jun16HP 290000HIT記念

カヲル君の一日

夜〜カヲル〜

「ふっ、僕としたことが無様だね」

 夕焼けがカヲルの銀髪を照らし出す夕方、お腹をさすりながら呟いた。

「お持ち帰りができるんだね・・・・ふっ」

 シンジ達がケ〜キ店からケ〜キを食べずに帰った後、カヲルは一人で出されたケ〜キを食べていたが食べきれる量ではなかった。お腹が苦しくなり一休憩をついた時、前方に『お持ち帰りできます』の張り紙に気づき暫し動けなかった。

「ふう〜〜毎日のデザ〜トがケ〜キになっちゃうね」

 両手に持ったケ〜キの箱、一人で食べるのに何日掛かるであろうか。

「彼女達は良く太らないね〜尊敬に値するよ・・・うっぷ」

 こみ上げてくるものを押さえながら家路を急ぐカヲルであった。

 

 

 

「ただいま・・・と言っても誰も居ないから寂しいね」

 部屋に戻り普段着に着替え、リビングへ行きソファ〜に体を埋めた。

「今日はもう入らないな〜〜」

 見たいTVは無いのだが一人の寂しさを紛らわす為にスイッチを入れる。天井を見上げTVの賑やかな音を聞きながら苦しいお腹を何回もさすり、夕食の事を考えたが作る気がしない。

「ふう〜〜〜・・・・・」

 ソファ〜に横になりTVを焦点が合わない瞳でボンヤリと見つめ時間を潰して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピ〜ンポ〜ン!!

「?」

 ボンヤリとし続けて何時間経っただろうか、ふと耳にインタ〜フォンの音が入った。

 ピ〜ンポ〜ン!!

「誰だろう?」

 TVに表示してある時間は19:30を回っていた、世間ではまだ早い時間だがこんな時間にカヲルを尋ねる人はいない。

 ピ〜ンポ〜ン!!

「はいどちら様?」

 テ〜ブルに置いてある受話器をインタ〜フォンに繋げると向こうから聞きなれた声が返ってきた。

「カヲル君、僕だけど」

「シンジ君!」

 横になっていた体を起こすと受話器を両手で持ちシンジの声を一字一句聞き逃さないように神経を集中し玄関に向かった。

「いらっしゃいどうしたんだい?こんな時間に?」

「カヲル君、ご飯食べた?」

「いいやまだだけど」

「よかった、これ作ったんだけど食べてよ」

 シンジはバックからタッパ〜を取りだし中身を見せた、まだ暖かく湯気が立ち込めている肉じゃがである。

「僕にかい?ありがとうシンジ君」

 夕食は食べたくなかったがシンジが作ったものは別である、お腹がいっぱいでもいくらでも入る。

「沢山作りすぎちゃったんだ、でも味は保証するよ」

「シンジ君の作ったものなら何でも頂くよ」

「カヲル君・・・」

 ニッコリ微笑むカヲルにポッ!と顔を赤らめるシンジであった。

「あがっていかないかい?」

「うん、そうしたいんだけどミサトさんやアスカが待っているから」

「その心配は無いよ、僕から電話しておくから。さああがって」

「う、うん」

 さりげなくシンジの手を握ると玄関内に引き寄せるが・・・・

こらっ〜〜〜〜!

 ゲシッ!バキッ!

 突然出てきたアスカによって2人の手は離されカヲルは腹部に拳を貰った。

「アスカ!」

「うぐっ・・・・アスカ君・・・相変わらず良い拳を持っているね」

「アタシの目の黒いうちはシンジをその道に引きずり込ませないわよ!」

 倒れておるカヲルにビシッと指を突きつける。

「何だよその道って?」

「アンタは知らなくて良いのよ、さあ帰るわよ」

 赤くなりながらシンジの手を掴んで玄関から出ようとするアスカ、赤くなっているのは興奮しているのだろうか、それとも別の為なのだろうか。

「ふふ、アスカ君そう早く帰らなくても良いじゃないか、あがってお茶でも飲んだらどうだい?ケ〜キもあるよ下校時食べなかっただろう」

「ケ〜キ・・・そういえば忘れていたわね、しょうがないわ食べてあげるわよ」

 一刻も早く帰りたいのだが、ケ〜キの甘さには勝てずにお茶を飲むことに決めたのであった。

 

 

 

 

 

 

「よいしょっと、早く出しなさい」

 ソファ〜に腰をおろすとカヲルに下僕のように指示を出す。

「アスカ〜、カヲル君に失礼だよ」

「ふふ、良いよすぐに用意するよ」

「僕も手伝うよ」

 2人はお茶の用意をする為に台所に向かった。

 

 

 

 

「カップはこれで良いの?」

「それで良いよ、アスカ君はどのくらい食べるんだい?」

 カヲルは箱を開けケ〜キをシンジに見せた、相当の数がある。

「そうだね〜〜全部かな、アスカ大食いだからね」

 バキッ!

