EVA CHANGING

Vol.38

届かない手紙

(シンジは遅刻か〜〜珍しいの〜〜)

 老教師による出席が取られている中、トウジはシンジの席を見て思った。

(綾波はいつものことやな)

 出席簿にはシンジとレイの欄には出席の印がつけられないまま1時間目が開始した。

・・・大丈夫かな?

 アスカは時間になっても来ないシンジを気にしてチラリと席を見た、遅刻したのは多少は自分に責任があると感じている。

・・・ア、アタシなに気にしているのかしら

 昨日の事を思い出し、視線を教卓に移し授業の準備をする。

・・・・・はあ〜

 しかし授業に集中できずに頬杖をつき溜息をつくと視線を外に移した。

(アスカ、かわいそう。それにしても碇君遅刻するなんてますます許せなくなったわ)

 ヒカリはアスカの寂しくて悲しい表情を見ると打倒シンジに燃えた。

(女の敵ね)

 すでに当初の目的が違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあ、はあはあ」

 下駄箱の前で大きく肩で息をし呼吸を整えるシンジ、1時間目の授業が始まって10分後到着である。

「早く行きましょう」

 シンジと同じく走ってきたレイは汗一つかかず息を切らしていない。

「う、うん」

 レイの体力に驚き自分の体力の不甲斐無さを恥じ上履きに履き替え教室に向かう。

 ドックン。ドックン

 廊下を歩くシンジは胸に手を当てた、教室に近づくたびに胸の鼓動が高まっている。

(アスカ・・・・)

「碇クン」

「え?」

「大丈夫よ」

 レイは元気つけるためか一言発すると教室のドアを開けた。

 ガラッ!

 授業中、教室のドアが開くと教師生徒は一斉に注目する。

「ネルフです」

 レイはそれだけを言うと席に座る、教師生徒はもう慣れているので再び目線を端末に戻し授業を再開した。

(い、良いのかな?本当は遅刻なのに)

 シンジはちょっと後ろめたさを感じながら席に向かった。

(アスカ・・・・)

 席に向かう途中、アスカの方を見たがアスカは目線をそらし外を向いていた。

(怒っているよね・・・・)

 席に座ると深呼吸をし授業の準備をした。

(むっ!碇君ようやく来たわね〜、覚悟してなさい)

 勘違い進行中のヒカリは誰に聞かれること無く指の鳴らした。

・・・・・遅刻しちゃった、でも良かった来てくれて

 シンジが席に座り前を向くと横目でシンジを盗み見、遅刻しても来た事を喜んだ。が

な、なに喜んでいるのかしら、アタシ・・・・

 頭を左右に振ってその考えを振り払う。

 ピッ!

 左右に頭を振っている時、端末にメ〜ル受信の合図が画面に点灯した。

誰かしら?

 メ〜ルの差出人を確認した。

・・・・・・・・・

 ピッ!

 そして中身を見る事無く削除された。

 

 

 ピッ!

 1分後、またアスカ宛てにメ〜ルが届いた、差出人を確認すると・・・

・・・・・・・・・

 ピッ!

 再び中身を見る事無く削除された。

 

 ピッ!

 再び1分後、またメ〜ルが届いた、今度は差出人を確認しない。

 ピッ!

 すぐさま削除された。

 

・・・・・あっ

 アスカはふと見られている視線に気づき目を向けた。

(アスカ、どうして見てくれないんだ)

 目を向けた先にはシンジが居た、悲しげな表情でアスカを見ている。

・・・・・・・

 シンジの視線に耐えきれなくなり端末に目を戻すとキ〜を打ち始めた。

 カタカタカタカタ・・・・・

 ピッ!

 打ち終えると送信ボタンを押した。

 

 

 ピッ!

 そのわずかな後にシンジの端末にメ〜ル受信の合図が画面に点灯した。

(アスカッ!)

 差出人を確認するとアスカである、急いでメ〜ルを確認する。

 

『迷惑なんです、もう送らないで』

 

(そ、そんな・・・・・)

 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで 迷惑なんです、もう送らないで

 目の前が暗くなりメ〜ルの言葉が頭の中で何度も何度も繰り返された、ガクッと頭を垂れる。

(・・・・家を出よう)

 シンジの気持ちは決まった。


「うっひゃあ〜〜、なんか物凄い展開になっているわね、これからどうなるのかしら?」

「私と碇クンが結婚するの・・・ぽっ」

「な〜〜に寝ぼけたこと言っているのよ〜、天然妄想少女レイちゃん」

「・・・・ビア樽3段腹の葛城三佐には負け・・・うきゅきゅきゅ〜〜〜」

「レイ〜〜、アンタ1回死んでみる?」

「きゅ、きゅるしい・・・わ、私が死んでも代わりは・・・・・・・」

「あっ!勢い余って殺しちゃった・・・ど、どうしよう〜〜?」

「・・・・・・」

「こ、こういうときは逃げるが勝ちよ」

「・・・・・葛城三佐、行ったわね、これぞ長年掛かって編み出した仮死の術よ。みんなも真似してみるといいわ、でも失敗したら代わりを用意してね」

「えっ?代わりは居ないの・・・・さよなら」

「それでこれからの展開は・・・・秘密よ」

 シンジ君、謝ろうにもアスカちゃんが相手してくれない〜〜〜

 どうするシンジ君、本当に家を出て行くの?アスカちゃんはそれで良いのか?

 ヒカリちゃん、一人で勘違いするな(笑)

 こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


Vol.37 碇シンジの苦悩 Vol.39 レイの手紙

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