EVA CHANGING
Vol.46
希望
「あ〜〜〜もしもし、私だけど」
ミサトは腰に手を当て受話器に向かって透き通る声で話し始めた。
「・・・・」
アスカはその様子を高鳴る鼓動を押さえるために胸に手を当て見つめていた。
「だ〜〜か〜〜ら、シンちゃんを探すのよ」
「・・・・」
「え〜〜〜?もうネルフの関係者じゃないから探せない」
「・・・・探せないの?」
ミサトの口から発せられた言葉にビクっと体を震わせる。
「あんた達、高い給料貰ってんでしょ?奉仕と思って探しなさいよ。無理ですって〜?」
「ううっ・・シンジ君」
言葉が耳に突き刺さり、ポロポロと涙が零れ口を押さえた。
「ふざけんじゃないわよ!!私の可愛い妹が悲しんでいるの、言う事を聞かないと今から乗りこんであんた達を不幸にするわよ」
「ぐすっひっく・・・シンジ君」
興奮して受話器を握りつぶしそうな勢いである。
「えっ探してくれる?でも司令の許可が必要〜?そんなの後で取れば良いわよ。責任は全て私が取るわ、さっさと探してきなさい!」
ガチャンッ!
電話を切り受話器を置くと興奮しているせいか肩で息をしたが、すぐに落ち付きアスカの肩に手を置いた。
「ミサトさん・・・」
「アスカ大丈夫よ、シンちゃんはすぐに見つかるわ」
「本当ですか?」
「ほんとうよん、だから泣かないの」
ミサトはウインクし親指を立て微笑んだ。
「は、はいっ!」
ギュルルルルウルル〜〜〜!
ミサトのお腹が勢い良く鳴った、朝から何も食べていないので空腹である。
「元気になった所で何か作って〜〜〜?」
なにを食べても関係無いミサトにとって昨日の夕食の残りのロ〜ルキャベツでも良いが注文を付ける、アスカに元気を取り戻させる為の配慮であろう。
「はい、わかりました。食べたらちゃんとお仕事に行ってくださいね」
もう涙は見えない、普段の優しいアスカに戻った。
「あっちゃあ〜〜きっついわね〜〜、今から行っても遅刻だし今日は休むわ〜」
顔を上に向け手で塞ぎオ〜バ〜アクション。
「休むって・・・行かないとリツコさんに改造されますよ」
「良いの良いの〜〜休んだって改造されちゃうんだから〜〜。アスカこそ学校に行かなくても良いの?ズル休みするのは不良よん」
「ふ、不良だなんて・・・アタシはいつでもシンジ君が帰って来ても良いように待っているんです」
目を伏せると少し頬を赤らめて小声で呟いた。
「おうおうおう〜〜〜アッツイわね〜〜〜、ク〜ラ〜強にしないとね」
「ミ、ミサトさん!」
「ふふ、冗談よ冗談。私も休むから2人で不良になりましょう」
「もう、不良じゃありません」
頬を膨らませるとご飯を作るために台所に向かう、ミサトはアスカの後姿を母親の慈愛の瞳で見つめた。
「元気になって良かった、さあシンちゃん!いつでも帰っていらっしゃい!」
リビングの窓から一望できる第三新東京を眺め叫ぶミサトであった。
「責任は全て私が取るって、葛城三佐いつから偉くなったんですか?」
「私はいつでも偉いわよん、レイには黙っていたけど実は私はネルフの影の司令なのよ」
「・・・さよなら」
「ちょ〜〜と待てぃ、さらっと流すんじゃないわよ、虚しいじゃない」
「相手するのも虚しいから」
「くうううう〜〜〜相手してよ〜〜相手してくれないとお姉さん泣いちゃう」
「・・・ばあさん」
「なんですって〜!!」
「相手してあげたのにどうして怒るの?」
「私はばあさんじゃないわよ、お姉さんよお姉さん」
「・・・リツコお母さんと同じ事言っている」
「お、同じ〜〜?わ、私はリツコよりまだ若いわよ」
「でもほとんど同じでしょ」
「違うわよ、リツコとは天と地の差があるわ」
「・・・ふう〜〜」
「そこで溜息つくんじゃない!」
「お腹空いたから帰ります」
「待て〜〜〜」
ミサトさんの働きによってアスカちゃんにやっと笑顔が戻りました。
シンジ君は果たして見つかるでしょうか?
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.46 希望