EVA CHANGING
Vol.51
絶叫、そして・・・
「凄〜〜〜〜〜〜〜い!」
ト〜キョ〜ランドに到着した二人、入場口を見たアスカの最初に出た言葉である。赤レンガで西洋風のゲ〜トがいくつも並んでいる。
「本当、凄いね」
ジェットコ〜スタ〜に乗らないようにずっと考えていたシンジも素直に感心した。二人はチケットを係員に渡すと中に入る。
「きれ〜〜〜〜」
中に入ったアスカの最初の言葉、目の前一面に色とりどりのチュ〜リップが咲き乱れており入場者を歓迎する。
「本当だね、どこから周ろうか?」
素直な感想だが花にはあまり興味が無い。パンフレットを広げるとテ〜マ毎にアトラクションがわけられている。
「ここ〜〜〜」
「えっええっ!?」
指をさした場所にシンジは驚きの声を上げた、指の先はジェットコ〜スタ〜を示している。
「目玉に乗っておかないとね、行きましょう」
「ちょ、ちょっと待って」
「何?」
「いきなりジェットコ〜スタ〜なの?別なのにしようよ」
初っ端からだとまだ心の準備がなされていない、できる事なら乗りたくない。
「いきなりだから面白いのよ、さあ行きましょ〜♪」
「うっちょっとお腹が痛い・・・これじゃあ乗られないや、アスカ一人で乗っておいでよ」
すかさず考え付いた腹痛で乗れないことをアピ〜ルするが。
「大丈夫大丈夫お腹が痛いくらい乗れば一発で直っちゃうから」
「いやあああああああああ!!!」
シンジの手を握るとジェットコ〜スタ〜乗り場へ行くアスカ。絶叫するシンジであったがアスカは乗ることに夢中でその声は聞こえなかった。
「うわ〜〜凄〜〜い」
「・・・・・・」
ジェットコ〜スタ〜乗り場に着いた二人、アスカはそびえ立つコ〜スを間近で見て驚きの声を上げた。一方シンジは俯いて消沈している。更に先ほどからアスカはまだシンジの手を握っているが気がついていない。
「ええと〜、これは日本一のコ〜スタ〜で最大傾斜角が85°、ほとんど直角じゃない。最高時速が150km/h、凄〜〜い♪シンジ君早速乗りましょう」
「あっ、ちょっと盲腸が痛くなってきた」
腹痛では効き目が無かったので今度はちょっとランクを上げて盲腸を出した、うずくまり苦しそうに顔をしかめる。
「やっだ〜〜シンジ君ったら冗談言って〜、盲腸は左じゃなくて右よ」
「えっ?ええっ」
押えていたのは左であった。
「最悪だ俺って・・・」
シンジは死を覚悟した、搭乗口までに登る階段があの世への階段に見えた。
ガチガチガチガチ・・・
シ〜トに座った二人、シンジは緊張と恐怖で震え歯が音をたてて死へのカウントダウンを待っている。
「もうすぐ発車、ドキドキするわね」
「う、うううううううううううんんんんんんん、ど、どどどどどどどどどどきききききききききききすすすすすすするるるるるるるよよよよよよよよよよ」
上手く発音できない。すでに額からは大量の汗が流れ落ちている。
ピ〜〜〜〜!
発車を告げる音が鳴った。ジェットコ〜スタ〜は静かに出発する。
ゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴ
ゆっくりと天を目指すように登って行く。
ドキドキドキドキドキ!!!
