗せ決めるミサト。
「・・・・・安易なネ〜ミングですね」
「これを飲めばシンちゃんとペンペンの意識は交換、グフフな思いができるわよん」
「そ、そうですね・・・」
シンジにしてみれば確かにグフフな薬であるが怪しすぎる。
「飲まないの?」
「これってどうしたんですか?」
「リツコから貰ったの」
「リツコさんから・・・・」
ネルフに雷鳴の如く輝く?MADリツコ作の薬、ますます怪しいと思うシンジであった。
「さあ、天国へGO〜〜〜」
「遠慮しておきます、別の意味で天国に行くかもしれないから」
MADリツコを知っていればそう考えるだろう。
「遠慮しないの、エイ」
「うわっうっぷ!ゴックン」
だがシンジの一瞬の隙を突いて素早く飲ませるミサト、どういう効果が出るのかワクワクしてる。
「シンちゃん」
「・・・・・・・・・・・・」
ミサトが呼びかけてから数十秒シンジは動かなかった。そして・・・
「僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン僕はペンペン」
顔は髪で隠れて表情がわからないが、ずっと呟いている。
「僕はペンペンだ〜〜〜〜!!!」
ダダダダダダダダ!!
「あっシンちゃん!」
暴走した初号機のようにダッシュである場所に向かった。そして・・・
「キャ〜〜〜〜〜!!!シンジ君のエッチィ〜〜〜〜!!開けるなんて最低!」
ドゴッ!
「ギャ〜〜〜〜〜!!」
アスカの悲鳴の後に壁が崩れる音とシンジの悲鳴が葛城家に響き渡った。声を聞きながらミサトは瓶を手に取り見て溜息をついた。
「これって失敗作じゃない、シンちゃん死んじゃったんじゃないでしょうね?・・・まあ私には関係ないわね♪」
自分が飲ませておいて知らん振りを決めこむミサトであった。
「うええええ〜〜〜シンジ君に見られちゃった〜〜」
「あらあらアスカ、嬉しがっちゃってこの幸せもの〜〜」
「違います、泣いているのにどうして嬉しいって見えるんですか?」
「嬉泣きじゃないの?つまらないわね〜〜」
「シンジ君突然ドアを開けるんですよ、あのシンジ君がどうして?」
「さ、さあね若気の至りってやつじゃないかしら。で、開けられた時何してたの?」
「体を洗っていたんです、そしたら突然・・・・一瞬何かなんだがわかりませんでした」
「それで?」
「気がついたらシンジ君が壁にめり込んでいて・・・」
「そ、そうシンちゃん、大丈夫かしら?」
「大丈夫じゃなくて良いです、当然の報いです」
「ふ〜〜〜ん、こりゃシンちゃん許してもらえないわね」
シンジ君、暴走してしまいました(リツコさんの薬のせいですけどね^^;)自分がペンペンの意識になっても体がシンジ君だから、結果は…
リツコさんの発明した薬は見事に失敗でしたね。
アスカちゃん、無意識にしてはシンジ君を突き飛ばす?なんて凄い力だ。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
Vol.32 そばに居るだけで Vol.34 BAD MORNING
EVA CHANGING Vol.33 Who am I ?