エヴァンゲリオン学園外伝
おかえし
ぷはは、ケンスケから借りた漫画は面白いなあ〜魔法少女っ子が大活躍する話だ。寒い日は部屋でまったりとしているのが良いよね。
「シンジ居るかしら?」
ん、レイ姉ちゃんの声が部屋の外から聞こえたぞ。
「居るよ〜」
「入るわね」
レイ姉ちゃんが入ってきた、何か用事かな。
「シンジ、もう買ったの?」
「何を?」
何か買うものあったのかな?
「・・・まだなのね」
「だから何をなの?」
「今日は何日かわかっている?」
「今日は十三日だよ」
「じゃあ明日は?」
「明日は十四日じゃないか」
何かバカにされているような気がするなあ。
「明日のイベントは何か知っているかしら?」
「明日のイベント?普通に学校じゃないか」
明日は月曜、また学校の始まりだよ。
「・・・明日はホワイトデーでしょう、アスカちゃんにおかえしの品は・・・当然買ってないでしょうね」
「あ・・・」
明日はホワイトデーだったんだ。アスカにはチョコを貰ったけど・・・
「別にお返ししなくてもいいんじゃない?毎年恒例なんだし、寒いから外に出たくないよ」
ビクッ!
い、今部屋の温度が何度か下がった。レ、レイ姉ちゃんの視線が僕に刺さっている。
「シンジ、毎年恒例と言ってもアスカちゃんは心を込めて贈っているのよ、それをお返ししないなんて・・・万死に値するわよ」
ま、また部屋の温度が下がった、さ、寒い!
「わ、わかったよ。何か買ってくるよ」
「ちゃんとアスカちゃんが喜ぶものを選ぶのよ」
「う、うん・・・でもお金が・・・」
財布を覗いたら金額が少ないなあ。
「たとえ安くてもシンジが選んであげたものならアスカちゃんは喜ぶわよ、チョコのお礼も言いなさいよ」
「うん、わかったよ」
「ちなみに私は明日はバタークッキーが食べたいから」
「う、うん」
レイ姉ちゃんはしっかりリクエストしているよ。バタークッキーも買っておかないといけないな。もし買っておかなかったら・・・考えるのはよそう。
電車に乗って百貨店にやってきたぞ、ホワイトデーの売り場は七階かあ。
うわ〜〜人が多いなあ。
みんなたくさん買っているぞ、そんなにチョコを貰ったのかな?
アスカには何をお返ししようかな、クッキーがいいかな?キャンディーやマシュマロもあるぞ。
値段もピンキリだな、高級なのは美味しそうだけど僕には買えないや。
おおっ下着まで売っているんだ。う、うわっすっごくキワドイセクシーな下着だな、こっちは萌え〜な下着だ。冗談で贈ってみようかな、きっと怒られるだろうな。
「おう、シンジ」
「やあトウジ」
後ろからトウジに声をかけられたぞ。
「トウジも来ていたんだ」
手には袋を持っている、すでに買ったんだ。お返しする相手は勿論委員長だろうな。
「何を買ったの?」
「クッキー詰め合せや、たくさん入っていても安かったで」
「へ〜〜」
値段を聞いたら僕のお小遣いでも買える値段だ、僕もそれを買おうかな。でも同じものを贈るのはやめとこう。
「惣流のを買いに来たんやろ」
「うん、何を買うか悩むよね」
「そうやな〜ワイも一時間くらいおったで」
「そうだね、いざ何を贈ろうとなったら悩むよね」
「おう、かなり悩むな〜じゃあワシは帰るな、十分悩めよ〜」
「うん」
トウジはにこやかな顔で帰って行ったぞ、明日渡す事を考えているんだろうな。
何を贈るか一通り見て回ろうっと。
たくさん売ってあるけど大体同じ種類で値段が違うだけだな。おっケーキがあるぞ、ケーキにしようかな。
「あれ?ケンスケ」
「や、やあシンジ」
ここに居る必要がないケンスケが居る、それもたくさん買っているぞ。もしかしていっぱい貰ったのかな?