 言い終えた瞬間シンジの頭を痛みが襲った。

誰が大食いよ!

「いたたた、本当の事じゃないか〜おやつの時だって僕の分を取るじゃないか」

 頭を押さえ休日のおやつの時間を思い出す、シンジは自分の分を全て食べた事が無い、半分はアスカに取られているのだ。

「あれは量が少ないからよ、けっして大食いじゃないわよ」

「ふうん、アスカ君は大食いなのかい」

「違うわよ、何を聞いていたの」

「大食い」

 バキッ!

「あふっ!痛いよアスカ君」

 アスカの拳がカヲルの右頬を捕らえた。

「大食いじゃないって言っているでしょうが!シンジ!アタシは小食よね」

「えっ?小食って違・・・・う、うん小食だよね」

 蛇が蛙を睨むような眼光に同意をせざる追えなかったシンジ、もし否定していたなら彼の人生はここで終わっていただろう。

「ほら、シンジも小食って言っているでしょう」

「無理矢理言わせたみたいだけど、小食なら一個で良いかい?」

 イチゴショ〜トを取りだし後は冷蔵庫に戻そうとするが止められた。

「何言ってるのよ、全部よ全部」

「ぜ、全部ってアスカ、食べ過ぎなんじゃないかな?」

「アンタバカァ〜?これは食べ過ぎって言わないのよ、むしろ少ないくらいだわ」

 ケ〜キを数え驚くシンジ、とても一人で食べきれる量ではない。

「ふふ、アスカ君は小食だね」

「当然よ!」

 皮肉ったのだが気づいていないアスカであった。

 

 

 

 

「いたっだきま〜〜〜す!!」

 手を合わせ終わるとスプ〜ンに盛られたケ〜キが次々にアスカの口に消えて行く。

「ふふ、美味しそうに食べるね、見ているこちらが気持ち良いよ」

「当然よ!美少女が食べているのよ、感謝しなさい。滅多に見られないわよ〜〜」

 口の周りにクリ〜ムを付けながらケ〜キを頬張っていく。この状況はK・A氏にしてみればシャッタ〜チャンス、売上倍増なのだがカヲルは興味が無い、興味があるのは勿論・・・・

「カヲル君、肉じゃが温まったよ〜」

「ありがとう」

 器に入れ替えられ温めなおされた肉じゃが、ジャガイモがホンワリ崩れていて味が染みていそうである。

「ご飯はいらないの?」

「うん、今日はちょっと入らないんだよ。シンジ君の肉じゃがで十分だよ」

「カヲル君」

 ぽっ!

 カヲルに見つめられ赤くなるシンジ、しかし彼女は見逃さない。

 ドガッ!

「いた〜〜アスカ、いたいよ〜〜」

「この変態!そんなに見つめたいんならアタシが見つめてあげるわよ」

 ジ〜〜〜〜〜〜

 シンジの両頬を掴み見つめるが、シンジにはアスカが睨んでいるようにしか見えない。

「こら!目をそらすな!」

「だって目つきが怖いよ」

「怖くなんか無いわよ、光栄に思いなさい美少女が見つめているのよ」

「う、うん」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・クリ〜ムがついているよ」

 ポケットからハンカチを取り出すとアスカの口の周りを拭いていく。

「・・・・・・・・・・・・あっありがと」

 ぽっ!

 ぽっ!

 数十秒みつめ合うと同時に頬を赤らめた、まだユニゾンは生きている。

「かっ帰るわよ!」

「うっうん」

 頬を赤らめたまま無言で帰る二人、取り残されたカヲルは・・・・

「ふふっこの肉じゃがしょっぱいよ・・・・」

 完全に忘れ去られ涙を流しながら肉じゃがを食べつづけるのであった。


 290000hit!!!ありがとうございまし〜〜〜V(^▽^)V

 カヲル君が主役なのにちょっちLAS入っているかな(^^;)

 一月に始まったカヲル君の一日はこれで完結で、長かった〜〜

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


下校2〜カヲル〜

NEON GENESIS: EVANGELION 夜〜カヲル〜