EVA CHANGING
Vol.49
日記より
今日シンちゃんが帰ってきた。策士葛城ミサトのシナリオ通りね。
シンちゃんを見た時のアスカ、本当にビックリしていたわね。そして大泣き、うんうん感動の再会ね。
シナリオを作るのには苦労したわ〜〜、シンちゃんを引き止めるのに骨が折れちゃった。
「僕は家を出て行きます」
あの時は一気に酔いが冷めちゃった、まったく〜〜突拍子な事を言うんだから。
「・・・謝りましたが返事は貰えませんでした」
今のアスカなら許してあげると思ったんだけど、う〜〜〜ん乙女心はわかんないわ。
「もうアスカと一緒に住む事ができません、エヴァパイロットも辞めます」
もうビックリ、口から心臓が飛び出すんじゃないかと思ったわ。辞めるなんて言わないでよ、もう。
「ミサトさん・・・アスカと仲良く暮らしてください・・・・」
荷物をまとめる為に部屋に戻っている時、ある事に気がついたのよね〜。事の始まりは私が原因だってことを・・・でも、私は悪くないのわ、悪いのはリツコ、そうリツコが悪いのよ、あんな怪しげな薬を私に渡すからいけないのよ!
「ミサトさん、今までお世話になりました」
シンちゃん、荷物まとめるのが早いからまだ良い考えが思いついてなかったけど、説得する究極奥義を発動させたわ。ベランダに走って行き・・・
「シンちゃんが出て行くんなら、ここから飛び降りて死んでやるぅ〜!」
命を張った究極奥義!名付けて『私のお願いを聞かないと私の命が無いわよん』成功率は100%を誇るわよ。
「わっミサトさん、早まらないでください」
「シンちゃんが出て行くのは保護者の私の責任、死んでお詫びをするわ」
シンちゃん慌てて、ふふふ、ナイスな演技だったわ、主演女優賞ものね。
「止めないで!保護者失格な私、死んでもシンちゃんには関係ないわ」
止められなかったら本当に飛び降りなくちゃいけなかった危険な賭け、まさに勝負師ね。
「ミサトさん〜!」
「シンちゃんとアスカに会えて本当に良かったわ、さよなら」
ベランダからちょっと片足を出すの、ここがミソね。全部出したら恐いからちょっとだけよ。
「わかりました、出て行かないから足を引っ込めてください」
ニヤリ、私ってなんて演技派なのかしら、おもわず酔っちゃったわ。んで足を引っ込めてリビングへ戻ったの。んでまだ問題山積み、どうやって二人の仲を元に戻すかよね。
「・・・」
「・・・」
テ〜ブルを挟んで向かい合って無言で時が流れて行ったわ、シンちゃん気まずく俯いていたわ、早く良い考えを思いつかないと。
「ミサトさん・・・」
「な、何?」
「僕はこれからどうすれば良いんですか?」
どうしましょう、何か良い・・・・!そうだ、シンちゃんが出ていったのを利用すればいいんだ。ふふ良い考え思いついちゃった。
「ミサトさん・・・」
「シンちゃん、ひとまず松代に良いっていうまで行っといてちょうだい」
「松代?テストですか」
「いいえ、ただ行ってくるだけでいいの、そのうちにアスカの怒りを消しておくから」
もう完璧!作家にでもなろうかしら。
「諜報部にTelしたから外に出といてね」
「はあ・・・わかりました」
んでシンちゃんは松代へGO〜〜〜。さあ後はアスカを料理すればOKよん。ちょっとレイに協力してもらおうかしら、Telをいれておきましょう。
アスカが学校に行っている間に私の頭脳がフル回転、ふふ才能が恐いわ。んでアスカが帰ってきたら・・・
「ミ、ミサトさんっ、な、なんて格好しているんですか!」
作戦その壱、お風呂上りは素っ裸でGO〜!いつもはバスタオル一枚でウロチョロしていたら必ずアスカに注意されるのよね。
「シ、シンジ君が見たらどうするんですか!」
この時シンちゃんが部屋で音楽を聞いていたら乗り込んでシンちゃんを真っ赤にさせるの、その時の照れようったら可笑しいったらありゃしないわ。部屋で踊っていたらアスカが乗り込んでくるのよね。『やめてください!シンジ君はそんなのは見たくないんです』って、酷いわ〜〜私のバデ〜はまだまだイケルのに、んじゃアスカが見せれば〜〜ってちょっかいを出したら真っ赤になって部屋を飛び出すのよね、純情アスカちゃんは・・・おっと脱線脱線。
流石の私でも素っ裸でシンちゃんの前に出るのはちょっち恥ずかしいわ。
「シンちゃん〜?シンちゃんなら居ないわよ」
「ほっ、良かった」
安心してる〜〜、この時は出て行った事を知らなくて帰ってくると思っていたのよね、でも帰ってこないの、全てはシナリオ通り。そして夕食の時N2投下。
「大丈夫よ、シンちゃん帰ってこないから」
「えっ?何て?」
耳をかっぽじって良く聞きなさい、腰抜かしちゃうから。
「シンちゃん出て行ったから帰ってこないわよ」
「・・・・・・うそ・・・でしょ・・・・」
驚いたようね、驚かなかったらこっちが困るけど。