シンジの心臓は激しく音を立てて、登る毎に鼓動が速くなっていく。そして登り終えると最大傾斜角85°の落下へ突入する。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
自由落下で地面に叩きつけられる感覚が二人を襲う、流石に日本一を唄うだけの事はある。二人叫び声を上げた、前者は恐怖の叫び、後者は歓喜叫びである。
「た、助けて〜〜〜〜〜」
高速で曲がるたびに首にGが掛かる、シンジは髪を振り乱し半分涙目になって叫び続けた。
「楽しい〜〜〜〜♪」
アスカは日本一のジェットコ〜スタ〜を心底楽しんでいた。
「あ〜〜楽しかった♪」
約三分の極楽は終わった、ゆっくりと搭乗口にジェットコ〜スタ〜は滑りこむ。
「あ、あは、あはははは・・・・」
シンジは口を半開き目は焦点が合っていない、恐怖のあまりちょっとどこかへイっている。
「面白かったね」
「あははは・・・」
「もう一回乗りましょう」
「うへへへへ・・・」
乗るお客が少なかったので降りずにそのまま座っていた。シンジはもう二度と乗りたくないのだろうがイっているのでアスカが何を言っているのかわからなかった。
そして再び・・・・
「満足、満足ぅ〜〜」
「・・・・・」
結局あれから五回連続で乗った二人、満足したアスカの足取りは軽い。シンジはすでに世界が終わり無言であった。
「お腹空いちゃったね、お昼にしましょう」
「・・・・・」
「あっあそこの芝生が良いわ、行きましょう」
「・・・・・」
言われるがままについて行くシンジ、長時間乗っていたせいで足元がふらついて真直ぐ歩く事ができない。
「もう〜だらしないんだから」
見かねたアスカは手を握ると芝生へ直行、リュックからシ〜トを取り出し敷くとお弁当を広げた。
「さあ、沢山食べてね」
「・・・・・」
だが食べない、お弁当を見つめているのだがその目には写っていない。
「シンジ君?どうしたの」
「・・・・・」
ドタン!
「きゃ〜〜〜〜シンジ君?どうしたのしっかりして〜〜〜」
「・・・・・」
シンジは仰向けに倒れた。アスカは突然の出来事に慌ててシンジを揺さぶるが返事が無い。
「シンジく〜〜〜ん!」
「・・・・知ってる天井だ」
シンジは目を覚ました、布団に寝ている自分、見上げている天井は知っている。
「シンジく〜〜〜〜ん、良かった〜気がついて」
「アスカッどうしたの?」
アスカが泣きながら抱き付いてきた、わけがわからないシンジはアスカの行動に驚いた。
「ごめんなさい〜〜アタシがアタシが〜〜〜」
「どうしたの?一体」
「シンちゃんね〜〜気絶しっちゃったのよ」
アスカの泣き声に気がついてミサトが部屋にやって来た。
「気絶?」
「そうよ、アスカから聞いたんだけどジェットコ〜スタ〜に何回も乗ったんでしょ、それが原因で気絶したのよ」
「アタシが調子にのって何回も乗ったから・・・うぐっひっく・・・ごめんなさい」
流れる涙が止まらない。
「そうか、気絶しちゃったんだ。アスカ僕はもう平気だから泣かなくて良いよ」
「・・・本当?大丈夫なの?」
「うん、ほら」
ガッツポ〜ズをして健康をアピ〜ルする。
「まあ休んだから大丈夫よ」
「はい、もう直りましたよ。アスカお腹空いちゃったよ、お弁当はまだあるの?」
「シンジ君・・・・うんっ!いっぱいあるから沢山食べてね」
満面の笑みを浮かべるとお弁当を取りに台所に走った。
「アスカのお弁当かあ〜美味しそうね私も貰っちゃお〜〜」
リビングに向かうシンジとミサト、青空の下での食事ではなかったがアスカの愛情が沢山詰まったお弁当であった。
「どうして男の子ってジェットコ〜スタ〜が苦手なのかしら?」
「知らないわ、私は三人目だから」
「レイさんはジェットコ〜スタ〜好き?」
「しくしく、しくしく、つっこんでくれないのね」
「泣かないで、お弁当あげるから」
「くれるの?嬉しい、ありがとう、感謝の言葉」
「沢山食べてね」
「沢山・・・毎日作ってくれるの?」
「えっ良いけど」
「アスカ、優しいのね、大好き」
「ふふ、ありがとうアタシもレイさんが大好きよ」
「だ、だめ。いけないわ、私達は女性。愛し合う事は背徳・・・・でもアスカが良いなら・・・ぽっ」
「レイさん・・・・意味が違うんだけど」
折角のデートでしたが中断してしまいましたね。でも手を繋いでいたから良いかな(二人とも意識はしていなかったから良くないかも^^;)
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
Vol.50 ミサトの贈りもの Vol.52 COUNT DOWN 1
EVA CHANGING Vol.51 絶叫、そして・・・