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長い夜
秋になると日が暮れるのが早くなり夜が長くなるのは昔の事、今は常夏日が照っている方が長い。
「もう秋ね〜〜〜」
ミサトはビール片手に壁にかけてあるカレンダーを見て呟いた。
「秋って言っても気温が変わらないから実感がわかないですね」
シンジはおつまみのシシャモを焼きながらカレンダーを確認する、現在は11月だがTシャツですごせる。
「秋は美味しい物がたくさんあるのよね〜〜〜、松茸、栗、秋刀魚・・・・はあ〜〜涎がでちゃう」
「そうですね、松茸は高くて手が出せないですけど、栗や秋刀魚なら、ってミサトさん涎出ていますよ」
「おっと、ふきふき〜〜」
だらしなく開けていた口を閉じ、腕で涎を拭いた。
「はい、おつまみできました」
「ん〜〜ありがと〜〜」
少し焦げ目をつけたシシャモができた、皿に取りミサトに渡す。
「秋の夜は長いから色々な事ができたのよ。例えばビールを飲みつづけるとか」
「はいはい」
シンジは軽く受け流し食器を洗い始めた。
「ん〜〜〜冗談通じないわね」
「ミサトさんはするんでしょ」
「うん!」
シシャモを頭からかぶりつくと大きく頷いた、その保護者の態度に呆れるシンジ。
「秋の夜は読書が定番ですよね」
「そうね、ネルフでも流行っているみたいよ、私もついつい仕事中に読んじゃうのよね」
「へ〜〜ミサトさんが」
感心するシンジであったが『仕事中』に読むのはやめてほしいと思った。
「むっ、なにそのへ〜〜は?私だって本くらい読むわよ」
プライドを傷つけられたのであろうか、頬を膨らませ怒った。
「何の本を読んでいるんですか?」
「ズバリッ!世界のビール百選よ」
「・・・・そ、そうなんですか」
「世界各地の一級のビールが紹介されているの、読んでいるだけで飲みたいって思っちゃうのよね」
「そ、そうですね」
ミサトの力説に返事をするしかなかったが心の中では・・・
(それって読書じゃないんだけどなあ)
シンジに限らず誰でも思う。
「シンちゃんも本を読んでみたらどう?」
「そうですね、最近は読んでいませんでしたから」
「後片付けやっておくから読んで良いわよ」
「えっ良いんですか?」
耳を疑った、家事大嫌いのミサトが進んでやるのだ。
「このミサトさんにまっかせないさい!徹夜して読んでもOKよん!」
徹夜して読むと流石に次の朝が辛い。
「はい、ありがとうございます」
シンジはエプロンで手を拭き脱ぐと自室へ向かった。
「ケンスケにかりていた三国志を読もうかな、漫画だけど」
机の上に三国志全60巻が積まれていた、今まで読む時間が無く現在は16巻目の途中であった。
「さあて全部読んでしまおう」
気合を入れて読み始めようとするが。
「シンジ〜〜〜」
襖のむこう側から呼ばれた、声の主はアスカである。
「何?」
襖を開けるとアスカが立っていた。
「ボタンが取れちゃったの、つけて〜〜」
手にはブラウスと取れたボタン、このくらいなら『自分でつけて』と言いたいところだがそれはできない、アスカはシンジより裁縫が下手であった。
「うん、わかったよ明日で良い?」
「今が良い〜〜」
別に今から着るわけではないのだが、何事も早めにしておかなければ気がすまない。
「わかったよ、裁縫道具を」
机の引出しから携帯裁縫道具を取り出し、針に糸を通す。
「良く通せるわね」
「簡単だよ」
短気なアスカには至難の技であろう。
ギャッシャ〜〜ン!
「ぎゃ〜〜!」
台所から何かが割れる音とミサト悲鳴、二人は急いで台所に向かった。
「ミサトさん、あっ〜〜!」
「やっちゃった、ごみ〜〜ん」
床には砕けて散乱した皿の破片、ミサトは手を合わせて謝った。
「あ〜〜あ、何やってんのよドジねえ〜〜」
「とほほ、わかんないけど手が滑っちゃたのよ」
「それならしょうがないわね」
「・・・・・・・」
シンジは二人の会話に唖然とした、なぜならミサトの手は洗剤で泡だらけであった、これなら滑るだろう。
「怪我は無いですか?片付けますからホウキとチリトリを」
「わかったわ〜〜〜、アスカも手伝ってちょうだい」
「しょうがないわね〜〜」
こうして秋の夜長は三人の掃除でふけるのであった。
(はあ〜〜、読書はまた次の機会だな)
「あぎゃ〜〜手切った〜〜〜」
「ボケボケしているからよ。いった〜踏んじゃった〜〜」
「はあ〜〜〜」
溜息をつき救急箱を用意するシンジ、家事を任せたら何故か仕事量が増えるのであった。
333,333hit!!!ありがとうございましV(^▽^)V
秋の夜は趣味に走るのが最適ですね、読書とか映画鑑賞とか音楽鑑賞とか。ミサトさんは読書と言いましたが読書じゃありませんね(笑)
シンジ君、折角読めると思ったら・・・主夫は大変ですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 長い夜