エヴァンゲリオン学園外伝

夏風邪


 ・・・日曜日だけど朝は早く起きちゃう、習慣になっちゃった。

 ・・・起きようっと。

 ・・・あれ?

 ・・・なんだか身体がだるいわ、どうしたのかしら?

 ・・・こほっこほっ・・・やだ風邪引いちゃったのかしら?

 ・・・熱は、あるようなないような。




「ママ〜〜〜」

「おはよう、今日も早いわね」

 台所に行ったらママが朝食を作っていたわ。

「ママ、アタシ風邪引いちゃったみたい」

「あら、そうなの?どれどれ」

 ママがアタシのおでこに手を当ててみたわ、熱はあるのかしら?

「熱ある?」

「う〜〜〜ん、ちょっとあるみたいね」

 やだどうして風邪引いたのかしら?ちゃんと規則正しい生活をしているのに・・・原因は・・・

「昨日エアコン全快でお昼寝していたでしょ、それが悪かったのね」

 ・・・そ、そうだったわ。外から帰ってきて暑かったからついついエアコンを全快にして、気持ちよかったからそのまま寝ていたんだっけ。アタシとした事が不覚だわ。

「今日一日寝ていれば治るわよ」

「とほほ・・・一日が無駄になっちゃう」

 折角休みは有意義に過ごしていたのにアタシってへっぽこ。

「ご飯はどうするの?」

「ん、いらない寝ているわ」

「少し食べた方が良いわよ、薬を飲んで寝なさい」

 入らないってほど気分は悪くないから、少し食べよう。





「ごちそうさま〜〜」

 少し食べて薬を飲んで・・・うぐっにが〜〜〜い。

「アスカ、一人で大丈夫?」

「うん大丈夫だから心配しなくて仕事に行って」

 ママはお仕事、アタシ一人でも大丈夫よ。

「本当?心配だから助っ人を呼んでおくわね」

 助っ人?誰かしら?見当付かないわ。





 朝食の後片付けをしてママはお仕事へ、その間もアタシは布団の中で寝ていたわ。

 でも・・・

「ふう〜〜〜退屈ね」

 眠くないし、具合はそんなに悪くないし・・・TVでも見ちゃおう。

 枕と毛布を持って行って、TVをオン!

 寝転がってのTV、極楽極楽ぅ〜〜〜

 日曜日の午前中はアニメスペシャルね、でももう見た事あるんだけどなあ。

 ピ〜ンポ〜〜ン

 やだ!誰か来たわ。パジャマのままだし、んもう誰かしら。

「ア〜スカ〜〜」

 微かに聞き取れる声、アタシを呼んでるわ。この声はシンちゃんね。

「は〜〜〜い」

 シンちゃんだからパジャマでも良いか、今出ますよ。

「シンちゃんどうしたの?」

「おばさんから聞いたんだ、風邪大丈夫?」

「うん、ひどくはないから大丈夫だけど」

 !ピ〜ンってきたわママが呼んだ助っ人ってシンちゃんだったのね。

「おばさんからアスカを看病するように頼まれたんだけど」

「うん、ありがとう、あがって」

 シンちゃんには悪いけど甘えちゃおうかな。

「おじゃまします〜」

 リビングへ来たシンちゃん、あっ枕と毛布を片付けなきゃ!

 ツルッ!

きゃ〜〜〜

 ゴンッ!

 足が滑って、転んで顔打っちゃった・・・いたたた。どうして滑るのよ!もう〜〜

「いた〜〜い・・・」

「アスカ!大丈夫?」

「うう・・・顔を打ったから大丈夫じゃない〜〜〜」

 シンちゃん、心配してくれる嬉しいわ。でも顔が痛い・・・何も無いのに滑るなんてへっぽこだわ、とほほ・・・

「鼻が真っ赤になっているよ、血は出てないけど冷した方が良いね。タオルを持ってくるよ」

「アタシのタオルが洗面所にあるから」

「うん」

 シンちゃん、走って洗面所へ行ってくれる、嬉しいわ。でも痛い・・・

「はいアスカ」

「シンちゃん、ありがとう・・・」

 リビングに仰向けになって顔に乗せられた濡れたタオル・・・うう、シンちゃんにこんなとこ見られるなんて恥ずかしいよ〜〜

「ねえアスカ」

「なに?」

「何も無いのに転ぶなんてドジだねえ〜〜」

 う゛っ・・・言われちゃった。

「ア、アタシは悪くないもん。床が悪いんだもん」

 そう滑る床が悪いのよ、さてはママね、ママが床を滑るようにしたんだわ。

「床にワックスかなにか滑るものが塗ってあるでしょう?」

「そんなの塗ってないよ」

「じゃあ、バナナね、バナナの皮が置いてあったんだわ」

 そうよ、そうに決まっているわ。

「バナナの皮も無いって、第一バナナの皮で滑るなんて見た事無いよ」

「そ、それもそうね」

 だって玄関に行くとき何も無かったものね。

「でもアスカなら滑るかな」

「う゛〜〜〜〜」

 シンちゃんが、シンちゃんがアタシをバカにしてる〜〜〜、あっ笑った。

「えいっ」

 べちっ!

「いった〜〜〜何するんだよ」

 バカにしたからタオルをシンちゃんの顔に投げつけてやったわ、罰よ。

「アタシをバカにした罰です〜〜〜、反省しなさ〜〜〜い。ふんだ」

 毛布に包まってふて寝しちゃうんだから、シンちゃんなんか知らない!

「アスカ、ごめんよ言い過ぎた」

「ふんだ、もう知らない!」

 シンちゃんの看病なんかもう要らない、このまま風邪が悪化して肺炎になってアタシは死ぬんだわ、ああアタシって何て不幸なのかしら。

「アスカ〜〜〜」

「こほこほっ、もうアタシは駄目なの・・・余命長くないわ、木の葉が全部散ったらアタシはもう・・・」

 そう、短い人生だったわ。

「・・・アスカ」

「ほら、天使が舞い降りてきたわ、アタシは天国に行っちゃうの?もしかして天使になるのかしら?」

 空がきらきら輝いて天使がアタシを包み込むの、ああ何て暖かい温もりなの。

「それだけ元気なら心配ないね、僕は遊びに行くからね」

 ほらアタシの頭に天使の輪が・・・ええっ!?

「あっシンちゃん、看病が」

「トウジ達と約束しているんだ、もう大丈夫だよ」

 あ、あ、あ〜〜〜シンちゃんが行っちゃった・・・

 ・・・

 ・・・

 ・・・

 ・・・へっくちゅ

 とほほ・・・木の葉なんて生茂っているのに、天使なんて舞い降りてないのにどうして妄想に走っちゃったのかしら・・・アタシってへっぽこ・・・


 夏風邪を引いたアスカちゃんへっぽこです(笑)

 折角シンジ君が看病しに来てくれたのに何も無いのに滑って妄想、元気がありすぎますね。これなら一人で大丈夫とシンジ君は遊びにいっちゃいました。アスカちゃんはへっぽこです。

 こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


エヴァンゲリオン学園外伝 夏風邪