jun16 Factory 200,000HIT記念SS
リツコおかあさんの一日
〜朝の章〜
赤木リツコ、齢四捨五入して20歳、彼女の一日が始まる。
AM 06:30
ニャオ〜〜ン!!
ベッドで眠るリツコ、お気に入りの猫の目覚し時計の鳴き声で目覚める。
「・・・・朝ね」
目覚ましのスイッチオフは要らない一回鳴けば目覚める、それほどの猫好き1キロ先の子猫の鳴き声も聞こえる彼女。
「zzzz」
傍らに眠るのはチビレイ、いまだに夢の中である。リツコは布団をキチンとレイにかけると起こさないように静かにベッドをおりる。
Tシャツにスカートと着替えると洗面台に向かい顔を洗い眠気を取る。
「ふう〜〜、気持ち良いわ」
次に向かうは台所、ネコのアップリケがついたエプロンを身に着けるとフライパンを用意し、冷蔵庫から卵やウインナー、野菜を取り出す。
サクッサクッサク!!
慣れた手つきで包丁を扱い材料を下ごしらえ、その早さはキーボードを打つのとほぼ変わらない。
ジュ〜ジュ〜!
フライパンから油の焦げる音、良い香りが立ち込める。材料を入れ調味料を入れ手際良く炒める。
「味付けはどうかしら?」
ちょっとつまみ食い、タコさんウインナーを口に入れる。
「うん、バッチリね」
皿に盛り合わせると他に完成した料理と共にテーブルに並べ、時計を見る。
AM 07:00
「さあてレイを起こさないとね」
リツコは手を洗うとエプロンで拭きながら、寝室に向かった。
「zzzzz・・・むにゃむにゃ・・・・・zzzzz」
先ほどリツコがかけた布団がレイの寝相の悪さによりベッドから落ちていた。レイはお気に入りのネコの縫いぐるみを抱きながら笑顔で寝ている、良い夢を見ているのだろうか。
「レイ、起きなさい朝よ」
「むにゃむにゃ〜〜zzzzz」
優しく問い掛けるよう起こすが起きない。
「レイ、朝よ」
ゆさゆさ
「う〜〜ん・・・・・・朝なの」
肩を揺さぶると目が覚めたようだ、眠たい目をこすりながらリツコを見た。
「そうよ、おはようレイ」
「おはよう、おかあさん」
寝ぼけ眼でリツコに挨拶するとユックリと立ちあがり、フラフラと体を揺らしながら洗面台に向かった。
「しっかりと顔を洗うのよ」
「は〜〜〜い」
リツコは台所に戻るとセットをしておいた炊飯ジャーを開け、ホカホカのご飯を茶碗に盛って並べる。当然絵柄はお気に入りの猫。
とたとたとたとた
「ご飯、ご飯」
顔を洗って目覚めたレイが走ってやって来た。自分より高い椅子に全身を使って登り座る。そして二人手を合わせて。
「「いただきます」」
朝食はご飯に目玉焼き、ウインナー、サラダと一般的な朝食。レイはぎこちない箸でウインナーを掴んだ。
「タコさん、タコさん」
目の前に持ってくると海を泳ぐ様な動きをして口に入れる。
「美味しい〜〜」
満面の笑み、リツコはその光景が嬉しくて微笑、サラダに箸を伸ばす。親子の楽しい朝食は続く。
AM 07:30
「「ごちそうさま〜」」
ゆっくりと時間を掛けた朝食は終わった、リツコは食器を片付けるとお弁当の準備に取りかかる。
「今日のお弁当はなあに?」
「お昼までの秘密よ、歯を磨いて、着替えてきなさい」
「は〜〜〜い」
二人がネルフに行く時、昼食は必ずお弁当である。食堂でも良いのだがそれはリツコの母心、レイの栄養を考えている。
「お弁当も完成したし後片付けね」
休憩の暇は無い、お弁当を完成させると食器を洗わなくてはいけない。
「ふぎゃっ!」
レイの大きな声が聞こえた、今は歯を磨いている。リツコは何事かと流していた水道を止め、エプロンで手を拭きながら洗面所に向かった。
「レイ、どうしたの?あらあら」
「ふええ〜〜濡れちゃった」
レイのパジャマがびしょ濡れで水が勢い良く流れている、リツコはそれを見た瞬間蛇口をひねりすぎたと直感した。
「蛇口は静かにまわすのよ」
「うん・・・・」
「風邪を引くから早く着替えないとね」
「うん・・・お気に入りのぜろごうきが濡れちゃった」
お気に入りの初号機がプリントされたパジャマがレイはしょんぼりしていた。
「大丈夫よ、干しておけば寝るときには乾くわよ、早く脱ぎなさい」
「うん」
リツコはバスタオル、着替えを持ってくるとパジャマを脱がせ頭から拭いて行く。
「これでよし!お洋服は自分で着れるわね」
「うん」
リツコは微笑みながらレイの頭を撫でると、後片付けを終わらせるために台所に戻って行った。
AM 07:45
「ふう〜〜」
後片付けが終わった、うっすらと額ににじんだ汗を拭き取ると休む間も無く次の行動に移る。洗面所に行くと溜まっている洗濯物を洗濯機に入れる。
「今日は天気が良いから早く乾きそうね」
洗濯物が溜まっているといってもリツコとレイの二人分、量はそんなには無い。
ピッッピ!
