エヴァンゲリオン学園外伝

アスカ誕生

 コンコン

「は〜〜い」

 ドアをノックして数秒後に部屋の中から返事がしたわ。

「アスカちゃん、こんにちは」

「あっレイお姉ちゃん」

  アスカちゃんは床に寝転がってお菓子を食べながら雑誌を見ていて、私の姿を見た瞬間に慌てて飛び起きて正座したわ。

「ビックリしちゃった」

「寝転がってても良いのよ、写メを撮ってシンジに見せようとは思っていないわ」

「ああっ撮ったらダメー」

 寒がりなアスカちゃんはジャージにちゃんちゃんこを着ていたわ。慌ててベッドに潜り込んで体を隠しちゃった。

「撮ってないわ」

「手に持っているのは携帯〜〜」

「…あら、気が付かなかった」

 私の右手には携帯電話が握られていて、バッチリとアスカちゃんの姿が写っている。

「ちゃんと削除してね」

「ええ、わかったわ」

 削除はしないで携帯をポケットに閉まったわ。可愛いアスカちゃんのちゃんちゃんこ姿、削除したら勿体無いわ。

「今日は何か用があるの?」

 アスカちゃんはちゃんちゃんこ姿を見られたくないようで、毛布を体に巻きつけて床に座ったわ。

「ええ、アスカちゃん誕生日おめでとう。これはプレゼントよ」

「レイお姉ちゃんありがとう〜〜」

 よかった、喜んでくれている。

「ふふ」

「レイお姉ちゃんどうしたの?」

「アスカちゃんも大きくなったわね。産まれた時を思い出したわ」

「アタシが産まれた時?」

「ええ、産まれた日も今日みたいに寒かったわ」











「キョウコ〜キョウコ〜」

 キョウコおばさんに赤ちゃんが産まれそう。惣流のおじさんが廊下でオロオロしている。

「もうすぐ父親になるんだから、ドッシリと腰を下ろして待っていなさい」

 付き添いで来た私とお父さん。お父さんもシンジが産まれる時は慌てていたのに。

 キョウコおばさんの赤ちゃんは検査で女の子だったわ。キョウコおばさんは私に妹ができるって言ってくれた、嬉しい。

 惣流のおじさんとお父さんはシンジと許婚にするって言っていたけど、許婚って何かな?

「まだか、まだか、まだか〜〜?」

「はっはっはっは、落ち着きなさい。レイ、コーヒーでも買ってきなさい」

「うん」

 お父さんからお金を貰って自動販売機へ走ったわ。





「ええと、コーヒーは…」

 お金を入れてコーヒー…いっぱい種類があってわからない。

「…これにしよう。お父さんもこれ、私はこれ」

 お父さんにもコーヒー、私はイチゴジュース。

 ジュースを抱えると走って戻ったわ。赤ちゃんが産まれていたら大変。

「キョウコ〜キョウコ〜」

 おじさんはまだ慌てている、産まれてないのね。

「おじさん、コーヒー。落ち着いて」

「おお、レイちゃんありがとう。産まれたらシンジ君と一緒に遊んでね」

「うん」

 おじさんに頭を撫でられた、シンジも赤ちゃんも私が守るわ。

「お父さん、コーヒー」

「ありがとう、お釣りは小遣いだ」

「うん」

 お釣りをポケットに仕舞い込んだわ、貯金してシンジにオモチャを買ってあげよう。

「あっはい!」

 おじさんが看護婦さんに呼ばれて部屋に入っていった、もうすぐ産まれるのかな。

「レイ、もうすぐ産まれるぞ」

「うん」

 お父さんもソワソワし出したわ、私もソワソワ。







「おお!レイ産まれたぞ」

 お父さんに抱っこされてガラスの向こう側を見てみると、産まれたばかりの赤ちゃんがいたわ。シンジが産まれた時と同じように小さな箱に入れられている。

「女の子なの?」

「ああ、女の子だ」

 女の子…名前もアスカちゃんに決めているみたい。

「アスカちゃん…お父さん、携帯かしてお母さんに電話する」

「おお、そうだったな」

 お母さんとシンジは家でお留守番、産まれた事を教えないと。


「もしもしお母さん、赤ちゃんが産まれた〜」


 電話の向こうでお母さんが喜んでいる、シンジの声も聞こえる。


「母さん喜んでいただろう」

「うん、シンジも喜んでいたの」

 アスカちゃん…シンジと一緒に守ってあげるわ。











「…と言うわけなの」

「レイお姉ちゃん…」

「どうしたの?産まれた時を思い出した?」

「レイお姉ちゃん、目を瞑ったままで全然話していないんだけど?」

「あら、そうだったわ。自分だけが思い出して話していなかったわ」

「レイお姉ちゃんらしい」

「ふふ、ええとシンジからプレゼント貰った?」

「ううん、まだ」

「そう…なの…」

 シンジったらまだプレゼントをあげてないなんて…

「レイお姉ちゃん、なんだか怖い…」

「ア、アスカ〜」

「あっシンちゃん」

 急にドアが開いたと思ったらシンジが入ってきたわ。

「げっレイ姉ちゃん」

「シンジ、遅かったわね」

「ご、ごめん。電車が込んでて」

「社会人みたいな言い訳はしない、そこに座りなさい」

「は、はいっ!」

 シンジは正座して震えているわ、お説教したいけど。

「シンジ、今日は何の日かわかっているの?」

「アスカの誕生日です」

「プレゼントは?」

「持ってきました」

「よろしい、アスカちゃんに贈りなさい」

「う、うん。アスカ、これプレゼント、誕生日おめでとう」

「ありがとうシンちゃん、レイお姉ちゃんもありがとう」

「問題ないわ。でもシンジは…」

「ぼ、僕は?」

「プレゼント遅れたから正座ね」

「え〜〜そんな〜〜」

 ふふふ、許婚なんだからちゃあんとアスカちゃんの誕生日を覚えていなくちゃダメよ。


 アスカちゃんの誕生日、レイちゃんは産まれた時の事を思い出し自分だけ懐かしみます(^^;)

 遅れてプレゼントを持ってきたシンジ君にはお説教、二人とっては良いお姉さんです。

 こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


エヴァンゲリオン学園外伝 アスカ誕生