エヴァンゲリオン学園外伝
冬の休日2
・・・暑い、暑い、熱いわ。額から薄っすらと汗がにじんできちゃった。どうして暑いかと言うと。
「シンちゃん、暑いよ〜」
「厚着し過ぎだよ」
今、シンちゃんとアタシは電車でスケート場に向かっているの、外は寒いけど電車の中は暖房が効いていて、効いていて・・・効きすぎ〜〜〜!
「ちょっと温度が高すぎ」
「そんな事無いよ、普通だよ」
そうかな?なんだか蜃気楼が見えているような気がするのに。
「一体何枚着ているの?」
・・・何枚かしら?・・・多すぎかな?でもスケートは寒いから厚着を万全にしないと風邪を引いちゃうからね。
「トレーナー一枚で大丈夫だよ、滑っているうちに汗かくから」
「ア、アタシ上手に滑れないから・・・転んじゃうと冷たいし・・・」
シンちゃんはスイスイ滑れるからトレーナー一枚でも大丈夫だけれども、アタシはすぐ転んじゃうからお尻が濡れちゃって風邪を引いちゃうから・・・
「普通転びつづけたら知らないうちに滑れるようになるんだけどなあ」
むっ、シンちゃんニヤニヤして、バカにしたなあ〜もう!ちゃんと滑って見返してやるんだから!・・・それにしても熱い〜〜〜
「マフラーぐらい取れば良いだろ、僕がかりとくよ」
あっマフラー取られちゃった、ちょっとは涼しくなったかな。
「くしゅんっ!寒い〜〜〜」
電車から降りた途端、冷たい風が汗をかいた体に当たって寒い〜〜
「ううっシンちゃん、マフラー返して」
「汗をかくからだよ、ほら」
そんな事言ったってかくんだからしょうがないじゃない。・・・シンちゃんがしてたマフラーあったかい。
「ほら、行くよ」
「う、うん」
アタシが誘ったのにシンちゃんが先に進んで行く、待ってよ〜〜
駅から歩いて五分の場所にスケート場があるの、駅から近いから人気があるのよね。それに今日は半額、多いんだろうな。
スケート場に着いたアタシとシンちゃん、意外と少なかったわ。ってまだお昼前だし午後から多くなると思うわね。
チケットを買ってスケート靴をかりてっと。
「じゃあ先に滑ってくるから」
「あっ」
スケート靴を履くのにもたついていたらシンちゃん一人で先に行っちゃった。もうっ待ってくれても良いのに、アタシも早く準備して滑るわよ〜〜
「よしっ!」
準備完了、さあ華麗に滑るわよ、いざリンクへ。
「あ、あううう」
スケート靴ってどうして歩きにくいのかしら、足首が曲がって捻挫しちゃう。
「アスカ〜〜早くこいよ〜〜」
「い、今行くから〜〜」
シンちゃん、一人でスイスイ滑っている。スピードが出ているし凄く上手。
「ふう〜〜ようやく着いたわ」
そう、やっとリンクに着いたの、これから華麗なる滑りをシンちゃんに見せつけるのよ。行くわよアスカッ!
ドキドキ、ドキドキ
右足を氷に乗せて・・・滑らないかしら?・・・ふう〜〜次は左足ね。ゆっくりとゆっくりと氷へ・・・はあ〜〜やっとリンクに立てたわ。さあ滑るわよ。
ドキドキ、ドキドキ
・・・どっちの足から出そうかしら?右?左?
「アスカ、滑らないの?」
「い、今から滑るからちょっと待って」
右と左、どっちから出そうかしら?シンちゃんはどっちを出したの?
「ほらここまでこれる?」
シンちゃん、5メートル先で手を広げている。むう、バカにしてそのくらい滑れるもん。
・・・でもどっちの足から出そうかな?・・・ええいっ右からで良いわ。
「今から行くからね」
右足をゆっくり出して・・・
ツルッ!
「きゃっ」
ドッシ〜〜ン!!