ボタンを押すと全自動、その間に身支度を整える。髪にブラシを通し口紅、洋服はブラウスにスカートとある程度動きやすい格好、通勤には最適である。
AM 08:00
ピッッピ!
丁度支度が終わった頃に洗濯機が終了した音を告げる、リツコは洗面所に向い洗濯機から洗濯物を取りだしベランダに向かう。
「レイ、もうすぐ出るからおトイレすませときなさい」
「は〜〜い」
洗濯籠を持ってベランダに向かう途中リビングを通る。レイはすでに着替えを済ませソファーに座って朝のお子様テレビを見ていた。毎日の日課である。
「雲一つ無い良い天気ね」
空を見上げると青空が無限に広がっている、今日は一日快晴のようだ。手際良く洗濯物を広げて干していく。
AM 08:20
洗濯物が干し終わり少しの休憩、リビングに行くとソファーに座り新聞を・・・・広告を先に広げた。
「今日は大根が安いわね、あらシャンプーもお買い得ね」
安売りの広告は見逃さない、メモ帳を手に取ると購入リストを作り記入する。
「今日はこれとこれとこれを買えば良いわね」
「おかあさん、これも買って〜〜」
レイはリツコが見ていたスーパーの広告の一部を指差した。
「ダメよ、虫歯になるでしょう」
指の先にはお菓子、甘いチョコレートが写っていた。
「食べたい〜〜良いでしょう?」
すりすりすり〜〜〜
レイはリツコに抱きつくと胸に頬擦りして甘える。
「もう〜〜しょうがないわねえ、ちゃんと歯を磨くって約束できる?」
「うん、できる!」
レイはニッコリ微笑むとVサインをリツコに見せる。
「本当ね?」
「うん、本当」
「もし嘘だったら改造しちゃうわよ」
「本当、本当、本当!!」
リツコのちょっと怪しい微笑みにレイはブルブルと身震いし首を縦に振った。
AM 08:30
二人の会話と広告を見るだけで10分が経った、もう出勤の時間である。新聞は残念ながら読めなかった。
ガレージに停めてある愛車『ポルシェ911』の助手席を開けレイをチャイルドシートに乗せると、運転席に座りエンジンをかける。
「おかあさん、安全運転でね」
「わかっているわよ、ミサトじゃないんだから」
レイの問いかけにウインクをして答えるとアクセルをユックリと踏み出しガレージを出た。
朝の第3新東京、渋滞は無い。走っている車はリツコのポルシェだけであった。
AM 08:50
制限速度を守りネルフに到着、レイをチャイルドシートからおろすと手を繋いでゲートをくぐる。仕事場であるリツコの研究室は歩いて約五分、就業時間はAM9:00から十分間に合う。
二人で歩いていると前方から見なれた人物が歩いてきた。
「リツコ先輩、おはようございます」
「おはようマヤ」
マヤである、リツコの部下。彼女はいつも30分前には来て色々と準備をしている。
「おはようレイちゃん」
マヤは膝を曲げて屈むと微笑みながらレイの頭を撫で挨拶をする。
「おはようございます、マヤお姉ちゃん」
レイも答えるように微笑み挨拶をする。
「先輩、今日の仕事はどうしますか?」
「それは後で話すわ、自室に居てちょうだい」
「はい」
二人は今日の仕事の事を少し話すと別れた。
AM 09:00
ぷしゅ〜〜〜
研究室のドアが開く、リツコはバックを置くと早速白衣に着替え、机に置いておいた計画書に目を通す。
「おかあさん、お仕事頑張ってね」
リツコの計画書に目を通す真剣さがレイに伝わる。
「ええ、レイも良い子にしているのよ」
「うん」
微笑み合うとリツコはペンを取り出すと計画書の一部に訂正を加え電話を取った。
「マヤ、計画書に一部変更を加えたわ、私の部屋に来てちょうだい」
簡潔に内容を話すと受話器を置いた、そして室内のコンピュータを全てに電源を入れる。
「レイ、これからここで仕事をするから静かにしているのよ」
「うん」
レイはコクリと頷き隅にあるレイ専用の椅子に腰をかけた。それから五分後マヤが膨大なファイルを持って来た。
「マヤ、ここを訂正するわよ」
「はい、分りました」