「いっぱい買っているね、たくさんチョコ貰っていたんだ。知らなかったよケンスケってもてたんだね」
でも一ヶ月前、貰っている風には見えなかったけど。
「お、俺が食べるんだよ」
「え?」
「誰がこれをお返しの品と決めたんだ?全部俺が食べるだよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「あ、ごめん」
ケンスケが泣きながら走り去っていった。ごめんケンスケ、言ってはいけない事を言ってしまって。
ケンスケも早くチョコを貰えるよう心から願っているよ。
さあ僕はケーキを買おうっと。
このビターチョコケーキが美味しそうだぞ、これに決めた!そしてレイ姉ちゃんにはバタークッキーだ。
レジで支払いを済ませて後は買えるだけだ、その前におもちゃ売り場に寄っていこう。
おもちゃ売り場も多いなあ、お金はもう無いから見るだけだ。
「あ、シンちゃん?」
「へ?あ、アスカ」
背中から声をかけられたぞ、振り向いてみるとアスカだった。
「シンちゃんも来てたんだ」
「うん」
「何を買ったの?」
あ、僕の紙袋に気がついた。こ、これは隠しておかないといけないかな。
「な、何でもないよ」
僕はとっさに紙袋を背中に隠したけど・・・
「あ〜〜怪しい〜〜アタシに言えない様な物買ったんだ」
「あ、怪しくないよ」
「えっちぃなのを買ったのね、えっちぃなのはいけないと思いま〜す」
「えっちぃくもないよ」
「じゃあ何買ったか見せて」
「えっ?」
これは明日渡すものだから見せるわけにはいけないぞ。
「えっちぃのじゃないから見せれるでしょう」
「だ、ダメだよ」
「見せてくれないの?」
アスカの眼がウルウルしてきた。くっ泣き脅しに負けてたまるか。
「み、見せられないよ」
「じゃあ、おじ様とおば様に言っちゃおうっと、シンちゃんはえっちぃ物を買っていたって」
今度は脅迫か〜!
「きっとお小遣い減らされちゃうわよ」
く〜〜これ以上減らされたらお小遣いが無くなっちゃうよ。
「ちょ〜と見せてくれるだけどいいから、どんなえっちぃものを買ったかアタシも興味あるの」
すでに買ったものがえっちぃものだと決め付けているよ。僕ってそんなにスケベなのか?そう見えるのか?
「わかったよ、ほら」
僕はアスカにケーキを入れた袋を渡した。
「なーんだケーキだったの」
なにを期待してたんだ。
「アスカにだよ」
「え、アタシに?」
「明日はホワイトデーだろう。チョコ貰ったお礼だよ、一日早くなっちゃったけどな」
見せたから明日渡さなくてもいいや、フライングだ。
「シンちゃん、ありがとう。疑ってゴメンネ」
「別に良いよ、僕はもう帰るから」
渡したらちょっと恥ずかしいんだよね。
「あ、待ってアタシも一緒に帰る〜〜」
「な、何でだよ。まだ居るんだろ?」
「もういいの、帰ろうシンちゃん」
結局アスカは何をしに来ていたんだろう?まあ喜んでいたからいいか。
「シンちゃんそっちの袋はなあに?」
「これはレイ姉ちゃんにあげるやつだよ」
「へ〜〜ねえシンちゃん、レイお姉ちゃんにお礼を言っておかないとね」
「どうして?」
「だって外でシンちゃんと出会えたんだもん」
「はは、そうだね」
「うふふ、全てシナリオ通りね」
蒼い髪の少女が望遠鏡で二人を見守っているのであった。
明日はホワイトデー、当然シンジ君はアスカちゃんから貰ったのでお返しをしなくてはいけません。でもシンジ君は忘れていました(^^;)そんなシンジ君を気づかせてくれるレイちゃん、良いお姉さんですね。
百貨店の売り場で出会った、トウジは当然贈る相手がいます。でもケンスケは・・・頑張れ(笑)
そして偶然おもちゃ売り場で出会ったアスカちゃんにばれてしまいましたね。
全てはレイちゃんのシナリオでした。
こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園外伝 おかえし