エヴァンゲリオン学園外伝
First Love
空港、2人の男性が再会を喜び硬い握手を交わし合っていた。
「碇、久しぶりだな」
「ああ、5年ぶりだな」
2人の名は碇と惣流、ともにネルフの重役世界でもトップクラスである。その横では2人の女性も再会を喜び、笑顔が絶えなかった。
「キョウコ、変わりないわね」
「あなたこそ、元気そうね」
キョウコとユイともにネルフでも、いちにを争う科学者である。
「その子がアスカちゃんね」
「そうよ、アスカ挨拶しなさい」
「・・・・・」
キョウコのスカートを掴みながら後ろで照れくさそうに、うつむいていた。アスカである。
「こっこんにちは、惣流・アスカ・ラングレーです」
スカートを離さないで、ペコリとおじぎをしてまた隠れる。
「あら名前を言えるなんて偉いわね。こんにちはアスカちゃん」
ユイは満面の笑みをアスカに向ける。キョウコはメールで聞かされていた、1人の姿が無いのを疑問に思った。
「ユイ、シンジ君はどこかしら?」
「ごめんなさいね、あの子風邪をひいて家で寝ているのよ」
「そうなのアスカとシンジ君、同い年だから仲良くなれるかもよ」
キョウコはアスカの頭を撫でながら、写真でしか見ていないシンジを思い浮かべた。
「仲良くなってくれなければ困る」
「ああ、我々のシナリオに支障がきたす」
「「何を言っているんですか!!」」
ユイとキョウコ奇麗にユニゾン、大の男がうろたえる。
「キョッキョウコ、なっなんでもない」
「ユッユイ、問題無い」
2人に言い寄られ、威厳もあったものではなかった。アスカはその光景を不思議そうに見ていた。
「シンジ・・・クン?」
碇、惣流夫妻はマンションに戻ってきた。
「今日から隣同士だな」
「ああ」
そんな会話が交わされ自宅へと入っていく。
「シンジ君は大丈夫かしら」
「もう熱は下がってきているから、明日来るといいわよ。アスカちゃんもいらっしゃい」
「はい」
アスカはユイに手を振って、新しい自宅へと入った。
「シンジクンか・・・」
「シンジ、大丈夫?」
「母さん・・・ゴホッ」
ユイはシンジの額に手を乗せ熱を確認する。咳はしているものの、だいぶ収まったようである。
「熱は下がったみたいね」
「もう大丈夫だよ」
「ふふ、男の子ね」
頭をなでながら、微笑みかけシンジを元気付ける。
「シンジは知っているわよね、隣に惣流さんが引っ越してきたの」
「うん」
「アスカちゃんも写真で見ているから知っているでしょう」
「うん」
「明日、家に来るから仲良くしてね」
「うん」
シンジに布団をかけなおすとユイは部屋を後にし、リビングに向かう。ゲンドウが座ってテレビを見ていた。
「シンジ、アスカちゃんを気に入りますかね」
「ああ」
「アスカちゃん初めての異国で1人は寂しいでしょうから仲良くなってほしいですね」
ユイはアスカを自分の娘の様に心配していたが、ゲンドウはテレビを見ながら相槌をうっていた。
「ああ、そうしないとシナリオ修正が困難になる」
「あなた!何を言っているんですか?」
言い寄られ、ゲンドウは額に汗をかきながらたじろいていた。
「私はシンジとアスカちゃんが仲良くなってほしいって言っているんですよ。それをシナリオに支障だとか困難だとか、なんですか?」
「ももももっも問題ない・・・・」
ユイは腰に手をあて仁王立ちになり部屋の隅に追い詰められたゲンドウを見下ろしていた。
「話してもらいますよ」
「ユッユイ・・・・」
その日碇家では夜遅くまで、小動物の脅えた叫びが続いた。
「碇の奴、元気だな、キョウコ」
「ええ、あなた」
ピンポーン
碇家に呼び鈴の音が響く。
「いらっしゃい、さあどうぞ」
「ユイさん、悪いね」
「ユイ、おじゃまするわ」
朝の10時に惣流一家がやって来た。
「おはようございます!」
「あらアスカちゃんおはよう、元気いいわね」
おめかししたアスカは昨日より可愛く見え、ユイは昨日ゲンドウに白状させ、聞き出したことを思い出した。
(私達の娘になってほしいわね)
リビングではゲンドウとシンジが座って待っていた。シンジは惣流一家に実際会うのは初めてで緊張していた。
(アスカちゃんってどんな子かな?仲良くできるかな?)
「シンジ、何そわそわしている」
「え!・・何でも無いよ」
「アスカ君とは仲良くしてやれ、そうでなければ帰れ!」
「はあ?」
ゲンドウの意味不明な言葉にシンジは首を傾げた。そうこうするうちに呼び鈴がなり入ってきた。
「碇、昨日は吼えていたな」
「なっ何の事だ」
「とぼけるなよ」
「ふっ問題無い・・・」
ゲンドウは冷静を装うが顔や腕に貼られたバンソウコウが痛々しい。
「おお!君がシンジ君か」
「はっはじめまして、碇シンジです」
シンジは立ちあがり、深深と礼をする。指先までキチンと伸び、緊張のあまり声はうわずっていた。
「おお!立派だぞシンジ君、なあキョウコ」
「ええ、初めまして、シンジ君」
「はっはじめまして」
キョウコがリビングに来るとシンジはまた深深と頭を下げ直立不動の姿勢になった。
「ほら、アスカもシンジ君に挨拶しなさい」
キョウコのスカートを掴んだまま、恥ずかしくて後ろに隠れていた。
「あ・・・あの・・・」
アスカはチラチラ見ては隠れ、真っ赤になっていた。するとシンジはスタスタとアスカの隣にやってきて、笑顔で手をさしのべた。
「僕は碇シンジです」
「あ・・・・そっ惣流・アスカ・ラングレーです・・・」
アスカは笑顔のシンジを顔を真っ赤にしながら手を出した。その様子を親達は微笑ましく見ていた。
「よろしくね、アスカちゃん」
「・・・うん」
惣流一家が引っ越してきた頃の話しを外伝にて描きました。
ちなみに外伝なので続きません、短編ですからちょくちょく描こうかなと思っています。
2人の出会いを描いてみましたが、最後だけですね^^;
ゲンドウのシナリオはもう発生しています(笑)でもユイには形無しです。
「エヴァンゲリオン学園」の小休止として読んでください。
こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園外伝 First Love