EVA CHANGING
Vol.50
ミサトの贈りもの
「は〜〜〜〜い、二人にプレゼントよん」
夕食時、ほろ酔い加減ミサトはシンジとアスカの二人に一枚の封筒を渡した。
「なんですかこれ?」
「ふふ、開けてみればわかるわよん」
「シンジ君、開けてみて」
「うん」
シンジは封筒を開けた、中には何か紙が二枚入っている。
「あ〜〜これはっ!」
紙に書かれている文字をみて驚いた。
「ト〜キョ〜ランドのチケット!」
隣で見ていたアスカも声を紙を見て声を上げた。その紙は今第三新東京市で一番人気のある遊園地のチケットであった。
「良く手に入りましたね」
「一体どうしたんですか?」
二人が驚くのは当然である。ト〜キョ〜ランドは完全なチケット制なので混む事が無くアトラクションにすぐに乗れる。またデ〜トスポットとして人気があるのでチケット販売があると、すぐにソ〜ルドアウトしてしまい手に入れるのが難しい。
「ふふふ、ミサトさんに不可能はないわよん。ちょちょいのちょいで手に入れたわ」
胸を張ってビ〜ルを喉に流し込み満悦である。
「どうせリツコさんに頼んだんでしょ?」
「そうね、MAGIを使えば入手は簡単だから」
「そ、そうじゃないわよ。ちゃあんと私自身が手に入れたんだから」
二人が言っている事は正しい。だがミサトの言っている事も正しい、それはMAGIで予約し自分が取りに行ったからである。
「わかりました、そういう事にしておきますね」
「ぐっ・・・きついわねアスカ」
ニッコリ微笑み、お茶を注ぐアスカであった。
「でもどうして、これを僕達に?」
「それはね、二人が仲直りした記念よ、じゃんじゃん楽しんできなさい!」
そして次の日。
「アスカ、まだぁ〜〜?」
「ん〜〜もうちょっと〜」
朝、シンジは準備が整っているがアスカはまだ部屋で準備の真っ最中である。
「ふう〜もう少しかかりそうだな」
男の子より女の子の準備は長い、シンジはリビングに向かうとTVをつけ暇を潰し始める。
「今日の天気は晴れか、出かけるのにはバッチリだね」
ちょうど天気予報が流れており本日の降水確率は0%、空を見れば雲一つ無い。
「お待たせ」
「じゃあ出かけ・・・」
アスカの声に振り向いたシンジは一瞬言葉を失った。
「どう?これ似合うかしら?」
「う、うん似合うよ」
アスカの服装は動きやすい紺のGパンに白のシャツの地味な格好であったが、美少女とのミスマッチがシンジの頬を赤くした。
「ふふ、ありがと」
「じゃ、じゃあ行こうか」
微笑むアスカをまともに見れずに目をそらし急いで玄関に向かう。
「ミサトさん、行ってきますね。ご飯は冷蔵庫に入っていますから温めて食べてくださいね」
「うい〜〜〜〜、行ってらっしゃい〜〜〜」
ミサトは今日は休みである。まだ布団で半分眠りながら返事をした。
「ん、アスカそのバックは何?」
シンジはアスカがバックを背負っている事に気が付いた、中身が気になる。
「お弁当、いっぱい作ったから沢山食べてね」
「うん、沢山食べるよ。それより重くない?僕が持つよ」
いっぱい作ってきたとなればそれなりに重い、当然持ってあげるのが男である。
「ありがとう、シンジ君やさし〜〜」
「と、当然だよ」
アスカの笑顔がやけに気になり頬が赤くなるシンジ。バックを受け取る時、手が触れ更に耳まで赤くなった。
「ええと、ト〜キョ〜ランドまでは・・・」
駅に着いた二人、時刻表を見ると時間を確認してホ〜ムに移動する。すでに電車は発車準備待ち、急いで乗り込むと並んで座った。
「どんなアトラクションがあるのかしら?ワクワクするわね」
「うん、そうだね。前に雑誌で見たけど楽しいアトラクションがいっぱいあるみたいだよ。目玉は日本一のジェットコ〜スタ〜なんだって」
「ジェットコ〜スタ〜なの、楽しみ〜〜」
アスカは瞳を輝かせた。女の子は絶叫マシンがお気に入りである、だが男の子のシンジは。
(ジェットコ〜スタ〜・・・乗りたくないなあ)
EVAには乗れるがジェットコ〜スタ〜には乗れない。背中に妙に冷たい汗が流れる。
「ジェットコ〜スタ〜にいっぱい乗りましょうね」
「う、うん・・・」
乗る事を考えるとワクワクするアスカ、乗る事を考えると逃げ出したくなるシンジである。
(・・・なんとか乗らない方法が無いかな?)
一生懸命考える、だが考え付かないうちに電車は目的地の駅に到着した。
「さあ行きましょ」
「う、うん」
足取りが軽いアスカと足取りが重いシンジであった。
「ミサトさん、このチケットはプレミアものですよ」
「ほ〜ほっほっほっほ、この私に不可能は無いわ。何か欲しいチケットがあったら言ってね」
「本当ですか?お願いできます」
「じゃんじゃん良いわよ、アスカは何が欲しいの?」
「パン屋さんの整理券が欲しいんですけど」
「パ、パン屋の整理券?」
「はい、そのパン屋さんで一日限定100個の美味しいパンに配られるんですけどなかなか手に入らないんです」
「せ、整理券ねえ〜〜」
「無理なんですか?」
「む、無理じゃないわよ。ミサトさんにまっかせなさい!」
「お願いしますね、美味しいですからミサトさんもきっと気に入りますよ」
「え、ええ頑張るわ」
ミサトさんにしてはナイスな贈りものですね。
シンジ君とアスカちゃん、二人で遊園地へ・・・これはデートなのでは。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.50 ミサトの贈りもの