「うそじゃないわよ、シンちゃん出て行っちゃったわよ」
だって私がシンちゃんを出したんだもん。
「どうして止めなかったんですか!?」
ほらほら、心配している〜〜〜、なんだかんだ言ってもシンちゃんを気にしているのよね。
「ネルフも辞めちゃったのよ、だからシンちゃんはもう赤の他人になっちゃったの」
ちょっと強めに言ってアスカを不幸のどん底に落すの、ちょっち可哀想だけど再会した時の喜びが倍増するからね。
「アスカ、シンちゃんに会いたいんでしょ」
「・・・・・・・・」
夜が明けて次の日の朝、アスカ泣いて過ごしたんだ、ごめんね。でもこの言葉はウソじゃないからもうちょっと我慢してね。
「そ、そんなシンジ君に会いたいなんて思っていません」
我慢して・・・素直じゃないんだから。
「ううっ会いたく、会いたくなんかないもん・・・・」
「無理しなくてもいいのよ」
「ううっ・・・うえ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
ほら泣いちゃった、ちょっちは私のせいでもあるんだけどね・・・ごめんねアスカ。
「シンちゃんに会いたいでしょ」
「ううっひっくひっく・・・会いたい、会いたいシンジ君に会いたい・・・うううっ」
わかっているわ、必ず会えるから心配しないで。
「当ったりまえよ〜〜可愛い妹の為、地の果てまでシンちゃんを探すわよ」
探すって言っても居場所は知っているんだけどね。
「ふ、不良だなんて・・・アタシはいつでもシンジ君が帰って来ても良いように待っているんです」
シンちゃんの為だけに学校を休むのは立派な不良ね。ふふシンちゃんが大好きなのね。
「・・・なんだかミサトさんが本当のお姉さんのような気がします」
「ふふ、嬉しい事言ってくれるわね〜〜私もアスカが本当の妹だったら良いわ」
「・・・私一人っ子だったからずっと姉妹に憧れていたんです」
「私も憧れていたわ、友達は姉妹がいて羨ましかったわ。それでいつも両親を困らせていたの弟か妹が欲しいって」
本当の家族、本当の姉妹のように感じたわ・・・血が繋がってなくても私達は姉妹よね。
「おはようございます、実は・・・ごにょごにょごにょ」
気持ち良く眠っていたらレイが過激な起こし方をしたのよね〜〜あ〜〜死ぬかと思ったわ。内緒話は勿論シンちゃんの事、この時は松代からすでに第三新東京に戻ってきたのよね。後は帰るタイミングだけ。
「お家に送ってください」
「お家〜?あ、ああそうね。送ってあげるわよ、イタタタタ」
夕食を食べてからレイを家に送る時が勝負の時!さあいくわよ。私とレイが駐車場に車を取りに行った時すでにシンちゃんは居たのよね。後は少し時間をおいて帰るだけ。
「た、ただいま・・・」
緊張するわよね、私も緊張したわ〜〜もう心臓がギッチョンギッチョンよん。
「・・・う、うう、うう・・うわ〜〜〜〜〜ん、シンジ君〜〜!」
泣いちゃうわよね、私もちょっち泣いちゃった。ほんのわずかだけど会えなかったら悲しいもんね。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
良いム〜ドになって無言で見詰め合ったらやる事は一つ、当然キッスでしょ、でもシンちゃんのお腹が鳴って一気にム〜ドが壊れちゃった。
「ど〜してそこで!キスに行かないのよ〜〜!!」
車の中で一部始終を見ていた私はおもわず叫んだわ、まったく〜〜折角チャンスをあげたのに、このシナリオだけは失敗しちゃったわ。でもこれからはチャンスが沢山あるんだから焦らずに二人を見守りましょう。
「んあ〜〜〜〜、ようやく終わったわ〜〜〜これで私の肩の荷が下りたわ」
「・・・全ての始まりは葛城三佐が原因」
「んあ〜〜〜〜、言わないでよ、もう終わったんだから」
「そうね。でもこのシナリオには一つだけ欠点があったわ」
「欠点?欠点なんてないわよ、全て完璧よ」
「キスをシナリオに入れたのはやりすぎ、碇クンとキスするのは私なの・・・ぽっ」
「はいはい、わかりました〜〜」
「今度シナリオを作る時は私と碇クンでお願いします」
「良いけど原稿料は高いわよ〜」
「いくらですか?」
「そうね〜〜とりあえず、ビ〜ル一年分ね」
「ビ〜ル一年分・・・二年分あげたら?」
「行くところまで行ってちょうだい!」
「ぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽ」
今回で長かった「シンジ君に裸を見られたアスカちゃん、怒っちゃった。気落ちするシンジ君、出て行ったらアスカちゃん泣いちゃった」編は終わりました(Vol.33〜49)
ミサトさんの日記(回想)はVol.41からのシナリオを振りかえっています。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.49 日記より