EVA CHANGING
にじゅうにわ
ちがいがわかるおんなのこ
静かな廊下、三人は二学期初日から遅刻をしてしまった。
「まったく、レイのおかげで遅刻したわ」
ブツブツ言いながら廊下を歩くアスカ、遅刻の原因は自分にもあった。
「え〜!アスカが首を締めるから遅刻したんだよ」
「何ですって!?」
「二人ともやめなよ」
相変わらずの二人をシンジは仲介する。
ガラ!
「おや!ずいぶん遅れましたね」
老教師は穏やかな口調で言った。別に三人はチルドレンなので遅刻の事など気にしない。
「ちょっとネルフによってきました」
アスカは申し訳なさそうに、教室に入っていく。別に理由はなくてもよいのだが、ただの遅刻ではアスカのプライドが許さない。
(こんな遅刻は汚点だわ)
「アスカ違うでしょ。先生、魔女アスカの為に遅刻しました。ごめんなさい」
ペコ!
「な、なに言っているのよ」
「ほほう魔女とはアスカ君の事ですか?」
「はい!」
何事にも動じない老教師に元気よく答える。クラス中はドッと笑いに包まれ、アスカは恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になった。
(くう〜〜レイの奴、絶対世界平和の為にコロス)
握りコブシを作り力をこめる。
「アスカ、早く席に着こうよ」
「うるさい!」
ボカ!
「イタッ」
機嫌が悪い時に声をかけるシンジ、理不尽な暴行。
「センセも運が無いな〜」
「そうだね」
ウンウンとうなずく二人、シンジはぶたれた頭をさすりながら席に座った。老教師は三人が座るのを確認するとゆっくりと教壇に立ち、ゆっくりと話を始めた。
「え〜無事に始業式も終わりました。今日はこれでおしまいです」
初日という事で、授業は無い。
ヒカリが号令をかけ今日はおしまい。生徒達は帰るもの、部活に行くものと賑やかになる。そんな中シンジの元へレイがやって来た。
「シンちゃん!かえろ〜」
「うん、いいよ」
シンジは快く返事をする。だがそれを許さないものがいる。
「ちょっと待った〜!レイ、シンジは私と帰るのよ」
アスカは素早く二人のもとにやって来た。
「ふ〜ん、それじゃあ三人でかえろ!」
「残念ね〜今日はシンジと二人で買い物に行くから一緒に帰れないわ」
二人を強調、だがシンジは首を傾げる。
「買い物?約束していた・・・」
ドグッ!
「うっ」
アスカのパンチがボディ〜にヒット。
「何言ってるの?昨日行こうって約束したじゃない。じゃあレイまたね」
白目をむいたシンジを引っ張り教室を出ていこうとするが、レイはジト目で見ていた。
「アスカ、ウソでしょ!買い物なら私も行く〜」
「なに!」
「行こ!」
レイはシンジを掴んで玄関に向かう。アスカは歯をギリギリいわせながら地団駄を踏んだ。
「キ〜!いつも邪魔ばかりして!」
そうして結局三人で買い物に行く事になった。デパ〜トについた三人、行くフロアは決まっている。
「「洋服売り場へGO〜」」
レイとアスカは綺麗にユニゾンするとシンジの手を引っ張って洋服売り場に向かう。
(僕、ゲ〜ムソフトが見たいのに・・・・・)
どこに行くか希望を述べたが0.1秒で却下。
自分の希望が通らずにボケ〜とたたずむシンジをよそ目に、二人は和気あいあいと気に入った洋服を体にあててファッションショ〜をしていた。
「これどう?」
「似合うわよ。こっちもいいわね」
「わあ〜可愛い!」
ファッションショ〜は延々と続く、男のシンジとしては服を何時間も選んで買う事はなく、アスカの時でさえ待たされてウンザリするのに、今日はレイもいる。待ち時間は倍増である。
(あ〜あ、新しいソフト見たいな)
「シンちゃん、これど〜お?」
レイは白のシャツを体にあてシンジに見せる。
「あ、う、うん似合うと思うよ」
だが待つだけで疲れて生返事になる。レイは気に入らなくて頬をプウ〜とふくらました。
「思うじゃない!似合うの?」
ズズズッとよられておもわず、あとずさるシンジ。
「似合う!似合うよ!綾波に似合うよ」
「うん!ありがとう、これ買っちゃお〜」
ピョンピョンと飛び跳ねて嬉しがるレイ、シンジはため息をついて汗を拭くためにハンカチをポケットから取り出す。
「シンジ、どうかしら?」
今度はアスカ、赤のブラウスを体にあててシンジに見せる。
「あ、うん」
「うんじゃない!どうなのよ!」
ズズズッとよられておもわず、あとずさるシンジ。
「に、似合います。アスカに似合うよ」
「当然よ、似合いすぎるから買おうかしら」
言葉とは裏腹に顔は笑っていた。シンジは汗を拭き再びポケットに戻そうとしたが。
「シンちゃん、これはどう?」
「シンジ、どうかしら?」
