EVA CHANGING
にじゅうきゅうわ
わたしがスキ〜につれてってあげる
土曜日の夜、レイは机に向かって雑誌を見ながらレポ〜ト用紙に一生懸命何かを書いている。
「う〜ん、前回はアスカに邪魔されたから今度はちゃんと計画を練らないとね」
前回とはシンジとのデ〜トを計画したのだが、アスカによってその野望?は見事に打ち砕かれたのであった。
カキカキ
また何かを書いている。
「ここに決〜めた!」
どうやら行く場所を決めたようだ。その場所をチェックする。
「今は12月、スキ〜ね!」
現在、日本は四季が無く夏だけなのだが、ここ第三新東京でもスキ〜ができるところがある。最近オ〜プンした人工雪スキ〜場、若者に人気のあるスポットである。
「あとはアスカに気づかれずにシンちゃんを誘うかよね」
腕を組み、う〜んと唸りシンジの為だけに使われている頭脳が、フル回転し始める。
「携帯にかけて誘い出す・・・・ダメね、アスカ妙に勘がいい時があるから」
「迎えに行く・・・・絶対ダメ!」
「シンクロテストとウソをつく・・・ダメ、嘘はつきたくない」
「アスカを亡き者にする・・・いいかも」
ニヤリと口元が歪んだ。
「一番確実だけどやめとこ」
どうやってシンジを誘うかに頭を悩ませ、夜はふけていった。
その頃・・・・・ある一室では。
「はん!抜け駆けなんかさせないわよ」
アスカの部屋、なにやら小型の黒い箱にアンテナがついており、そこからイヤホンがついていて何かを聞いていた。
「このアスカ様を出しぬこうなんて1000年はやいわ」
ベットの上で立ちあがり拳を作り、気合を入れていた。
そして夜はふける・・・・・
次の日、快晴。デ〜ト日和である。シンジにとっては洗濯日和。
「ようし今日は洗濯をするぞ!」
シンジは腕をまくるしぐさをすると、さっそく洗濯機に向かう。それを雑誌で顔を隠しながら横目でチラチラと伺うアスカ。
(まだ何も無いようね・・・・)
「♪♪〜〜〜」
鼻歌を唄いながら手際良く、洗濯物を洗濯機にいれていく。すると・・・・・
ピピピピピ〜〜♪
シンジの携帯がなった。
(来た!)
アスカは素早く反応した。シンジは手を止めると、急いで自分の部屋に戻る。
「もしもし碇ですけど・・・」
ゴロゴロゴロ・・・サッ!
アスカはわざとらしく転がりながら、部屋の入り口で雑誌を読みふけるが内容は頭に入っていない。耳が集中している。
「あっ!トウジ、何か用かい?」
(えっ?ジャ〜ジバカ)
アスカは拍子抜けした。てっきりレイからの電話だと思ったが、トウジからであった。
「今から?う〜ん、洗濯をしているんだ、少し遅れるけどいい?」
(洗濯で遅れるなんて中学生とは思えない発言ね)
「うんじゃあ、30分後」
ピ!
シンジは話しが終わると急いで洗濯機に戻り、作業を開始した。
そして10分後、全部はできなかったが、洗っているものだけは干し、着替える為に部屋に戻る。
「シンジ〜どこに行くの?」
トウジからの電話だから遊びに行くとわかっているが、一応聞いてみる。
「トウジ達と遊びに行くんだ」
「ふ〜ん、そう」
何気なく返事をするが、心の中はそうは思っていない。
(ふん、バカ達と遊ぶくらいなら、あたしを誘いなさいよ。バカシンジ!)
「お昼は適当に食べてね。いってきま〜〜す」
「あっ」
シンジは急ぎ足で玄関に向かった。アスカは何かを言おうとしたが、すでに姿が見えなくなった。
「お昼くらい用意していけ〜〜!バカシンジ」
バンッ!
雑誌を無造作に放り投げて怒りをあらわにし、大の字に寝転がった。
(・・・・・・結局レイから何もなかったわね)
シンジが出て行った後アスカは何もすることがなくTVを見ていた。そこに・・・・
ピ〜ンポ〜ン!