二人のやり取りが行われ、コンピュータに向かうと光速と高速でキーを打って行く。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
室内は無機質なキーの音が鳴り響く。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・ふあああ〜〜」
座って何もする事が無いレイ、段々と退屈になってくる。地に付かない足をばたつかせ大きなあくび。
「つまらない・・・・・」
ヒョイと椅子からおりると静かに気づかれないように部屋を出て行く。
トコトコトコトコ
長い廊下、キョロキョロと周りを見まわしながら当ても無く歩いていると、前方から人がやって来た。
「おやレイちゃん、おはよう」
「おはようございます、ロンゲのお兄ちゃん」
シゲルである、いつも会っているがレイは名前を覚えていないので見た目で覚えている。
「一人でどうしたんだい?」
「何もする事が無くて退屈なの、遊んで」
「う〜〜ん、遊んでやりたいけどね、仕事があるんだよ」
「え〜〜〜?遊んでくれないの?」
レイはションボリして俯くと肩を落した。シゲルはそんなレイを見て心苦しくなる。
「長くは遊べないけど少しだけなら遊んであげるよ」
「本当?」
レイは一瞬で顔が明るくなった。
「ああ、本当だよ。行こうか」
「うん」
シゲルはレイを肩車すると発令所に向かった。
「えいえい〜〜」
「イタタタ、レイちゃん引っ張らないでくれよ〜」
「きゃっきゃ!」
レイはシゲルのロンゲを手綱の様に操ると喜んだ。
AM 10:45
カチカチカチカチ
「先輩、変更終わりました」
マヤは額に滲んだ汗をハンカチで拭くと呼吸を一息置いた。
「お疲れ様、休憩しましょうか」
「はい、コーヒー入れますね」
「お願いね、あら?レイ」
リツコは後ろを向いた、だがそこには椅子しかなくレイの姿は無かった。
「レイちゃん、どこに行ったのでしょう?」
「退屈すぎたのね、お昼になればお腹が空いて帰ってくるわよ」
コーヒーを一口飲むとモニタのスイッチを切り替えた。
(発令所に居るのね)
モニタの先にはレイが映し出された、シゲルとマコトが一緒なって遊んでいる。
「ふふ」
リツコはモニタを見て微笑んだ。
「あれ?先輩なに笑っているんですか?」
「良い遊び相手を見つけたようよ」
マヤは指をさされたモニタを覗き込んだ。
「本当ですね、レイちゃん楽しそう。でもあの二人仕事しなくていいのでしょうか?」
「大丈夫よ、暇なんだからレイの遊び相手が仕事よ」
「ふふそうですね」
AM 11:30
「ぜえぜえぜえ」
「はあはあはあ」
「もう遊ばないの?」
発令所、シゲルとマコトは仰向け大の字になり、汗だらけで肩で息をしていた。それを見下ろすレイは汗一つかいていない。
「もう勘弁してくて、クタクタで起き上がれないよ」
「もっと遊んでよ〜〜〜」
「ごめんね、もう疲れちゃったよ、それにもうすぐお昼だからお腹すいたでしょ」
ぐううう〜〜
タイミングよくレイのお腹がなった。
「うん、お腹すいた。お昼はお弁当なの、良いでしょ。遊んでくれてありがとうございました」
レイは二人にペコリとお辞儀をすると走って発令所を後にした。
「はあはあ、マコト・・・・・」
「ぜえぜえ、何だ?シゲル・・・・」
「俺達体力無いなあ」
「そうか?レイちゃんが体力ありすぎるんだよ」
二人息を整えるのには時間が掛かりそうだ。
タッタッタッタッタ
「お弁当〜〜お弁当〜〜」
廊下をスキップしながらリツコの研究室に戻っていった。
祝!200,000HIT!!!ありがとうございまし〜〜〜(^▽^)V
記念すべきSSはリツコおかあさんを普及する為に描きました(笑)今回は〜朝の章〜です。次は〜昼の章〜、〜夜の章〜と三本と予定しています。
リツコさんはMADだけではありません。チビレイちゃんを優しく見守るおかあさんなのです(^^)
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION リツコおかあさんの一日〜朝の章〜