「ふう〜〜〜・・・あらまた小じわが・・・」

 ネルフの化粧室、リツコさんは鏡で目元を見てため息をついた。連日の徹夜続きで肌が荒れ顔色にも生気が無い。

「はあ〜〜〜いつになったら帰れるのかしら」

 ため息しか出てこない、髪の毛もボサボサここ数日お風呂に入っていないようである。

「でも今日を乗り切ればなんとかなるわ」

 気合を入れると冷たい水で顔を何べんも洗う、その様子をこっそりと見つめる瞳があった。


























444,444HIT記念

レイちゃんのお手伝い




























「しくしくしくしく、お母さん可哀想」

 レイである、柱に半身を隠してリツコを涙を流しながらずっと見続けている。

「お家に帰れないなんて、そんなにお仕事大変なのね」

 自分もエヴァのパイロットで大変なのだが、技術部など裏方の仕事は残業や徹夜で忙しい。

「お母さんが早く家に帰れるようにお手伝いするわ」

 レイは紅い瞳を輝かすとその場をダッシュで離れた。

 タッタッタッタ

 走るレイ、向かう先は。

 タッタッタッタ

「お母さんが来る前にお掃除するの」

 リツコの部屋である。所狭しとファイルや資料、テスト結果のレポートが散乱しており足の踏み場が無い。

「戻ってくるまで約六分、三百秒で片付けるわ」

 レイの掃除が始まる、手始めに足元のファイルを集めページ数通りに重ねていく。

「凄い量、お母さんの仕事大変ね」

 目に飛び込んでくる、ファイルの情報だが何が書いてあるのか理解できない。

「これはここにおいて・・・」

 纏め上げたファイル、棚に戻そうとするが・・・

「きゃっ」

 足を滑らせファイルは空中に、そして・・・


「んきゃっ」

 空中分解してバラバラ、来た時より一層散乱した。


「・・・」

 その光景を唖然として見つめるレイ。


「・・・も、もう時間が無いの」

 時間は二百四十秒、後六十秒で片付けられる量ではない。

「あ、あとにしましょう」

 レイは額から汗をタラリと流すとその場をダッシュで立ち去った。



 そしてリツコさんの到着。

「ふんふんふんふ〜〜〜ん♪」

 顔を洗って気合が十分入っている、これならすぐに仕事は終わるだろう。だが・・・

「きゃ〜〜〜何よこれ?」

 扉を開けたリツコは出て行ったときより部屋が散乱していたので驚いた。

「折角見やすいように並べておいたのに誰がこんなことを?」

 リツコにとっては散乱していたのではなく見やすいように並べていたのである。それをレイが更に散乱させわからなくなった。

「しくしくしくしく、そうだったの?お母さんごめんなさい」

 レイは通路の影からこっそりとリツコの状態を見て泣きながら謝ったのであった。




「はあ〜〜〜時間を無駄にしたわ」

 カフェテリア、リツコは自分で肩をこぶしで交互に叩くと首を回し疲れを取る。先ほどのレイの散乱をそのままにしては仕事にならないので自分が見やすいように散乱させるのに時間がかかり今は休憩中。

「ふう〜〜〜ブラックは胃にしみるわね」

 徹夜続き、眠気を覚ます為にコ〜ヒ〜はブラック、疲れた胃にはかなり堪える。

「しくしくしくしく、お母さんごめんなさい」

 観葉植物に隠れリツコを泣きながら見つめるレイ、先ほどの行為が心に痛い。

「今度は失敗しないの、仕事を手伝うわ」

 レイは紅い瞳を輝かすとその場をダッシュで離れた。

 タッタッタッタ

 走るレイ、向かう先は。

 タッタッタッタ

「お母さんが来る前に仕事を終わらせるの」

 再びリツコの部屋、レイの目線の先にはネコが踊っているスクリ〜ンセイバ〜。

「パソコンは使えるから大丈夫」

 マウスを少し動かすとスクリ〜ンセイバ〜が消え作業画面へ、モニタの上から下まで理解できない文字が並んでいる。

「・・・わからない、お母さんはこれがわかるのね、凄い」

 感心するレイ、リツコを楽にさせてやりたいと思い、キ〜に指が動く。

「・・・わからないけど、これはこうね」

 モニタの文字を理解できぬままキ〜を一つ押した・・・

 ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 モニタは真っ黒になり無機質なピ〜プ音が静かな部屋に鳴り響いた。

