jun16HP 160000HIT記念

カヲル君の一日

学校3〜カヲル〜

メシイイイイイイイイイイイ〜〜!!

 トウジはありったけの力を振絞って叫んだ、午前の授業が終わりお昼である。トウジが学校に来ているのは100%お昼の為と言っても過言ではない。

「元気がいいわね。はいお弁当」

「いっつもすまんの〜おおきに」

 ヒカリは巨大な弁当箱をちょっと頬を赤らめ渡した。作りすぎたおかずの残飯整理係りなのだが、クラスメート内では『愛情弁当』として広まっていた。しかしトウジとヒカリはそんな事は知らない。

 

 

「シンジ〜お弁当」

「あっ、はい」

 ここでのやり取りは逆、男の子が女の子にお弁当を渡している、シンジとアスカである。

「ん、ありがと」

 普通ならアスカがシンジに作るところだがアスカに作れるわけがない。ここは『主夫の愛情弁当である』

 

 

 そんなシンジとアスカのやり取りを遠くからハンカチを噛み締めて眺める二人がいた。

「しくしく・・・・碇クン」

「いいな、いいな、シンジのお弁当」

 レイとマナである。

 ジッと羨ましそうにアスカの手にあるシンジの弁当、二人は弁当を持ってきていないのだろうか?いや手にしっかりと持っている。

「碇クンのお弁当・・・・・食べたい・・・・・しくしく」

 レイは猫がプリントされた袋を持っていた。猫・・・・・おそらくリツコが作ったのであろう。

「リツコお母さんのお弁当より碇クンのお弁当がいい・・・・・」

 『リツコお母さん』・・・・ここにリツコが居たら速攻でレイは改造されただろう。そして嘘の情報を植え付けられる『リツコお姉さん』と・・・・

「シンジはレパートリーがあるからいいのよね」

 マナはピンクの袋を持っていた。一人暮し、何かとお金が掛かるので買うより作った方がお得である。だが料理の腕前は・・・・ちょっと普通である。

 

 

「そうだねシンジ君のお弁当は宝、僕も欲しいよ。まさに黄金に相応しい、そう思わないかい?二人とも」

 レイとマナの後ろでカヲルは髪をサッとかきあげポ〜ズを付けるとアスカの持っている弁当を羨ましいそうに眺めた。

「はっ!いつの間に後ろに来たのよ?そりゃあシンジのお弁当は宝だけど、どうしてアンタが欲しいのよ?」

「そう・・・・・不自由しないのに」

 マナとレイがカヲルをキッと睨んだ。

「ふふ、不自由しないか、確かにお弁当には不自由しないけど愛は不自由なんだよ」

「ぬあにが『愛は不自由』よ」

「フィフス、生意気・・・」

 カヲルは可愛らしい動物の絵が入ったハンカチで包まれている弁当を持っていた。これは毎日カヲルファン倶楽部の女の子が順番で作ってきているのである。お昼になると女の子が来て顔を真っ赤にして弁当を渡す光景が風物になっていた。

 

 

 天気が良かったので屋上で食べる事にした。

 

 

「やあみんな、遅かったね」

 屋上には先着が居た、ケンスケである。ケンスケは前回の「学校2」でお星様になって、その後の授業はサボっていたのである。

「ケンスケ!授業サボってどこ行ってたんや?」

「ちょっと宇宙(そら)にね。軍事衛星が目近かで見れてラッキ〜だったよ。帰るのに苦労したけどね」

 苦労した・・・・その言葉通り、髪はチリチリ、服はボロボロ、体もちょっと焦げ臭かった。

「そ、そうか、ラッキ〜やったな」

 ケンスケの姿を見て驚いたのはアスカ、マナ、レイの三人であった。

「なっ相田って人間なの?」

「知らないわよ。生命力はゴキブリ並ね」

「・・・・・・・あの人誰?・・・名前思い出せないわ」

 

 

「じゃあ、食うか」

 みんな輪になって座ると食事が始まる。だが普通に食事が進むはずがない。

「シンジ〜〜〜〜、卵焼き味見して〜〜」

「うん、いいよ」

 マナが早速シンジにちょっかい?を始めた。自分の腕前をシンジに評価してもらおうと卵焼きを食べてもらうのだが・・・・・

「はい、あ〜〜〜んして」

「なっ自分で食べられるよ」

「ダ〜〜〜〜メ、食べさせてあげるのも味見の内なの」

 マナは卵焼きを箸で掴むと照れるシンジの口元に持っていく。・・・・・

 バキッ!