いった〜〜〜い、尻餅ついちゃった。やっぱり左足を出せば良かったのかな。
「アスカ〜滑るんじゃなかったの?」
「い、今のは練習だもん」
「転ぶ練習?」
「違うの、足を前に出す練習」
「そんな練習聞いた事ないよ」
・・・今アタシが作ったから・・・
「ほら、ここまでなら滑れるだろ?」
むっ、失礼しちゃう。今度は3メートルになっている。
ドキドキ、ドキドキ
さっきは右足を出して転んだから、左足を出せば滑れるわね。左足をゆっくり出して・・・
ツルッ!
「あうっ」
ベチャッ!!
ううっいたい、いたいよ〜〜〜、顔面から突っ込んじゃった顔がいたい〜〜。右もダメ、左もダメならどうすれば良いの?両足同時に出すの?
「アスカ、大丈夫?」
「うう、いたいの〜〜」
シンちゃん駆け寄ってくれて起こしてくれた、ありがとう。顔が冷たくていたいの。
「少し休もうか?」
「うん・・・」
・・・入場して10分、滑ってないのに休憩するなんてアタシってへっぽこ。
「ほら、コーヒー。これで暖めると良いよ」
「ありがとう」
買ってきてくれたホット缶コーヒー、これで顔を暖めて・・・あったかい。
「顔はなんともない?」
「うん、ちょっとヒリヒリするけど」
「傷がついていたら大変だよ、ちょっと見せて」
あっ・・・シンちゃんの手が頬に・・・ちょっと恥ずかしい。真剣に心配してくれている、ありがとうシンちゃん。
「うん、異常は無し!」
「本当?ありがとう」
「休んだら練習しようか」
「うんっ」
練習、滑るには練習しかないわね、頑張るわよアスカッ!
「いい?右足を蹴るように出したら右に重心をかけるんだよ、左足になったら左にと交互にやって滑っていくんだ」
「うん、わかった」
「じゃあやってみようか、支えておくよ」
シンちゃんがアタシと向かい合いになって手を握ってくれた、これなら大丈夫ね。
「最初は右足からだ。自分のタイミングで出して良いよ」
「う、うん」
・・・自分のタイミング、タイミングで・・・
「・・・」
「アスカ?」
タイミング、タイミング・・・
「・・・」
「アスカ、いつスタートするの?」
「今タイミング計っているからちょっと待ってって」
タイミング、タイミング・・・いち、に〜〜、さんっ!
「えいっ!」
「よし!そう、蹴るように滑るんだ」
蹴るように滑る?ちょっとわからないわ。でもアタシ今滑っている。
「きゃっ」
あっバランスが、でもシンちゃんが手を握っていてくれたおかげで転ばなかった。
「バランスを取って」
「うん」
滑っている、滑っている〜気持ち良い〜〜
「じゃあ手を離すから一人で滑ってみて」
「え?え?ええ?」
てっ手を離しちゃうの?あ〜〜〜
ツルッ!
「ふぎゃっ」
ゴンッ!!
いたい、いたい、いたい〜〜頭打っちゃった〜〜〜!!
「アスカッ!大丈夫?」
「いたい、いたいよ〜〜」
ううっ、涙が出ちゃう。
「ほら痛くないから」
なでなでなで、なでなでなで
打った所をさすってくれた、ちょっとは痛みが取れたみたい。
「滑れるかい?」
「もう、帰りたい。滑りたくないよ〜〜」
今、リンク場にベチャッて座っているから冷たいの、もうイヤ!帰ってコタツに入りたい。
「そう、じゃあ帰ろうか」
「うん・・・」
シンちゃんごめんね、折角誘って、すぐに帰るなんて・・・
「今日は運が悪かったんだ。次は滑れるようになるよ」
「・・・うん」
シンちゃん、いやな顔一つしていない、それどころか微笑んでいる。
「帰ったら母さんに暖かいコーヒーを入れてもらおうね」
「・・・うん」
シンちゃんに手をとられてスケート場を後に・・・ううっ、今年も滑れなかった、来年こそは滑れるようになるからね!
書くにつれてアスカちゃんのへっぽこ度が増して行っている(^^;)
シンジ君のサポートでちょっとは滑れましたが、一人で滑ると・・・滑れませんでした、アスカちゃんへっぽこですね(笑)滑るより転ぶ方が多かったですね。
こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園外伝 冬の休日2