「?ここはどこかしら」
アスカは自分の体が揺れていることに気がついた。
「電車?」
知らないうちに電車に乗っていた、窓の外は夕焼けで空が赤い。
「?誰」
先ほどまで居なかったのに向かいの座席に誰かが座っていた。
「制服?」
逆光で顔は見えないが服装が見えた、どうやらアスカ達が通う中学の制服のようである。
「うそっ?」
目を凝らして向かいの人物の顔を見ると驚き言葉を失った。
「なにそんなに人の顔を見てんのよ、そんなにアタシの顔が珍しいの?」
「アタシ?がいる」
「そうよ、アタシはアスカ、惣流・アスカ・ラングレ〜よ」
アスカの正面に座っていたのはアスカであった。
EVA CHANGING
Vol.56
ASUKAU
「どうして?アタシはここにいるのに」
目の前にいるアスカは立ちあがると腕を組み、座っているアスカを見下ろした。
「アタシはアンタよ」
「どういう事?」
「アタシはもう一人のアタシ、同一人物よ」
「同一人物?」
意味がわからない。
「ここはアタシ自身の精神世界、心の深層意識ってとこね」
「どうしてこんなところに・・・そうだ、ご飯作っていたら頭が痛くなって・・・」
思い出した、朝頭痛がしてそのまま意識が無くなったのだ。
「そうよ、アタシが頭痛を引き起こしたからね」
「ウソ?」
「ウソじゃないわよ、アタシの体をコントロ〜ルする事なんて朝飯まえよ」
「そんな事してどうするの?シンジ君達が心配したじゃないの」
アスカは怒った頭痛で意識が薄れ行く中、シンジとミサトの心配する声を思い出す。
「アンタが邪魔だからよ」
「アタシが邪魔?」
「そうよ、今のアタシ、アンタね。なに考えてんのよ、アタシは誇り高きエヴァのエ〜スパイロットなのよ」
アスカがアスカの眉間に指を突き付けて怒鳴りあげる。
「それを何よ、家政婦みたいに行かず後家ミサトやスケベバカシンジの世話をしてバッカみたい」
「そんなひどい事言わなくても良いじゃない、アタシは好きでやっているのよ」
「ハンッ!何が好きでやっているよ、虫唾が走るわ」
ピンッ!
「いたっ!」
突き付けていた指をそのまま曲げデコピンを食らわした。
「痛くないわよ、それくらいで涙溜めちゃってさ弱虫ね。アタシは泣かないって決めていたのに簡単に泣くなんてサイテ〜」
「どうして?どうして泣いちゃいけないの?痛いとき悲しいときに涙が出るのは当然よ」
「何甘ったれてんのよ、一人で生きていくのに強くなくちゃいけないのよ」
「一人でなんか生きていけないわ」
「生きていけるわよ、今までそうしてきたんですから」
「無理よ」
パシッ!
頬にビンタを食らわした。
「いたいっ!何するのよ」
「アンタがむかつくからよ、一人で生きていくのが無理ですって?それはアンタの性格だからでしょ、アタシの性格なら生きていけるわよ」
ガシッ!
突然アスカの首に手を回すと力を込めしめつける。
「うっ、何をするの」
「アンタがいなくなれば良いのよ、アンタが死んだらアタシが身体を使ってあげるわ」
「うぐっ・・・や、やめて〜〜」
不気味に笑うもう一人のアスカ、アスカは意識が朦朧としてきた。
「ふふ、サヨナラもう一人のアタシ」
「ア、アスカが二人〜?アスカって双子だったの?」
「ミサトさん違いますよ、これはアスカの精神意識の中みたいですよ」
「精神世界?お姉さんわかんな〜〜い」
「イヤンイヤンしても可愛くないですよ」
「シンちゃ〜〜〜ん、言ってくれるわね〜〜グリグリしちゃうわよ」
「いた、いたたたたたた。す、すいません」
「わかればよろしい、でもなんで今回はレイじゃなくてシンちゃんが出てきたの?」
「だって背景が黒だから綾波が登場してもわかりませんよ」
「あ〜〜そうだったわね、レイの台詞は黒だからわかんなくなるわ」
「私ならここにいるわ」
「ん?シンちゃん何か言った」
「いいえ」
「そう?空耳かしら」
「私はここにいるの」
「やっぱり聞こえる」
「疲れているんじゃないですか?連日徹夜だったでしょう」
「そうね、じゃあ帰りましょうか」
「はい」
「しくしく、しくしく、気づいてくれないのね」
アスカちゃんが二人登場です。以前の性格のアスカちゃん、性格悪い〜(^^;)
物凄い展開になってきました、話引っ張りすぎ(^^;)
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.56 ASUKAU