次から次に聞いてくる。返事はキチンと返さないと怒られるので汗を拭きながら、丁寧に答えていった。そのおかげで二人は沢山洋服を買い、当然持つのはシンジであった。
レイ曰く
「シンちゃん、やっさし〜」
アスカ曰く
「アンタは下僕でしょ」
二人に対しシンジは
(僕っていったい・・・)
泣いていた。
三人は買い物疲れでお腹が空き(シンジが一番空いていた)昼食を取るためにデパ〜ト内の喫茶店に入った。
「いいものが買えたわね」
「そうだね。満足満足」
二人は注文して待っている間も元気であった。
(・・・・・疲れた〜〜〜)
シンジは疲れ切っていた。
そして注文品が来るとシンジは体力を取り戻すため(この後の荷物持ちの体力回復)に食べた、たくさん食べた。二人は少量の食事でも元気である。
食べ終えると食後のコ〜ヒ〜を頼んだ。
「シンジ、砂糖取って」
「うん」
シンジはアスカにテ〜ブルに置いてある砂糖入れを取り渡す。
「砂糖にミルクっと」
角砂糖を二個入れ、スプ〜ンでかきまぜミルクを入れる。
「レイ、砂糖」
だがレイは受け取らず、指を左右に振る。
「チ、チ、チ、アスカ子供ね。コ〜ヒ〜はそのままで飲むものなのよ」
「誰が子供ですって!」
「わっ、アスカ落ちついて」
レイの子供扱いにアスカ激怒、シンジが慌ててなだめる。
「砂糖やミルクを入れたら味が楽しめないでしょ。こうやって香りをかいで」
コ〜ヒ〜を鼻の前で回し香りを楽しむレイ。
「いい香り〜。やっぱり、ちがいがわかるおんなのこレイちゃんね」
「何が違いがわかるよ」
アスカは愚痴を言い不愉快、レイは上品にカップに口をつけるとコ〜ヒ〜を喉に流し込む。
ゴクゴク
「・・・・・・あう〜〜まずい〜〜〜><」
レイは顔をしかめ、口からコ〜ヒ〜がこぼれ出す。二人はポカンとなった。
「ぷ、ぷぷぷぷぷ!さっすが違いがわかるわね」
アスカはお腹を抱え爆笑。
「綾波、はい水」
シンジは水とハンカチを渡した。
「う、うう、ありがとうシンちゃん。ごくごく、ふきふき」
「レイ、アンタって本当に笑わかしてくれるわ」
「砂糖入れたほうがいいよ」
「でも赤木博士のコ〜ヒ〜はそのまま飲めたけどオカシイな〜?」
レイは砂糖を入れながら考えた。シンジ達も考えていた。
(そういえばそうね。リツコはいつもブラックを飲んでいるし、どうしてかしら?)
(確か前に・・・・
回想中
シンジはリツコの部屋に呼ばれていた。
「リツコさん話って何ですか?」
「ええちょっとね。コ〜ヒ〜は飲むかしら?」
「はい、いただきます」
リツコはカップを取り出すとレイ専用と書かれたコ〜ヒ〜メ〜カ〜を
手に取った。
「それ綾波専用なんですか」
「ええそうよ。あの子ように甘くしてあるの」
・・・そうか、だから綾波はあれが普通と思っていたんだ)
「綾波それはね、リツコさんが初めから砂糖を入れていたんだよ」
ガガ〜〜ン!
「そ、そうだったの・・・私ちがいがわかるおんなのこじゃないのね・・・しくしく」
「アホらし、出るわよシンジ」
「う、うん。行こう綾波」
「私って・・・・私って・・・・」
シンジは両手にいっぱいの荷物を持ち、レイはアスカに手をひかれ楽しい買い物を終えた。
「私って・・・・私って・・・・」
レイは立ち直るのに時間が・・・・
「あれって砂糖が入っていたのね!おいし〜〜\^O^/」
・・・かからなかった。
「あ〜ビックリした。コ〜ヒ〜ってあんなに苦かったんだ」
「当ったり前でしょ。相変わらず天然ねえ」
「これからは砂糖入りのちがいがわかるおんなのこを目指そ!」
「・・・・はあ〜お気楽ね。頭の中はどうなっているのかしら?」
「こうだよ」
「ごっつん。イタタ・・頭ぶつけて見れるわけ無いじゃない」
「へへ、そうか〜」
「まったく、まあいいわ気に入った服が沢山買えたから」
「うんうん、これでシンちゃんを振り向かせて・・・キャ〜アスカなに想像してるのエッチィ〜」
「・・・・アンタって悩みは無いわね」
「うん!」
「・・・私、頭痛くなってきたわ帰る」
「もう帰っちゃうの?それじゃあバイバイ〜」
「それじゃあ、この辺で次回の予告をしま〜す!」
予告
いつも誰にでも優しいレイ
そんな姿にシンジは心引かれる
だがある事件がレイを襲う
その時シンジは立ちあがり
次回
にじゅうさんわ シンジこくはく
この次もサ〜ビスサ〜ビス!
「うわ〜あ、ついにシンちゃんが私に〜〜ぽっ!」
タイトル、意味が無いですね(^^;)ただこの為に学校帰りに買い物して、シンジ君はへとへとです。
ちなみに予告はレイが考えたもので次回内容と異なることがあります。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING にじゅうにわ ちがいがわかるおんなのこ