EVA CHANGING
さんじゅうろくわ
げたばこ
完全に遅刻のチルドレン、慌てず急がずユックリ登校中。
「レイ、鼻血は止まった?」
「う、うん止まったみたい」
レイは鼻に詰めたティッシュを取った、もう血はついていない。
「良い?もうリツコの発明を使うんじゃないわよ」
「でも・・・お母さん一生懸命発明してるから・・・・」
「リツコさんが一生懸命なのは分かるけど、その前に綾波の体がボロボロになっちゃうよ」
リツコの発明が成功するのは0.00000001%の確率だろう、ゼロに等しい。
「シンちゃん・・・私の事を心配してくれるの?」
「うん、怪我をしたら取り返しがつかないからね」
瞳をウルウルと潤ませシンジの顔をジッと見つめ・・・
ガバッ!
「シンちゃん、嬉しい〜〜〜」
「あ、綾波〜〜」
抱きついた、当然真っ赤になって慌てるシンジ。そして隣では・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
アスカが背中に真っ赤な炎を燃やしSALに変化していた。
「こんのっ!色魔が〜〜〜!」
ゴンッ!
脳天に怒りの拳を撃ちつける。
「ふぎゃっ!またでちゃった〜〜」
その衝撃で止まっていた鼻血がまた流れ出した。
「一生流してろ〜〜、シンジッ!行くわよ」
「待ってよ、綾波ほら」
シンジはポケットからティッシュを出し流れ出た鼻血を拭いてやった。
「ううっシンちゃん、優し・・・はっ!」
レイはシンジの優しさに感激し、抱きつこうとしたが殺意を持った視線に気づき抱きつくのをやめた。
「よしっ!そこでアンタが考えていた事をしていたら別のとこからも血を流していたわよ」
「な、何も考えてないもん、決してシンちゃんに抱きつこうなんて・・・・」
「考えているじゃないの!」
「二人ともそれくらいにして行こう」
慌てず急がずユックリ登校といってもあまりにもユックリすぎる。
「そうね、レイッ!行くわよ」
「うんっ!」
アスカは鼻血を止める為に上を向いていたレイの手を取ると学校に向かった、そんな二人を見てシンジは思った。
(なんだかんだ言ってもアスカ優しいな、う〜〜〜〜ん姉妹だ)
「流石に誰もいないわね」
到着した三人、授業中であるから当然下駄箱には誰も居ない、辺り一面静かである。
ドサドサドサドサッ〜〜!
「うわっ!また〜〜〜」
アスカは自分の下駄箱を開けると中から雪崩のように落ちる手紙の多さにうんざりした。当然手紙はラブレタ〜である。
「毎日凄いね」
「こんなの貰っても嬉しくないわよ」
アスカは床に散らばったラブレタ〜を踏みつけるとチラリとシンジの方を見て呟いた。
(バカがくれないからよ)
「ん?何」
「何でもないわよ」
「アスカ、モッテモテね〜〜」
床に落ちたラブレタ〜を拾って中身を読んだ。
「ええと何々?『愛しの愛しのアスカ様、是非僕を下僕にしてください。美しい女王アスカ様に一生御使えしたいです』・・・凄い内容だね」
レイは引いた、『好きです』や『付き合ってください』という内容だったなら茶化す事ができるのだが流石にこの内容には何も言えない。
「毎日これだからウンザリするわ」
「わかる気がする」
ドサドサッ!
「わっ!」
レイも下駄箱を開けるとアスカには負けるもののラブレタ〜が床に落ちた。
「ふ〜〜〜ん、まあまあね」
ラブレタ〜を貰うのはイヤなアスカだが、貰う量で負けるのもイヤである。勝ったので心の中でガッツポ〜ズ。
「もうっ、いらないのに。アスカあげる」
「いらないわよ」
「貰ってよ、色々と使い道があるんだからティッシュにするとかメモ帳にするとか、限りある資源リサイクルしないとね」
「アンタがしなさいっ!」
「ははっ、二人とも仲が良いね」
微笑ましい?光景を見ながらシンジは下駄箱を開けた。
ドサドサドサドサドサドサドサッ!
「うわああああああっ!」
開けた瞬間、どうやって下駄箱に詰めたのかわからないが、下駄箱に入る量以上の手紙が流れ出た。
「な・・・・・負けた」
手紙の多さに唖然とし呟き肩を落した。
「うわっ〜〜シンちゃん、モッテモテ〜〜」
茶化すレイ、シンジがラブレタ〜を貰ったら嫌がるのだがニコニコしている。
「どうしよう〜貰っても困るな〜〜〜」
手紙の多さに頭をかきながら困り果てる、シンジの性格上そのまま捨てる事はできない。これだけの量だけ返事をするのにどれだけ時間が掛かるだろうか。
「どれどれ〜〜〜」
レイは一枚を拾い上げ中身を読んだ。
「どれどれ『大好き大好き大好きシンちゃんだ〜〜〜い好き』だって、可愛い字きっと素敵な可愛いコだね」
レイは何故か嬉しがっている、本来ならば嫉妬するはずなのだが。
「こんな可愛いコ放っておいたら罰が当たるよ、『放課後に体育館の裏側に来てください』ってこれは行かないとね」
「そ、そんな〜困るよ」
「困らない、困らない。行かないとこのコきっと泣いちゃうよ」
「泣かせとけば良いのよ、レ〜〜イこれはアンタが書いたんでしょ?」
「えっ?な、何の事かな」
白々しくとぼけるとアスカから目をそらした。
「この字はアンタでしょうが、どうせ全部アンタのでしょう」
他の手紙を拾い上げると中身を確認してレイに突き付けた。
「ほらっ筆跡が同じだし、同じ文章じゃない」
「えっ?どうしてばれたの」
「アンタねえ・・・・」
見破られた事に驚いた、その姿を見たアスカは当然呆れる。
「まあいいや!シンちゃん、放課後体育館裏に来てね♪」
「誰が行くかぁ!」
シンジが返事する前にアスカが答える。
「アスカじゃないよ〜〜シンちゃんに来てもらうの」
「手紙の正体がばれたのにどうして行くのよ?一生待ってなさい」
「・・・二人ともそのくらいにして早く教室に行こう」
静かな下駄箱、二人の大きな声だけが響きわたった。
「夕焼けの放課後の体育館、私とシンちゃんが向かい合って・・・・私が告白して、シンちゃんが・・・きゃ〜〜!」
「妄想はやめなさい、妄想は」
「妄想じゃないもん、現実に起こることだもん」
「起こるわけないじゃない、放課後シンジは来ないわよ」
「えっどうして?」
「ご飯の用意で忙しいのよ、寄り道なんかしている時間はないわよ」
「そ、そんな〜〜〜・・・・よし!こうなったら教室で告白して・・・きゃ〜〜〜!」
「はあ〜〜〜アンタは御気楽ね」
「いやんいやん、シンちゃ〜〜〜ん!」
「見ているこっちが恥ずかしいわ、帰ろ」
ラブレター勝負!量的にはシンジ君が勝利、でも全部レイちゃんからでした。いつのまに下駄箱に入れていたんでしょうね?それもたくさん。
アスカちゃんが居なければ成功していたかも(笑)
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
EVA CHANGING さんじゅうろくわ げたばこ