「アスカッ!」

 アスカの隣に座っていたヒカリが驚いた。手元を見てみると箸が握りつぶされ、顔は前髪がかかっていて表情がわからないが、殺気が漂っている。

「アスカ、落ち着いてっ!」

「な〜〜に?ヒカリ、落ち着いているわよ」

「ひえ〜〜〜〜〜」

 顔は笑っているが目はシンジとマナを睨んでいる、ヒカリはおもわず縮こまる。

「うふ、うふ、ふふふ・・・・・マナさんにこれを使うのかしら?・・・・ふふふ」

「なっ綾波さん!」

 レイは不気味に口を歪ませてタコさんウィンナ〜を掴んでいる箸を見つめている・・・・・それはロンギヌスの槍。

「火星に飛ばそうかしら・・・・うふふふ」

「あ、綾波さん殺人はダメよ」

 怒りが爆発しないように二人をなだめるヒカリ、汗がだらだら流れる。緊張の食事・・・・・

「イインチョ、この揚げ物美味いの〜〜〜」

「でしょう!隠し味があるのよ」

 ・・・・・・・楽しい食事である。

「ちくしょう、ちくしょう・・・・・」

 ケンスケ・・・・・悲しい食事である。

 

 

「ふう〜〜〜〜」

「あれ、カヲル君どうしたの?箸が進んでいないじゃない」

 マナから解放されたシンジ、カヲルがため息ばかりついているのに気が付いた。

「具合でも悪いの?」

「優しいね。シンジ君は好意に値するよ」

「好意って?」

「好きって事さ」

「カヲル君・・・・・」

 微笑むカヲルになぜか頬を赤らめるシンジ。

「バカシンジ!何赤くなってんのよ、この変態!」

「な、何いってんだよ。アスカ」

「変態って言ってんのよ。男同士でバッカみたい」

 アスカの怒りは頂点に達していた。

「碇クン、や○いはダメ、や○いは相応しくないわ・・・・・しくしく」

「綾波〜〜泣く事ないだろ」

「しくしく・・・・や○いはイヤ、や○いはイヤ」

 レイは止めど無く涙を流していた。

「シンジ〜変な道に入ったら私死ぬから」

「へえ〜?マナ、どうしたんだよ」

「もしそうなったらシンジを殺して私も死ぬ〜〜〜〜」

 マナは妄想に走っていた。

 

「ふう、三人は元気でいいね」

「カヲル君、どうしたの?話してみてよ」

「そうかい・・・・」

 にっこり笑うとシンジの弁当をジッと見て話し始めた。

「実はね。まだ食べた事がないお弁当があってね。その事を思うとご飯が喉を通らないんだよ」

 ジッとシンジの弁当を凝視するカヲル。

「そうなの?毎日違う子が持ってくるのに食べた事がないの?」

「そうなんだよ。毎日身近にあっても食べた事がないんだよ」

 ジッとシンジの弁当を凝視するカヲル。

「ふ〜〜ん、でも毎日違う子が持ってくるんだからいつかは食べられると思うよ。だから今日はその弁当を食べた方が良いよ。持ってきた子も残しちゃ悲しむから」

「・・・・・そ、そうだね。いつかは食べられるかな・・・・・・・・」

 にっこり微笑むシンジにカヲルも微笑み返した。だが心は泣いていた。

(しくしく・・・・シンジ君どうして気づいてくれないんだ?今もジッと君のお弁当を見つめていたのに・・・しくしく、ああ〜〜道は険しいなあ)

 その弁当は涙でしょっぱかった。


 160000hit!!!ありがとうございまし〜〜〜\(^O^)/

 楽しい?お弁当TAME、カヲルもてもてだけど憧れのお弁当は・・・食べる事ができるでしょうかね?

 ケンスケは無事に帰ってきました(人間か?)

 ヒカリはちゃっかりとトウジにお弁当渡しているし、シンジとアスカはいつもとおり。

 レイとマナは・・・・ちょっと可哀想かな。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


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