エヴァンゲリオン学園外伝

プレゼント

 もうすぐシンジの一歳の誕生日、お姉ちゃんとしてプレゼントをシンジにあげたい。

 ネコさんの貯金箱をのぞいて見た…入っているのは小銭だけ、プレゼントは買えないわ。

 …お母さんに相談してみよう。




「お母さん…」

「どうしたのレイ?」

 リビングでお母さんがシンジに子守唄を歌って寝かしていたわ。

「もうすぐシンジの誕生日」

「そうね、一年経つのは早いわね。シンジが成長しているのがわかるわ」

「それでね、シンジにお誕生日のプレゼントをあげたいの」

「レイが贈るのね、シンジ喜ぶわよ」

 お母さん、寝ているシンジの頭を撫でて微笑んだわ。

「でもね、プレゼント買うのにお金が足りないの」

「お金が足りない?何を買うの」

「秘密」

 シンジへのプレゼントだからお母さんにも秘密。

「秘密なのね、どこで買うか教えてくれない?」

「デパート、昨日見た広告に良いのがあったの」

「デパートに広告…お父さんが帰ってきたら相談してみなさい。きっと力になってくれるわよ」

「うん」

 私もシンジの横で寝転がると、お父さんが帰ってくるのを待ったわ。






「ただいま」

 お父さんが帰ってきた、私は走って玄関へ向かったわ。

「お父さんお帰りなさい」

「おおっレイ、元気が良いなあ」

「あのね、お父さん相談があるの」

「相談?珍しいな」

「あのね、あのね」

「玄関で話すのもなんだから入ろうじゃないか」

 お父さんは私を抱きかかえると中へ入って行ったわ。

「おかえりなさい」

「ああ、ただいま」

「もうすぐご飯ですから、座っていてくださいね」

「ああ、わかった」

 お母さんが台所からやって来たわ、もうすぐ晩御飯。

「レイ、着替えてくるから待っていなさい」

「うん」

 お父さんが着替えてくるまでリビングで大人しく待っているの。



「待たせたな、シンジも元気が良いなあ」

 お父さんはシンジを抱きかかえると、愛用の座布団に座ったわ。

「それで何の相談かな?」

「ええとね、もうすぐシンジの誕生日なの」

「そうだな、誕生パーティーをしないといけないな」

「うん、プレゼントをあげたいけど買うお金が足りないの」

「何!?お金が足りない、それは問題だな」

「お父さん、大きな声出したらダメ、シンジがビックリしちゃう」

「おおそうか、シンジすまんすまん」

 シンジ、もうすこしで泣きそうだった。

「それで何を買いたいんだ?」

「秘密だけどデパートに売っているの」

「デパートか、今度の休みにお父さんと買いに行くか」

「うん!」

 シンジ良かったね、お姉ちゃんがプレゼントをあげるよ。







 土曜日、お父さんのお仕事はお休み、デパートでシンジのプレゼントを買うの。

「お父さん、早く起きて」

「お、おおまだ早いぞ」

「早く買いに行くの」

「早く行ってもデパートは開いていないぞ」

「それでも行くの〜〜」

 お父さん、なかなかお布団から出てくれない。

「開店は十時だぞ。ご飯を食べてから行こうじゃないか」

「うん…」

 開店まで長いけど我慢我慢…









「やっとデパートに来たの」

 お父さんの車で来たデパート、開店までもうすぐ。

「プレゼントはどこで買えるんだ?」

「おもちゃ売り場」

「上か」

 開店したわ。お父さんの手を引っ張ってエレベータに乗るの。








 おもちゃ売り場に着いたら欲しいおもちゃがあるところへ…

「これが欲しいの、これをシンジにプレゼント」

「これか?これは女の子用じゃないか。レイが日曜の朝から見ているアニメだったな」

「うん、女の子用でもシンジに似合うからプレゼントするの」

 日曜日は早起きして見るテレビアニメ、プリティーで可愛いから絶対にシンジに似合うわ。

「シンジにならミニカーとかロボットとかが良いんじゃないか?」

「これが良いの〜!シンジと私で遊ぶの〜!」

 シンジも喜んで私も喜ぶ。

「そうか、わかったわかった。これを一つシンジへのプレゼント、もう一つをレイ用に買おうか」

「うんっ」

 シンジへのプレゼント、きっと喜んでくれるわ…










「これがその時の写真よ」

「きゃ〜シンちゃん女の子みたいで可愛い〜」

 遊びに来ているアスカちゃんに昔話を聞かせて写真を見せてあげたわ。

「小さい時のシンちゃんって本当にプリティーな衣装が似合っているわね」

「一歳の時だろ、全然おぼえてないよ。それに本当はレイ姉ちゃんが自分用に欲しいついでに僕の分も買ってもらったんだろ」

「どこでそれを聞いたの?」

「母さんだよ。まったく〜僕をダシに使ったんだね」

「ダシだなんてひどい…あの時確かにシンジは欲しいって言っていたわ」

 思春期な十四歳、反抗期なのね。

「一歳て喋れるわけ無いだろ」

「喋れなくてもお姉ちゃんなら弟の思っている事はわかるのよ」

「流石レイお姉ちゃん」

「アスカ〜そこは感心するところじゃないよ」

「だってシンちゃんの思っている事がわかっているのよ、凄いじゃない」

「だから違うって」

「違わないわよシンジ、素直なアスカちゃんを見習いなさい。素直なアスカちゃんにはこの写真をプレゼントするわ」

 一歳の時のシンジの写真よ。

「えっ良いの?」

「ええ、女装シンジよ。思う存分愛でていいわ」

「ありがとうレイお姉ちゃん」

「レイ姉ちゃんやめてくれよ〜」

「ダメ、お姉ちゃんの言う事を信じなかった罰よ」

「なんだよそれ〜?」

 ふふふ、弟は姉の言う事を信じるものなのよ、そうしないともっともっと写真を公開するわよ。


 シンジ君の誕生日、レイちゃんはプレゼントと称して自分が欲しい物もゲット。

 シンジ君はレイちゃんに敵いませんね。

 こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


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