EVA CHANGING

Vol.41

ミサト焦る

あれ?

 屋上で休憩時間のチャイムが鳴り教室に戻ったアスカは先ほどと違う光景に気がついた。

シンジ君が居ない?・・・

 2時間目の担当教師が来てもシンジの席は開いたままであった。

「先生、碇君は?」

 二人の事を気にしていたヒカリは立ちあがり教師に聞いてみた。

「碇君なら早引きしましたよ」

早引き?ネルフかしら、でもそんな事言ってなかったし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふう〜〜、この道も今日で最後かな)

 早引きをしたシンジ、通学路を名残惜しく見渡しながらユックリと歩き風景を目に焼き付けていく。

(あそこのケ〜キ屋のイチゴショ〜ト、アスカのお気に入りだったなあ〜)

 

(本屋か、アスカニ時間も料理本を立ち読みするんだからなあ、買えばいいのに)

 

(プラモショップ、お金が足りなくてアスカにかりて買ったなあ〜、もうちょっと男のロマンを知ってほしいよな)

 

(公園・・・アスカ、ブランコで立ちこぎしてパンツが丸見えになっちゃったんだよなあ、あの後の真っ赤な顔、可愛かったなあ)

 

 真直ぐ帰らずに寄り道のコ〜スも歩き思い出が甦ってくる。

(・・・・アスカとの思いでばっかりだ)

(・・・・・・・・・)

(・・・・・・・・・)

 歩く道、見る風景、全てがアスカに結びつく。

(・・・・・・・・・アスカ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風景を目に焼き付けて家に着いた。

(あれ?開いている)

 玄関に鍵が掛かっていなかった、この時間なら家には誰も居ない。

(ミサトさんかな?)

 だらしない保護者が頭に浮ぶ、だがこの時間はネルフに行っている。しかしその考えは的中した、

「あら〜〜〜おっかえり〜〜、早かったわね」

 玄関の音に気がついたのかミサトが出迎えにきた、手にはビ〜ルを持っており頬が赤い、かなりできあがっている。

「ミ、ミサトさんっネルフはどうしたんですか?」

「今日はね〜〜なんだか昼から出勤したい気分なのよね〜〜〜」

「・・・・」

 シンジは絶句した、これでよくクビにならない。

「っにしてもシンちゃん、学校はどうしたの〜?まだ授業があるでしょ」

「それなんですが、ミサトさん・・・・今までありがとうございました」

「あらっかしこまっちゃって〜どうしたの?こちらこそありがとうございましたっと」

 深々と頭を下げるシンジにミサトも下げる。

「僕は家を出て行きます」

「あらそう行ってらっしゃい、早く帰ってく・・・えっええ!?

 一気に酔いが冷めた。

「で、ででで出て行くってどこに行くの?」

「わかりません、第三東京を出ようと思います」

「どうしてイキナリ?」

 シンジの考えがわからない、どうして出て行く理由があるのか。

「・・・決心したんです」

「許してもらえなかったの?」

 ミサトはシンジの悲しみの表情から全てを理解した。

「・・・謝りましたが返事は貰えませんでした」

「そう・・・・・」

「もうアスカと一緒に住む事ができません、エヴァパイロットも辞めます」

えええっ!!!!

 衝撃の発言、ミサトは口を大きく開けて固まった。

「どどどどどどどどうしてエヴァパイロットを辞めなくちゃいけないの?」

「ネルフでも顔を合わせるとなると・・・辛くて・・・・」

「そそそそそそそそそれは困るわ!」

 ミサトにとっては大問題である、エヴァパイロットがいなくなると戦力が大幅に半減、使徒に勝てるかどうかわからない、人類の窮地に立たされる。そして保護者としての監督不届きとしてクビになる可能性が高い。

(ど、どうして出て行く展開になるのよ〜〜、もうアスカも許せば良いのに〜〜たかがお風呂を覗かれたくらいで)

「ミサトさん・・・アスカと仲良く暮らしてください・・・・」

 荷物をまとめる為に部屋に向かう、ミサトはシンジの寂しげな後姿を見ながら思考を巡らせていた。

(ヤバイ!非常にヤバイわ、なんとか二人を仲直りさせないと私のクビが危ない、考えろ考えるのよミサト!二人が元通りになる方法があるはず)

 シンジの荷物は少ない、まとめるのに時間は掛からないだろう。そのわずかな時間でよい方法を考えなければならない。

(ったく〜〜どうしてこんな事になったのよ〜〜〜・・・・ってもしかして発端は私・・・・?)

 昨日の出来事を思い出した、事の始まりはミサトがシンジ飲ませた怪しい薬。

!!!!

 ミサト、ムンクの叫び状態で固まった。

 

 

 

 

 

 

「ミサトさん、今までお世話になりました」

 まだ固まっているミサトに頭を下げて横を通る。

「・・・・・はっ!ちょっち待って〜〜!」

 シンジを引きとめようとするがまだ考えが出ていない。

シ〜ンちゃ〜〜〜〜ん!

 ミサトの大声が木霊した。


「原因は葛城三佐なのね」

「こ、これは私じゃないわよ、もう一人の私がやったのよ」

「じゃあ今の葛城三佐は何人目なの?」

「え、ええとね・・・十人目かな?」

「そう、私より多いのね・・・・ってウソはダメ」

「ボケて突っ込まないでよ〜〜〜」

「お約束だから」

「そ、そうなの」

「葛城三佐、碇クンが出て行ったらクビは間違いわね」

「そうよ!そう!だから良い考えが無いか思案しているのよ、レイ何か良い考えはないかしら?」

「・・・一つあるわ」

「ホントッ、ってシンちゃんがレイん家に行けば良いってのは無しよ」

「・・・・・・・・・・・さよなら」

「やっぱりかい!」

 楽しい通学路も思い出としてシンジ君の心に刻まれ・・・・出て行くんでしょうね。

 ミサトさん、本当にヤバイですね。それも自分が原因でこうなったのだから尚更。

 二人の仲を元通りにするのにミサトさんの良い考えが出なければ〜〜。

 こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


Vol.40 別れ Vol.42 お弁当は・・・

EVA CHANGING Vol.41 ミサト焦る