EVA CHANGING
Vol.40
別れ
(・・・・・)
アスカにメ〜ルを貰い謝る機会ができたシンジは時計を見つめ早く時間が過ぎるのを待った。
(・・・・・)
時間を気にしているほど時が経つのは長く感じる、先ほどからずっと時計を見ているがまだ五分しか経っていない。
ピッ!
そんな中、またシンジにメ〜ルが届いた。
(アスカからかな?)
差出人の名前を確認してみる。
『差出人:洞木ヒカリ』
(あれっ?委員長、何だろう)
ヒカリからシンジに来るのは珍しい、いつもはアスカとやり取りをしておりその内容はファッションや音楽、食べ物の話でありシンジには関係ない。送られてきた文章を読んでみた。
『碇君!アスカに何をしたの?アスカ泣いていたわよ』
『何があったか知らないけど女の子を泣かせたからにはわかっているでしょうね?』
『責任取りなさい!』
(えっ、アスカ泣いていたの?)
泣いてはいない、ヒカリの中で誇大になっていた。
(責任か・・・・わかっている、覚悟はできている・・・・)
『責任取りなさい!』の言葉が重くのしかかった。
カタカタカタカタ・・・・・
ピッ!
ヒカリに返事を書くと送信ボタンを押す。
ピッ!
ヒカリの端末に受信の合図、差出人を確認するとシンジであった。
『うん、わかっているよ1時間目が終わったら謝るから』
(反省しているようね)
ヒカリは安心した、これでシンジが反省していなかったら休み時間に血の雨が降っていたであろう。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン!
(やっと終わった)
シンジにとって長い1時間目が終わった、急いでアスカの席に向かう。
「・・・アスカ」
「・・・・・・」
シンジの返事にアスカは無言で頷くと席を立ち屋上へ向かう。
(あっ)
ヒカリは二人が教室から出て行くところを見ると急いで席を立った。
「だめ」
「綾波さんっ!」
二人の後を追おうとしたヒカリだったかレイに腕を掴まれそれはできなくなった。
「これは二人の問題なの、私達が介入したらだめ」
「でも委員長としての責任が」
果たしてクラスの代表として見届ける義務があるだろうか。
「だめ」
「わ、わかったわ」
紅瞳でジッと見つめられると何も言えなくなり首を立てに振った。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
屋上に来た二人、アスカはフェンス越しに裏山を見つめ、シンジはアスカの背中を見つめていた。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
二人無言のまま時間が過ぎる、時折吹く風がアスカの長い後ろ髪がなびく。
「あ、あのアスカッ」
「・・・・・・・」
謝ろうと思っていてもいざ実行すると緊張してしまう。
「その、あのっ・・・」
なかなか言葉が出ない、アスカはずっと裏山を見つめ無言で聞いていた。
「ごめんっ!今朝言われて何の事だかわからなかったけど、思い出してあんな事をしたなんて、ごめんっ!本当にごめんっ!」
シンジは頭を下げた。
「・・・・・・・」
ずっと無言のままで聞きつづけているアスカ、口元が微かに震えている。
「謝れて良かった・・・ありがとう・・・さよなら・・・・」
シンジは再び頭を下げると静かに屋上を後にした。
「・・・・・・・」
シンジが去った後もずっと裏山を見つめていたが焦点は合ってなく山が滲んで見えた、口元も先ほどから震え手はギュッ握り締めていた。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン!
そして二人には長かった休憩時間は終わった。
「碇クン、さよならって行っちゃうの?」
「折角アスカから返事がもらえて謝ったのに行くなんてシンちゃん、男気あるわねヤッル〜〜〜。まあアスカも黙ったままで返事をしなかったからね〜〜」
「碇クン、どこ行くの?」
「男は1ヶ所に留まらないんだぜって背中が語っているわね」
「背中は語らないわ、語るのは口」
「んなことわかっているわよ、例えよ例え」
「・・・碇クン、もしかしたら私のお家に来てくれるかも」
「そうねえ〜そしたらシンちゃんが家事全部をしてくれるんじゃないの?」
「碇クンが家事を全部・・・・」
「そしたら毎日愛しいシンちゃんの手料理が食べられるわね」
「手料理、碇クンの・・・・私も食べて・・・ぽっ」
「まあそんな事はないと思うけど」
「どうして?」
「私がシンちゃんの手料理は誰にも渡さないから〜〜」
「・・・葛城三佐邪魔、早くお嫁に行って・・・・もう無理ね」
「くぉら!レイ〜〜〜」
「退散」
シンジ君謝る事はできましたがアスカちゃんから返事を貰えませんでしたね。レイちゃんの手助けも残念ながら無駄に終わりました。
ヒカリちゃんはなんとか暴走はおさまりました。二人はどうなるのでしょうか?
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.40 別れ