EVA CHANGING
さんじゅうにわ
きょうは…
「あ〜〜〜〜〜〜!!」
朝、寝グセがまだ残っているレイ、新聞を見てある事を思い出し大声をあげた。
「今日…今日だったのね」
今日は三月三十日。
「私の誕生日だ〜〜〜〜」
また大声をあげる、だが誰も住人は居ないので迷惑は掛からない。
「と言う事は…」
「綾波誕生日おめでとう」
ここは超高級レストラン、シンジはワインを少し上げるとニッコリと微笑む。
「ありがとうシンちゃん」
レイは少し頬を赤らませてワインに口をつける。
「ドレス綺麗だよ」
「ふふありがとう、シンちゃんが選んでくれたんだもん」
レイは両肩を出した白いドレスに身を飾っていた。
胸元には某ブランドのハートネックレス。
「でも大丈夫?」
「何が?」
レイは当たりをきょろきょろ見回すとシンジに小声で呟いた。
「ここって高いんじゃないの?」
「大丈夫だよ。今日は綾波の誕生日なんだ、ここでも安いくらいだよ」
「私の為に…」
ジンと胸に来るレイ、少しすると料理が運ばれてきた。
「さあ食べようか」
「うん」
「うへ、うへへへへへ〜〜高級フランス料理〜じゅるじゅる」
イッた目をしてだらしなく口は半開きで涎が流れ放題。
「もち!ワインはビンテ〜ジものよね。でも私お酒は弱いし…」
「シンちゃん、私ちょっと酔っちゃったみたい」
レイの白い透き通る頬が桜色に染まっている。酒には弱いようだ。
「ふふ、そうだね。五本も空ければ酔うよ」
「えっその…あの…」
レイのテ〜ブルの周りにはワインの空瓶が転がっていた。
「美味しくってついつい飲んじゃった」
舌をペロっとだしおどけて見せる。
「そういう綾波って好きだな」
「えっ?」
「んもう!シンちゃんて食事中に何て言うのよ!」
バシバシとクッションを叩きイヤンイヤンと首を左右に振るが、まんざらでもないようだ。
「やっぱりお酒が入ると大胆になるのね」
叩き続けられたクッションは中身が飛び出して、もう機能しないだろう。
「綾波、これを」
シンジのポケットから取り出された一本のキ〜
「何?」
高級なキ〜を見て想像は付いているのだが聞いてみる。
「ここのスイ〜トル〜ムを取ってあるんだ」
酒が入っているせいか顔が赤い。
「綾波と一緒に居たい」
「うん」
「そしてそしてそして、私とシンちゃんは」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ〜〜〜
部屋中を転がりまくり止まる事はない。
「イヤ〜〜〜ン>_<」
絶叫、転がるのが止まった。そしてスッと立ちあがるとコブシをギュっと握る。
「今日はこのシチュエ〜ションね!」
今までシミュレ〜ションをしていたようである。パジャマを脱ぐと学校に行くために制服に着替える。
「今日かしら私が碇レイになるのは ぽっ」
考える度に支度するスピ〜ドが上がる。
「よし!シンちゃん、今行くわよ」
鞄に勉強道具を入れこみ、一応の事を考えハンコも入れておく。
ピ♪ピ♪ピ♪ピ♪ピ♪ピ♪
レイの携帯が鳴った。
「シンちゃん!……違う博士からばあさんは用済み」
携帯の液晶には電話先がリツコと表示されている。
「もしもし」
「レイ〜!今ばあさんって言っていたでしょう」
「はうっ!い、言っていません」
驚いた受話器をONにしていなかったのに聞こえていたのだろうか?それとも第六感?
「本当?」
「ほ、本当です。それより何か用ですか?」
「その事だけどね………」
リツコから長い説明、聞いているうちにスルリと携帯が手から落ちた。
「そ、そんなあ〜〜!!」
へなへなと力なく床に崩れ落ち、涙が瀧に様に流れつづける。
「う、うえええええん、ひどいよう〜〜〜」
リツコからの電話、それは零号機の実験の話しであった。今からネルフに来いと。
「うぐうぐ、ひっく…シンちゃん〜〜」
行かないと後で恐いので涙を拭いてネルフに向かった。
「えぐえぐ、うぐうぐ…」
ネルフについたレイは涙を溜めて鼻をすすりながら廊下を歩き、リツコの研究室に向かった。
コンコン
リツコの研究室の前、プレ〜トには『リっちゃんのお部屋』と書かれている。礼儀としてノックをする。
「博士、レイです」
「来たわね、良いわよ入って」
レイはドアを開けた。
「あれ?」
中は真っ暗である。入れと言われたからゆっくりと室内に入った。
パンパンパンパン!!!