「・・・」

 驚くレイ、言葉が出ない。

「ど、どうしよう・・・」

 焦るレイ、背中に汗が滝のように流れる。

「こんなところお母さんに見られたら・・・」

 脳裏に見つかったときの場面が浮かぶ。

「改造はイヤ・・・」

 一目散にその場を立ち去った。



 そしてリツコさんの到着。

「ふんふんふんふ〜〜〜ん♪」

 コ〜ヒ〜を飲み気合十分、仕事はすぐに終わるだろう。しかし部屋に入った時、目に飛び込んできたモニタと耳にするピ〜プ音に・・・

「きゃ〜〜〜消えてる!!」

 今までの分はバックアップを取っていたので何とかなるが、モニタに映っていたのとそれ以前の入力したものは消えていた。本来ならこまめにバックアップを取るのが常識だが、徹夜続きバックアップをこまめに取るのを忘れていたのである。

「誰がこんなことを?見つけたら絶対に人体実験してやるわ」

 リツコの背中に怒りの炎が立ちこめる。それをこっそり見ていたレイは・・・

 ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ!!

「お、おか、おかおかおかお母さんが怒っている」

 全身汗だらけ、顔は真っ青である。

「か、改造じゃないのね。じ、人体実験」

 自分が人体実験されたときを想像してみる。

「・・・い、いや〜〜〜〜〜!」

 首をおもいっきり左右に想像を振り払いながら、その場を離れるレイであった。




「まったく〜余計手間がかかったわ」

 消えたぶんのデ〜タは入力完了、バックアップも取り煙草を一服中、静かな部屋にゆらゆらと煙が漂う。

 こんこん

 消えそうなノックの音、静かに扉が開いた。

「あらレイ、どうしたの?」

「・・・」

 扉を開けたのはレイ、顔は俯き表情が暗い。

「・・・」

「どうしたの?黙ってちゃわからないでしょ」

「こ、これ、お仕事大変だからお弁当作ってきたの」

 ゆっくりと前に出した青と白のストライプ柄のハンカチに包まれた小さなお弁当箱。

「あらレイが作ったの?嬉しいわね」

 リツコはニッコリ微笑むとお弁当を受け取った。しかしレイの表情はまだ暗い。

「早速頂くわね」

「うん・・・」

「どうしたの元気が無いわね、お腹でも痛いの?」

「ううん」

 レイは小さく首を振った、お腹は痛くない、ばれるのが怖いのだる。

「そう、気分が悪かったら言いなさいよ」

「うん」

「そうそう、自分の体は自分で管理しないと行けないわよ。じゃあ頂くわ」

 ハンカチをほどくとピンク色のお弁当を開けた。

「まあ美味しそう」

 俵型ににぎられたオニギリ、切れ込みが入り熱によってちゃんと足のように見えるたこさんウィンナ〜、鮮やかな黄色の卵焼き、ウサギ耳がついたリンゴが綺麗に収まっている。

「全部作ったの?」

「うん」

「なかなか上手ね、今度教えてもらおうかしら」

 ニコニコしながら卵焼きを口に運ぶ。

「うん、適度な甘さにダシがきいてフンワリしてるわ。上手よ」

「うん、ありがとう・・・」

 普通誉められたら喜ぶのだが、喜ぶ気にはなれない。

「どうしたのレイ?何か変よ」

「実は・・・」

 



















「そう、そうだったの・・・」

「ごめんさない、ごめんなさい」

 レイは全てを話した、涙が瀧のように頬を流れ落ちる。

「私・・・役に立てなかった・・・」

「そんな事無いわ、このお弁当美味しいわ、十分に役に立ったわよ」

「えっ?」

 微笑むリツコにレイは驚き目が丸くなった。

「お弁当のおかげで元気になったわよ。ありがとうレイ」

「・・・お母さん」

 リツコの胸に抱きつくレイ、リツコの温もりを体全体で感じるのであった。

「レイ・・・」

 レイを全体で受け止めるリツコであったが・・・

「お母さん」

「でもね、私はお母さんじゃないわよ、お姉さんなのよ」

 ぎゅううう!!

「いたい、いたい、いたあい!」

 力いっぱいレイの頬をつねる『姉』リツコであった。


 444,444hit!!!ゾロメhitありがとうございましV(^▽^)V

 いつも大変なリツコお母さんを助ける為にレイちゃんはお手伝い、でも失敗連続(^^;)リツコさんは大怒り、人体実験にすると言う始末。

 しかしレイちゃんは勇気を振り絞って言いました、リツコさん怒るとおもいきや・・・流石お母さん優しいですね(笑)

 親娘より姉妹を断固として選ぶリツコお母・・・お姉さんです(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION レイちゃんのお手伝い