エヴァンゲリオン学園外伝
注射なんか・・・
ごほっごほっごほ!!
ち〜〜〜ん!!
本日、惣流・アスカ・ラングレーは風邪を引いてしまいました。
・・・また引くなんてへっぽこかしら・・・とほほ。
ごほっごほっごほっ!
ち〜〜〜ん!
う〜〜〜咳が止まらないよ〜〜、喉が痛い〜〜〜。
「アスカ大丈夫?雑炊作ったけど食べられる?」
ママが雑炊を作ってきてくれたわ、食べれるかな?
「うん、ちょっとなら大丈夫と思う」
ごほっごほっごほっ!
ち〜〜〜ん!
「ひどいわね、お医者さん行きましょう」
お医者・・・それだけはいや。
「だ、大丈夫よママ、ほら元気元気〜〜〜」
ガッツポーズを作って元気をアピール、お医者に行くほどひどいわけじゃないからね・・・
「本当?ママにはひどいように見えるんだけど、もしかして・・・」
マ、ママがニヤリと笑った・・・
「な、なに?」
「お注射が怖いとかいうんじゃないんでしょうね」
「ち、違うわよ。決して注射が怖くないのよ。ただお医者に行くほどひどくはないし、行くとしたら時間と交通費がかかるからね・・・決して注射が怖くはないの」
そ、そうよ注射なんか怖くないわ。何本でもかかってきても受けてたつわよ。
「そうなの?ママはアスカがお注射が嫌いと思っていたわ」
うっ・・・疑っているわ。ここは一つ元気をアピールしておかないと。
もぐもぐもぐもぐ、もぐもぐもぐもぐ
「あ〜〜〜ママの雑炊は美味しいわ〜〜〜、ほらこんなに元気だからお医者に行かなくても大丈夫よ」
「ふふ、そうね。何かあったら呼びなさい」
ママ笑いながら部屋を出て行ったわ、呆れたかしら?うひ〜〜雑炊一気に食べたから口の中が熱い〜〜〜
ごほっごほっごほっ!
ち〜〜〜ん!
う〜〜〜全然元気じゃないわ、ちょっと無理しちゃった。
「あ、そうそうアスカ」
「な、なにママ?」
び、びっくりした〜〜〜ママが突然ドアを開けるんだもん。
「お医者に行くのが嫌なら来てもらいますからね」
「えっ?」
ママ、それだけ言うとドアを閉めちゃった。お医者に来てもらうの?・・・と、いうことは?・・・注射も来る?
・・・いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
どうして呼ぶのよ?元気だって言ったのに、け、決して注射が怖いんじゃないのに、注射なんか怖くないわよ・・・怖くない・・・怖くな・・・い・・・
怖〜〜〜〜い!!
あの刺すまでの恐怖、ちくりと痛い瞬間・・・駄目、アタシはもう死ぬんだわ。
逃げる!何かのアニメで『逃げちゃ駄目だ』って名台詞があるけど、時と場合によっては逃げても良いのよ。
よし!ひとまず部屋から脱出よ。
がちゃがちゃがちゃ!
あれ?ドアが開かない?どうして?
がちゃがちゃがちゃがちゃ!
どうしてドアが開かないの?
「アスカ〜〜お医者さんが来るまで寝てなきゃ駄目でしょ」
ドアの向こうからママの声が・・・閉じ込められた。ママはアタシに注射を受けさせる気なんだわ・・・う〜〜〜ママのおに〜〜〜。
「ママ、開けて開けて!!!」
「どうして〜?寝てなくちゃ駄目でしょ」
「げ、元気になっちゃったから大丈夫よ」
「だ〜〜〜め、覚悟を決めなさ〜〜〜い」
・・・ママ、どうしてそんなにおだやかな声で言えるの?アタシが痛〜〜〜い注射を受けて平気なの?アタシ泣いちゃうんだから。
・・・とほほ、ママあれで頑固だからドアが開くことはないわ。
・・・
・・・
・・・え〜〜〜い!注射の一本や二本、ど〜〜〜んと受けてたつわよ
・・・でも怖い・・・泣いちゃうかも・・・
・・・泣いて良い?
・・・うん、泣いちゃおう。
うええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!
よし練習ばっちり!
「アスカ〜〜〜開けるわよ」
ごくりっ!
き、来たのね。アタシの死へのカウントダウンが・・・
「アスカ、風邪大丈夫?」
「あれシンちゃん?」
ママが連れてきたのはシンちゃんだわ、お医者さんじゃないの?
「お見舞いに来たんだよ」
「シンジ君、悪いわね〜この子ったら迷惑かけて」
「良いですよ、今の時期気をつけないとこじらせますから」
迷惑ってアタシがかけてるの?
「じゃあごゆっくりね」
「はい」
ママ、出て行っちゃった。お医者はうそだったの?
「はあ〜〜〜」
「どうしたのため息なんかついて」
「ちょっとね、ホッとしちゃったの」
ふ〜〜〜心臓に悪かったわ。寿命が縮んじゃった。
「肉まん買ってきたけど食べる?」
「肉まん?うん食べる食べる〜〜〜」
肉まんが美味しい季節になったのよね〜〜〜
「アスカは何がよかったかな?ピザまん?」
「うんピザまんでいい」
シンちゃんからほっかほっかのピザまんを受け取って・・・
「いただきま〜〜〜す」
一口食べるとピザの味が口いっぱいに広がって〜〜〜
「おいし〜〜〜〜い、シンちゃんは何を食べているの?」
「僕はフカヒレまん」
「あ〜〜〜ずる〜〜〜い」
アタシがフカヒレまん好きなのを知っていて言わなかったのね。
「ずるくないよ〜」
「フカヒレまんがあること言わなかったでしょう」
「ピザまんの次に言おうとしたらアスカピザまんで良いって言ったじゃないか」
む〜〜〜、確かにそうだけど。どうしてフカヒレまんから言わないのよ?
「半分取替えっこ」
食べかけだけど取替えっこよ。た、食べかけだけど問題ないもん。
「え〜〜〜?やだよ〜〜〜」
ううっシンちゃんのけち〜〜〜、こうなったら。
ごほっごほっごほっご!
「ア、アスカ大丈夫?」
「うう、フカヒレまん食べないと風邪をこじらせて死んじゃうわ」
ふふ、我ながら名演技ね。
「あっそ」
あっそって、何よそれ?
「シ、シンちゃんアタシ死んじゃうのよ、死ぬ前にフカヒレまんを・・・」
「あ〜〜〜フカヒレまん美味しい〜〜〜」
く〜〜〜、シンちゃんこれ見よがしに食べてる。もう良いんだわアタシはフカヒレまんを食べることができずに死ぬんだわ。
・・・ああ、短い人生だったわ、哀れアスカはフカヒレまんを食べられずに死亡・・・
「冗談だよアスカ、はい半分」
「え?良いの?」
「死んで怨まれたら嫌だからね」
「もうシンちゃんたら」
シンちゃんから貰ったフカヒレまん・・・いつもより美味しく感じるわ。
注射が嫌いなアスカちゃん、お医者に行かなくても良かったのですがキョウコさんのいぢわるによって(笑)お医者が来ることに。恐怖するアスカちゃん、泣く練習良し!注射を待ちましたが、来たのはシンジ君。お医者はキョウコさんのおどしでした。
シンジ君が持ってきた肉まん(ピザまんとフカヒレまん)半分こずつ、アスカちゃんにとっては良いお医者さんですね(シンジ君の食べかけのフカヒレまんを食べれて風邪は治るでしょう)
こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園外伝 注射なんか・・・