EVA CHANGING
Vol.7
愛妻弁当
つまらない学校でもトウジは1つだけ楽しみにしている事がある。それは昼休み、お弁当の時間、以前はパン食だったがヒカリの残飯処理(豪華)を手伝う事が彼を学校に駆り立てていると言っても過言ではない。
「はい鈴原」
「いつもスマンの〜」
ケンスケは2人の微笑ましい光景を見ながら、悲しんでいた。
(俺にも誰か作ってくれ〜!)
一方、渡すのが逆の立場のシンジは焦っていた。
(しまった!作るのわすれちゃった、どうしよう)
今朝アスカの朝食に感動をして、すっかり作るのを忘れてしまったのだ。
(怒られるだろうな。パンにしてもらおう)
以前忘れたとき、叩かれなじられパンを買いに行かされ1つしか無かったので当然アスカのぶんになり、シンジは空腹の午後を過ごしたことを思い出していた。
(早く行かないと無くなるから、誤ろう)
覚悟してアスカの席に向かう。
「あっあのアスカ・・・」
「はい、シンジ君」
「え?」
アスカは笑顔で弁当を両手でシンジの前に出していた。
「お弁当」
「・・僕に?」
「うん」
一瞬シンジの時が止まった。ビンタが来ると思ったのに来たのは弁当、アスカの性格が変わった事を思い出し、涙が出てきた。
(そう・・・僕はいらない子じゃないんだ、いていいんだ)
訳わからないことを呟いていた。アスカはポケットからハンカチを取り出し、そっとシンジの涙をふいてあげた。
「いきなりどうしたの?泣くなんて」
「なんでもないよ。ちょっとうろこが落ちたんだ。ありがとうアスカ」
「?」
今だ涙を流しているシンジに首を傾げていた。
「シンジ!何やっているんだ?早くこいよ」
「今行くよ、アスカ行こう」
今日は天気が良かったので屋上で食べる事になった。
「「「「「「いただきま〜す」」」」」」
シンジはドキドキしながら弁当箱を開けた。以前作ってもらったとき味はそこそこ良かったが、盛り付けが酷かった。アスカ曰く『天才の盛り付け方はバカにはわからないわよ』であった。
カパ!
「おお・・・おおっ!」
おもわず声を上げる。開けたと同時に中からまばゆい光りが飛び出して、中身が姿を表す。
「びっくりさすなや」
「どうしたの碇君?」
だかシンジには聞こえていなかった。
(こっこれは弁当箱に対して適応したご飯の比率、冷えたときを計算した火の入れ方、色とりどりの野菜、最後を締めくくるデザ〜ト・・・ここまでできるなんてアスカ、侮り難し。味はどうだ?一口・・・・)
鉄人シンジをうならせる弁当のできばえ、卵焼きを口に運ぶ。
パク!モグモグ!
(こっこれは・・・なんて優雅でまろやかな感触、味、焦げ目、見た目、どれを取っても一級品)
鉄人シンジ、眼を閉じながら飲み込み余韻に浸っていた。
「どうかしら?」
アスカは不安そうに出来を聞いてみた。
「美味しいよアスカ!僕より上手だよ」
「嬉しい!」
「へえ〜アスカが作ったの?」
「びっくりしたよ。僕より上手なんだよ」
シンジは本当に誉めており、ヒカリは『やるわねアスカ!』と思いながら自分もトウジの為に腕を磨くことを決めていた。
「愛妻弁当かセンセも隅におけんの〜」
「なっなに言っているんだよ、トウジもだろ」
「わっわいは残飯処理や」
2人は赤くなりながら言い争っていたが、五十歩百歩であった。アスカやヒカリも赤くなっていた。
(あっ愛妻って・・・キャッ恥ずかしい)
(ざっ残飯なんかじゃないわよ)
ケンスケだけは冷めた眼で4人を見ていた。レイは我関せずとパンを食べつづけていた。
(ケッ俺なんか俺なんか・・・・・そうだ)
ケンスケをひらめきレイに小声で話しかけてきた。
「綾波、いないもの同士弁当作ってきてくれないかな?」
「イヤ、碇クンがいい」
間をおかず素早い返事にケンスケは肩を落としうなだれた。
(は〜あ・・・・俺だけは真冬か)
「美味しかったよアスカ」
「ありがとうシンジ君、明日も作っていい?」
アスカは指をモジモジさせながら上目づかいで許可を得る。その姿がシンジをドキドキさせる。
「うっうんお願いしようかな」
「うん!」
2人は照れながら笑っていた。他の4人がもはや入り込めないほどにフィ〜ルドが展開されていた。
「かあ〜!暑くてかなわんの〜」
トウジはジャ〜ジをばたばたさせて風をあおいでいた。
(アスカ、頑張って)
ヒカリは恋を応援する天使になっていた。
(ちくしょう!)