「きゃっ!?」
暗闇から突然の破裂音、レイは驚き耳を塞いでしゃがんだ。そして室内の明かりがつく目を瞑っていてもわかる明るさ。恐る恐る目を開けてみると…
「あっ!」
リツコ、ミサト、シンジ、アスカがクラッカ〜を持って立っていた。
「「「「誕生日おめでとう!!!!」」」」
突然でレイは呆然と立ち尽くしたままだ。
「博士…」
「騙して悪かったわね。驚かせようと思ったのよ、ごめんなさいね」
「綾波、誕生日おめでとう」
「今日がレイの誕生日だったなんて知らなかったわよ」
「わざわざ来てやったのよ、ありがたく思いなさい」
リツコの提案で誕生日会をすることになったのである。
「さあレイ、いつまでも立ってないで、こっちにいらっしゃい」
「……」
リツコは手招きするがレイは俯いたまま黙っていた。
「レイ、どうしたの?」
リツコは立ちあがるとレイに近づいた。
「う、うわ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
「レイ!」
突如大声で泣き出すとリツコに抱きついた。
「レイ、どうしたのよ?」
「うぐぅ、ひっく、嬉しいんです。祝ってもらえるなんて、ひっく」
「今まで祝えなかったからね。さあ涙を拭きなさい」
リツコはポケットからハンカチを取り出すとレイの涙を拭いてやった。
「うぐぅ、ありがとう博士、電話が来た時またMADな趣味に付き合わされて、また失敗なのねばあさんは用済みって思ったけどこんな素敵な事をしてくれるなんて、ありがとうお母さん!」
「レ、レイ〜〜〜」
リツコはこめかみに青筋を立てて、コブシをプルプル震わせていたがこの状況では怒りを爆発させる事ができないので我慢していた。
「さ、さあ座りなさい」
「はい!」
ニッコリ笑うと席についた。ロウソクに火がつけられ息を吸い込むと勢い良くはきだし吹き消す。
「レイ、これは私からよ」
「わあ〜ありがとうございます」
「ほい、これは私からよん」
「ありがとうございます」
「綾波、おめでとう」
「シンちゃんありがとう」
「レイ、ありがたく受け取りなさい」
「……」
アスカから渡された綺麗にラッピングされリボンがついた箱、レイは礼を言わず無言である。
「どうしたのよレイ?お礼は無いの、わざわざ私があげたのよ」
「アスカのが一番小さい」
「ぐっ!」
アスカのプレゼントが確かに一番小さかった。
「自分の誕生日の時には色々と注文つけてたくせに」
「ち、小さくても中身は凄いわよ。何てったってこの私が選んだんだからね」
「本当〜〜?」
「ほ、本当よ」
ジト目でアスカを見るとなぜか汗を浮かべ目をそらす。
「二人ともそれくらいにして食べるわよ」
リツコは寸分違わずにケ〜キを5等分に切り分け皿に持った。
「うわ〜〜美味しそう」
「ふふ、私とシンジ君で作ったのよ」
「えっ!シンちゃんと」
「うん、昨日から作ったんだ」
「シンちゃんのケ〜キいただきま〜す」
レイはケ〜キをフォ〜クでさすと大口を開けてガブっと食べた。
「もぐもぐもぐ、おいし〜〜」
「よかった、甘さ控えめなんだ」
レイの見事な食べっぷりにシンジは嬉しくなった。
「これならいくらでも入るよ」
食べる勢いは止まらない、頬っぺたにはクリ〜ムがつくぐらい美味しい。
「レイ、クリ〜ムがついているわよ」
「は〜〜い」
リツコはハンカチでレイの頬を拭いてやる、もはや母と化している。
(もぐもぐ、朝の考えとは違っていたけど楽しい誕生日になった〜〜もぐもぐ)
「う〜〜〜ん、ちょっと違う誕生日になったけど祝ってもらっちゃった」
「さあてプレゼントは……」
「博士は…わおっ!可愛いお洋服だ〜〜〜」
「葛城三佐は…うわおっ!シンちゃんの生写真!おふうっ入浴シ〜ンも!」
「シンちゃんは婚姻届かな?…残念、でもペンダント嬉しい〜〜〜〜」
「アスカは…キ〜ホルダ……しばこうかしら」
「今年は考えたとおりにならなかったけれど来年はシンちゃんと・・・・ぐふぐふふ」
レイの誕生日って本当はいつなんでしょうか?EVAのキャラクターは声優の誕生日と同じという事なので、林原嬢と同じにしています。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
さんじゅういちわ はくぎんのたたかい さんじゅうさんわ おたんじょうび
EVA CHANGING さんじゅうにわ きょうは…