チャイムが鳴った。家にはアスカ一人、面倒くさいと思いつつ重い腰をあげ玄関にユックリ急ぐ。
「は〜〜い、今出ますよ。どちらさ・・・・げっニバカ」
「こら何がニバカや」
そこに立っていたのはトウジとケンスケ。
「シンジはいるかい?」
「は?アンタ達と一緒じゃないの」
ケンスケの言葉に一瞬疑問に思った。
「なんでや、今日はシンジとは会っていないで」
「だって電話してきたじゃない」
トウジは『この女何を言うとるんや?』という顔をして首を傾げた。
「ワイはしてへんで、今日はここで遊ぶ為にきたんや」
「・・・・・・・・・!」
アスカは頭が混乱したが、すぐに思い当たる事があった。
「シンジはいないわよ。さっさと帰りなさい!」
玄関を閉めると急いで自室に戻る。残された二人・・・・
「何やアイツは」
「訳が判らないね。シンジはいないようだし、ゲ〜センにでもいこうか」
「そやな」
自室に戻り急いでパソコンを立ち上げた。そしてモニターに街の地図が映り、一つの点が点滅しながら動いている。
「こんな事もあろうかと思って、発信機をつけていたのよね」
どうやら移動している点はシンジのようである。
「シンジに掛かってきた電話にニバカが知らないとすると・・・・・考えられる事はレイね」
結論がでた。光速で着替えると、携帯モニタ〜を手に飛び出した。
その頃シンジは・・・・公園にいた。トウジ達と待ち合わせである。ベンチに座っていると、後からソロリソロリと忍び足近づいてくる影。
ガバッ!
「う、うわ!」
「シンちゃん〜!」
後から羽交い締めにされ、何がなんだかわからないシンジだが声を聞いた2秒後にレイである事がわかった。
「あ、綾波〜離してよ」
「ダ〜メ」
頬が少し赤い、それは頭の後ろに柔らかい感触があるからである。
「ここで何しているの?」
知っているのだがワザトらしく聞いてみる。
「トウジ達を待っているんだよ」
「ふ〜ん、あっ!さっき鈴原クン達に会ったんだけど、急用ができて来れないから伝えといてって言われたよ」
真赤な嘘である。
「えっ?そうなんだ」
「うん、二人とも何だが忙しかったみたい」
シンジは遊べなくなって少しガッカリ、レイはそんな姿に心痛めるが計画を実行する。
「シンちゃん暇?」
「え、そうだね。別に何も予定はないけど」
「じゃあ、私と遊ぼう」
「綾波と?」
急な事なので驚いた。
「私とじゃイヤ?・・・・」
眼をウルウルさせて、今にも泣き出しそう。無論演技である。
「イ、イヤじゃないよ」
「じゃあ、いこ!」
強引にシンジの手を引っ張ると、公園を後にした。
「ど、どこに行くの?」
「スキ〜場」
「スキ〜場?」
「そっ!人工スキ〜場」
「僕滑った事無いよ」
「大丈夫、私が教えてあげるから」
「でも・・・・・」
「スケ〜トより簡単だから、すぐに滑れるよ」
「そ、そう」
こうしてレイの計画は全て完璧に成功し、ガッツポ〜ズ。二人はスキ〜場をめざした。
(白銀の世界でシンちゃんと・・・・キャ〜〜)
頭の中はすでにできあがっていた。
だが、それを邪魔するかのごとく移動している者がいた・・・・・・
「この方向は・・・・・・」
・・・・アスカである。
「レイ、滑るの上手だね。僕にも教えてよ。いいよ・・・・そして二人は体を密着させ・・・・」
「何一人芝居してんのよ」
「げ!アスカ」
「何がげ!よ。どうして教えるのに体を密着させるのよ」
「密着させたほうが上達が早いの、そうシンちゃんと・・・・・きゃ〜〜!」
「・・・・・・・アンタねえ〜頭大丈夫?」
「大丈夫だよ。レイちゃんはいつも元気!」
「はあ〜お気楽ね」
「そっ、いつもお気楽、そうそうアスカ、どうして私の部屋に盗聴機がしかけてあるの?」
「えっ?あ、その・・・どうしてかしら私のもわからないわ」
「・・・・・・じゃあ、どうしてシンちゃんに発信機がつけてあるの?」
「そ、それもわからないわ」
「怪しいわね」
「な、何よその眼は・・・・・・・あっ用事思い出したわ。じゃあね〜〜〜〜」
「あ、逃げた」
という訳で(何がだ?)スキーです。せっかく念入りに計画を立てましたが、アスカの方が上手でしたね。
次回はシンジをめぐる二人の熱き戦い!雪を溶かす事でしょう。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING にじゅうきゅうわ わたしがスキ〜につれてってあげる