ケンスケは血の涙を流していた。
(・・・・・・・)
レイは何か考えていた。
シンジは今日のおかずの感想を言い、アスカは照れながら調理の工夫を教えていた。このままLASが成立するかと思いきや、突如フィ〜ルドは破られた。
トコトコトコ
「・・・碇クンお弁当作ってあげる」
「「「「「ええ?」」」」」
レイ以外驚きの声を上げた。
「綾波が?」
「ええ、明日」
「明日はアスカが・・・」
シンジはアスカをちらりと見てみる。悲しそうな顔をしていた。
「問題ないわ」
「レイさん、明日は私が作るの」
「そう、私が作ってくるわ」
レイはお構いなしに言ってくる。アスカは瞳に涙が浮かんでいた。
「綾波、明日はアスカが作るから明後日じゃダメかな」
「私、ずっとシンジ君のお弁当作りたい・・・」
「「「ええ!?」」」
告白?にもとれる発言にヒカリやトウジ、ケンスケは驚いていたがシンジは違った。
(アスカ・・・・よっぽど料理が好きなんだね)
「碇クン、さよなら」
レイは1人屋上を後にしようとしていた。
「帰るの、明日の準備があるから」
無論、弁当の用意である。レイが屋上を出ようとするとアスカが両手を広げたちふさいだ。
「レイさん!まってください、シンジ君のお弁当は私が作ります」
「私が作るわ」
2人は火花が散っていた、シンジはオロオロするばかりだった。そこにヒカリやヤレヤレとため息をついて助け舟を出した。
「アスカに綾波さん、そんなことしていても解決にならないからよい考えがあるわ」
「「?」」
2人はヒカリを見て不思議に思った。
「明日ね、2人ともお弁当を作ってきて、碇君が両方食べて審査するのよ。それで今後どちらが作り続けるか、決めるの」
アスカとレイは納得して、顔を見合わせた。
「わかったわ」
「レイさん、負けないわ」
2人はそのまま屋上を出ていき、午後の授業を受けずに帰っていった。トウジとケンスケは屋上から2人が学校を出るのを見ながら、シンジに忠告していた。
「シンジ、どうするんだ?惣流と綾波どっちを選ぶんだ」
「そっそんな事いわれても・・・」
「2人とも命をかけているみたいなもんやから、センセがどっちを選ぶかでどっちかは悲しむやろうな」
「うっ・・・・」
2人の脅しにシンジは汗をかいていた。
「そんな事言わないの!碇君、辛いと思うけど頑張ってね」
「うっうん・・・・・」
「シンジも難儀やな」
「ああ、若くして苦労するなんて不幸だな」
一方、学校をサボったアスカは本屋で料理本を片っ端からよみあさっていた。
(負けられません、負けられません、負けられません!)
レイはネルフに向かっていた。
(お弁当・・・・赤木博士に相談してみよう)
その瞬間からシンジの苦悩が始まった。
(ぼっ僕はどうしたら、いいんだ〜!!)
「こんにちは、アスカです。前回の後書き、少しお見苦しいところがありました。お詫びを申します ペコリ」
「みんなのアイドル、ミサトちゃんの登場」
(・・・アイドルって)
「ア〜ス〜カ〜不服そうね?」
「いっいいえそんな事ありません」
「うそ・・・」
「レッレイさん!」
「葛城三佐、うそは暴動を招くわ」
「なによ暴動ってレイ!」
「アイドルじゃないもの、ばあさんは用済み」
「ち・・・・ちくしょ〜〜〜〜〜〜う!」
「あっミサトさん、走っていっちゃった」
「クスクス・・・」
「それでは次回も見てくださいね」
「さよなら」
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING Vol.7 愛妻弁当